産後ケアセンターとは?利用条件・料金相場・ケア内容をご紹介

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

産後ケアセンターとは?
産後の母体の回復・育児指導など、産後の母子ケアができる施設のことです。産後ケアホテルと呼ばれることもあります。施設によっては、妊娠中から、出産に備えたケアができる施設もあります。利用形態は、施設により異なりますが、宿泊でも日帰りでも利用でき、ごきょうだいと一緒に利用することもできます。
産後ケアセンターが創設された目的は、産後の母子の健康をサポートするためです。産後のママの体は、ホルモンバランスの急激な変化・睡眠不足・慣れない育児などで、今までに経験したことのない疲労を感じ、心身共に多くのサポートが必要な時です。しかしながら、現代社会では、核家族化・高齢出産などさまざまな理由で、必ずしも両親にサポートを頼れないケースも増えていて、産後ケアセンターのような自治体や民間のサービスのサポートを希望される方も増えています。施設によっては、高級ホテル並みの食事やエステなどのサービスが揃っており、産後の身体をゆっくり休めたり、骨盤や胸などをケアすることができることから、注目も高まっています。
産後うつの防止のために
女性は、12人に1人が一生のうち一度はうつ病におちいるといわれていますが、とりわけ妊娠中や産後によく起こるといわれています。特に産後は、睡眠不足や夜間の授乳などのストレスや、周囲のサポートが不十分な状況が重なって、うつ病を引き起こす可能性があります。うつ病を発症し、治療せずに放置しておくと、重症化や再発を繰り返し、また、ご本人だけでなくお子さんへの影響も懸念されます。このような状況になることを予め回避する方法としては、ママが心も体もゆっくりできるサポート体制を整えておく事が必要で、その選択肢の一つとして産後ケアセンターを利用することが考えられます。
参考、厚生労働省 「妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療」
妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp
産後ケアセンターでできること
利用方法は、宿泊をしながら、食事の提供、赤ちゃんのお世話サポート(おむつ・着替え・沐浴など)や、授乳サポート、母体ケア(胸のケア、骨盤矯正など)を受けることができます。助産師、看護師、保育士などの医療スタッフが常駐して、24時間体制でケアを受けることができます。また、施設によっては、エステ、ヨガ、足湯 などの施術を受けることもできます。
産後ケアセンターの利用条件
基本的には、生後4か月目まで利用できる施設が多く、条件は施設・自治体により異なりますが、条件を満たせば誰でも利用することができます。最近は、利用希望者が増えていて、予約のとれない施設もあるようなので、ご出産前の妊娠期間に事前にお調べいただき、手続きするのが良いかと思います。予約は妊娠8か月頃から受け付けている施設が多いようです。
産後ケアセンターの料金相場
民間施設と、自治体事業による施設があり、施設ごとにより料金は大きく異なります。下記を参考になさってください。
・料金相場
日帰り | 宿泊(1泊2日) | |
民間施設 | 10,000~20,000円 | 20,000~100,000円 |
自治体事業の施設 | 3,000~5,000円 | 10,000~20,000円 |
まとめ
出産は、人生の大仕事といわれます。産後の身体のダメージは、交通事故に遭った程度に例えられることもあり、回復まで約6週間かかるといわれています。また、極度の疲労感、不安感といった心の不安定さにも悩まれる時期です。さらに、急激なホルモンバランスの影響を受けていて、気が付かない間に産後うつの状態になる可能性もある時期です。産後は、ママのお体を何より労り、大切にする必要がありますので、ママを支えるサポートについて、妊娠期間から熟慮する必要があるかと思います。また、産後の母体の健康は、健やかな育児・赤ちゃんの成長に欠かせないことです。ご家族でお話合いをされるなど、予めの計画や相談する機会をどうぞもたれてください。
産後ケアセンターは、ママと赤ちゃんをサポートしてくれる強い味方として、一つの選択肢になるかと思います。出産のご準備の一つとして、みなさまでお話合いのチャンスをお作り下さい。
最後に、出産のご準備にもう一つご検討頂きたいのが、赤ちゃんの未来へのお守りとなる「さい帯血保管です」。下記をご覧くださいませ。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー