「妊娠初期に体温はどう変化するのか知りたい」

「熱っぽい日が続いているけど、妊娠したのだろうか」

と不安になっていませんか。

妊娠すると、母体のホルモンバランスや血液量増加によって体温が上がる場合があります。

妊娠初期では、体温上昇以外にもさまざまな変化が身体に現れるため、早めに妊娠に気付くためにも確認しておきたいところです。

そこで、この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・妊娠初期の体温変化
・妊娠初期における基礎体温の測り方
・妊娠初期に体温上昇以外に現れる症状

この記事を読むと、あなたが妊娠しているのか判断する手助けになりますよ。

【要確認】妊娠初期の体温変化

一般的に妊娠していなければ、基礎体温は排卵してから「約2週間後」には下がります（※1）。

基礎体温とは、朝の起床時に横になったままの状態で口腔で測定した際の体温であり、1日のリズムのなかでもっとも低い値をさします。

しかし妊娠していると、体温は高い状態を維持して、微熱が続く場合があるのです（高温期）。

株式会社杏林舎が公表している研究論文によると、排卵後から体温が「0.3〜0.5℃」高い状態が、 17日以上持続する場合は、妊娠の可能性が高いといわれています（※2）。

ただし、体温変化には個人差がある点には注意が必要です。

▼妊娠初期の体温が上がりやすい理由とは？

妊娠初期の体温は上がりやすい？下がる原因や注意点も解説

 

（※1）出典：日本スポーツ振興センター「月経について」

（※2）出典：日本産科婦人科学会雑誌｜折坂 誠 , 小辻 文和「基礎体温(basal body temperature:BBT)測定(1.内分泌・不妊検査法,C.産婦人科検査法,研修コーナー)」２００７年４月,日産婦誌59巻4号

妊娠初期における基礎体温の測り方

高温期が続いていると思っても、そもそもの体温測定の方法が間違っていると、正確に妊娠の可能性を考えられません。

正しい基礎体温の測り方は、以下のとおりです。

なお、体温計は小数点第2位まで表示される機器を使用しましょう。

妊娠初期の体温上昇は小さいため、見逃してしまう可能性があるからです。

手順	詳細
起床したら即測定	起き上がらずに、体温計を舌の下に入れて測定開始
体温確認	少数第2位まで確認
数値を記入する	前日の数値とつないでグラフにしていく

数値を記入するグラフには、以下のような記録表を使うとよいでしょう。

引用：厚生労働省「基礎体温の記録」

妊娠初期に体温が変化する理由

妊娠初期に基礎体温が上昇する主な原因のひとつは、黄体ホルモン（プロゲステロン）の分泌が増えるためです。

プロゲステロンには体温を上げる作用があり、妊娠を維持するために分泌が続くことで高温期が保たれます。

また、妊娠に伴い血液量やエネルギー消費量が増加することも、体温が高く感じられる一因となります。

妊娠初期に体温上昇以外で現れる症状

妊娠初期に現れる症状は「微熱」だけではありません。

その裏付けとして、株式会社ゼネラルリンクが妊娠経験のある女性を対象に行った調査によると、妊娠初期に感じた症状を以下のように回答しています。

妊娠にいち早く気付くためにも、チェックしておきましょう。

症状	症状を感じた割合
匂いに敏感	27.8%
眠気	26.7%
胃痛・胸やけ	23.5%
乳房への違和感	22.7%
風邪のような症状	15.5%
おりものの変化	13.6%
生理前のような精神状態	9.4%
腹痛	8.6%
腰痛	7.8%
便秘・下痢	7.5%
頻尿	6.4%
唾液の増加	2.1%

出典：株式会社ゼネラルリンク「妊娠初期症状・つわりに関する調査！76.8％は「日常生活に支障がある」【赤ちゃんの部屋】」を参照して作成

それぞれの症状について、くわしく知りたい人は下記も参考にしてくださいね。

妊娠超初期に現れる11の症状を徹底解説！注意すべき行動も紹介

妊娠の確認は検査薬が確実

妊娠初期は体温上昇やさまざまな変化が身体に起こりますが、妊娠を確信するためには、やはり妊娠検査薬の使用が確実です。

東邦大学医療センターが公表しているデータによると、妊娠検査薬の陽性率は以下のとおりです（※3）。

・妊娠3週＝85.7%
・妊娠4週＝100%

上記のデータから、妊娠を確信したい場合は妊娠4週以降（生理予定日から約7日目以降）に使用するとよいでしょう（※4）。

 

