母親学級行かないとどうなる?行かないデメリットとは?

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

昨年から新型コロナの影響で緊急事態宣言、外出自粛。

外出には大きなリスクを伴う時代になってしまいました。

そんな中、妊婦さんにとっては少しの買い物や産婦人科の待合室すら心配です。

できるだけ感染症のリスクを避けつつ生活しているのに、母親学級は他の妊婦さんと関わることになります。

行かないでも良いか・・・

そんな考えにもなりますよね。

また経産婦さんの場合、1人目の時に参加している上に、諸々実践済み。迷わず行かないことを選択している方もおられます。

でも病院によっては参加が必須のところも。

そもそも母親学級では、何をするのか。行かないことで何かデメリットはあるのでしょうか。

 

母親学級の内容とは?

母親学級は、まさに母親になる準備のためのクラス。多くの母親学級は妊娠前期と後期にわかれています。

<前期>

前期は主に妊娠中の過ごし方、注意事項が中心。

食事、栄養管理、体重管理、デンタルケアといった、妊娠期間に知っておくべきことを勉強していきます。

また病院によっては、バースプランや病院内の施設について説明もあります。

<後期>

後期は出産の流れや入院についてなど。

より具体的に、内容的にも重要度が上がります。

例えば、出産までの流れや呼吸法、入院するタイミングや準備品。

また産後の過ごし方や赤ちゃんのお世話について、などなど。

妊娠後期の妊婦さんが不安に思われるところが中心になります。

また、臍帯血についての説明もあります。

我が子の臍帯血を保管しておくかどうかは、個人で決めることができますが、病院によっては臍帯血についての説明をしていないところもあります。

すなわち、妊婦さん自身が調べていない限り、我が子の臍帯血を保管できることはおろか、臍帯血の存在すら知らずに出産を終えてしまう方がいるということです。

臍帯血は出産の時にしか取ることができない貴重な血液です。

先日、臍帯血の存在を知らずに出産を終えてしまったお母さんがこの事実を知って、大変ショックを受けていました。

「知っていたら、絶対に保管したのに・・・」と、とても残念そうでした。

このように病院によって、内容には差がありますので、どのような内容なのか、事前に調べておいて、知りたいことは個別に聞くか、調べられるようにしておくと良いですね。

 

行かないなんてもったいない!母親学級の良いところ

母親学級にはいろいろありますが、私が友人に聞いた実例を挙げてみたいと思います。

福岡県にある産婦人科の後期母親学級では、もうすぐ赤ちゃんに会える喜びと同時に不安を持った妊婦さんに向けた講座をされています。

1つは実際に赤ちゃんの人形を使って、どのように骨盤を通ってくるのかという説明。

なんとなくわかりそうなことですが、具体的に知ることで、出産前の漠然とした不安解消に繋がったそうです。

また友人が最も影響を受けたのは、心に響く名言の紹介でした。

例えばこんな言葉。

「あなたがくだらないと思っている今日は

昨日亡くなった人がなんとかして生きたかった。

なんとしてでも生きたかった。今日なんです。」

この母親学級を受けた彼女は3人目の出産を控えていました。

2人産んだからこそ感じる不安や恐怖。

その先にある喜びも知っていたけれど、リアルに思い出される出産の記憶に、決して楽しみに待つだけではいられなかったのだと思います。

この産婦人科さんの取り組みは、そのような複雑な辛さを理解して、寄り添ってくれるような内容でした。

彼女はこの帰り道、今生きていることの感謝、そして新しい命に会える喜びと楽しみでいっぱいの気持ちになったそうです。

 

私が母親学級で得られたこと

私が母親学級を受け始めたころ。

初めてのお産で不安がいっぱいあり、受けられる講座類はなんでも受けたいと思っていました。

しかし、私が通う産婦人科さんでは、自分が期待するような充実感は得られず、自治体が主催するものに全部参加するようにしていたのです。

実際に行ってみて、新たな知識がたくさん得られました。

そして、参加をきっかけにママ友ができました。

そもそも妊娠してから「ママ友」という言葉自体に漠然とプレッシャーがあり、ママ友なんて作れるのかしら?と不安だったのですが。

同じように大きなおなかを抱えて並んでいると、不思議と「今何カ月ですか?」「予定日はいつですか?」と話しかけたくなりました。そして話してみると、体調のことやこれからの不安など、だいたい共感できることばかり。自然と話が膨らんでしまうのです。

妊娠中にママ友が数名できたことは、産後の不安解消にもなったように思います。

中には、人見知りだったり、人付き合いが苦手だったり、母親学級での交流に不安を感じている方もいらっしゃると思います。

しかし、これからは生まれてくる我が子のために、様々な情報を得ていく手段が必要になります。

自分のためではなく、我が子のためと思うと、少し勇気が出るかもしれません。

そして実際に友達ができたら、きっと情報を得ること以上に、気持ちが楽になることもあります。子育ては自分1人では不安で仕方ないものですから。

 

最後に

ご紹介したように母親学級には様々なメリットがあり、行って損することはないと思います。

しかし、それを実施する産婦人科や自治体など、それぞれの方針で内容は異なります。

また、その講座を進めていく助産師さんによっても大きく異なるはずです。

当たり外れではないですが、何かを得られるチャンスがあるなら、私は参加してみるべきなのではないかと思います。

そして、残りの妊娠生活や出産そのもの、これからの育児に穏やかな気持ちで臨むきっかけにしていただけたらと思います。

また、たとえ母親学級に行っていなくても大きなリスクはない、ということも付け加えておきたいと思います。

妊娠も出産も予想外のことばかり。育児も思うようになんていきません。

知識があっても使えないことはたくさんあります。

ですから、行かないことのデメリットではなく、母親学級に行くことのメリットがあるだけなのではないでしょうか。

知識だけなら、今の時代、いろいろな方法で得ることは可能です。

母親学級に行く人も行かない人も、これから大きく変わっていく自分の体、そして生活。

そういったことに、ゆっくりじっくり向き合える時間をぜひ作っていただきたいと思います。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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