（※3）出典：東邦大学医療センター 大森病院 臨床検査部「妊娠検査薬で妊娠判定が出来るのはなぜ？　—hCGについて—」

（※4）出典：東京都福祉局「東京都　妊娠相談ほっとライン」

病的な発熱が考えられる場合は、すぐに受診を！

妊娠初期とは別に、風邪などの感染症の他、早急な治療が必要なつわりの重症型である「妊娠悪阻」で脱水になると、発熱が見られることがあります。

妊娠に伴う生理的な発熱ではなく、感染症などの病気による発熱の場合、おなかの赤ちゃんに影響が現れることもあります。

体の異常を感じたら、早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。

妊娠初期の体温で注意すべき4つのポイント

妊娠初期の体温に関して注意すべきポイントとして、以下の4つがあげられます。

・基礎体温の記録を継続的に行う
・39℃以上の高熱が続く場合は医療機関を受診する
・体を冷やしすぎないよう生活環境に気を配る
・個人差があることを理解して過度に心配しすぎない

順番に見ていきましょう。

ポイント1：基礎体温の記録を継続的に行う

妊娠初期から継続的な基礎体温の記録は、妊娠経過を把握するうえで重要な情報源になります。

受診時には基礎体温表を持参して、医師との情報共有に活用するとよいでしょう。

体温の変化だけでなく、体調の変化や気になる症状も一緒にメモしておくとより有効です。

継続的な記録により、自分の体の変化をより深く理解できるようになるでしょう。

ポイント2：39℃以上の高熱が続く場合は医療機関を受診する

妊娠初期に39℃以上の高熱が続く場合は、胎児に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。

旧武蔵病院が行った研究によると、重症心身障害児（重障児）の5,901人のうち約2.5％にあたる148例の母親に、妊娠中の発熱があったことが報告されています（※5）。

なお「重症心身障害」とは、重度の肢体不自由と、重度の知的障害をあわせもった状態です。

重症心身障害児を出産した母親の発熱は、妊娠3か月頃にもっとも多く、39〜40度台の高熱であったことも明らかになっています（※5）。

妊娠初期は胎児の器官が作られる大切な時期であり、胎児の体温は母体の体温より「2℃程度高い」ともいわれているため、高熱にはとくに注意しなければなりません（※6）。

また高熱の原因として、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症も考えられます。

風邪の症状と一緒に熱が出ている場合は、妊娠による自然な体温上昇ではなく病気の可能性が高いでしょう。

妊娠中は免疫力が下がりやすいため、感染症にかかりやすくなっています。

体調管理をしっかり行い、異常な高熱が続く場合はすぐに医療機関で診てもらいましょう。

（※5）出典：国立保健医療科学院｜国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科（平山義人,鈴木文晴ほか）「障害児における母体環境の異常」平成元年度厚生省心身障害研究

（※6）出典：北里大学病院 周産母子成育医療センター「妊娠・分娩に際しての説明書」

ポイント3：体を冷やしすぎないよう生活環境に気を配る

妊娠初期は、体を冷やしすぎないよう注意が必要です。

とくに薄着やエアコンによる外部からの冷えには注意が必要で、適切な室温管理を心がけましょう。

夏場には寝室の気温が極端に低くなってしまい、基礎体温が低下してしまうこともあるため、注意しましょう。

一方で冬場は、外気温が低く体も冷えるため、それに伴い基礎体温も下がる可能性があります。

妊娠初期は体温調節機能も変化しやすいため、季節に応じた服装選びも大切になります。

温かい飲み物をとる、体を温める食べ物をとるなど、体を内側から温める工夫も効果的です。

ポイント4：個人差があることを理解して過度に心配しすぎない

妊娠初期の体温変化には個人差があり、また体温変化が小さいため、見逃したり気づかない場合もあります。

基礎体温のみで妊娠状態を判断するのはむずかしいため、ほかの体調変化とあわせて総合的に判断することが重要です。

それでも毎日の体温変化に不安やストレスを感じる場合は、一人で悩まずに医療機関に相談することをおすすめします。

妊娠初期は体の変化に敏感になりやすい時期ですが、過度に心配しすぎることで余計なストレスを感じる必要はありません。

定期的な妊婦健診を受けて、医師と一緒に体調管理をしていけば問題ありません。

妊娠初期の体温に関するQ&A

ここでは妊娠初期の体温について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

まとめ

妊娠初期の体温変化は、妊娠の兆候を知るうえで重要な指標ですが、変化が小さいため、見逃したり気付けない場合もあります。

正しい基礎体温の測定方法と記録で、妊娠の兆候を見逃さないようにしましょう。

一方で、体温のみで妊娠の判断はむずかしいともいえます。

体温変化とあわせて、体調の変化にも注目しましょう。

今回紹介した内容を参考に、正しく妊娠の可能性を探りましょう。

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