2022年2月1日
切迫早産

早産って何?予防するにはどうしたらいいの??

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

〇早産とは

妊娠中は、いろいろなトラブルが発生する可能性があり、これまで順調な経過をたどっている方も十分に注意していく必要がありますよね。妊娠中のトラブルとして、「早産」という言葉を耳にしたことのある方は、多いのではないでしょうか。

日本では世界の中で早産率が低いといわれていますが、それでも約20人に1人が早産となっています。
早産とは、正期産とよばれる「妊娠37週0日から妊娠41週6日まで」の期間より前になる出産のことをいいます。

正確には、日本では妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産を「早産」と呼びます。
※妊娠22週未満の出産は流産といい、早産とは区別されます。
この早産は、妊娠でいうと6ヵ月~9ヵ月頃の出産にあたります。
赤ちゃんがお母さんのおなかの外に出ても生きていけるギリギリのところです。
正期産より早く生まれているので体が未成熟であり、出生体重が小さくなることがほとんどです。一般的には「早産児」「未熟児」とも呼ばれます。

〇いろいろな早産のパターン

また、早産には「人工早産」と「自然早産」があります。
なんらかの理由により通常より早いタイミング(妊娠37週未満)で自然に陣痛がきてしまい出産する場合を「自然早産」といいます。(早産全体の約75%)

一方、お母さんや赤ちゃんになんらかの問題が発生し妊娠を継続することが困難になる場合があります。
例えば、妊娠高血圧症候群、前置胎盤(胎盤が子宮の出口をふさいでいる状態)、常位胎盤早期剥離(出産の前に胎盤が子宮の壁からはがれてしまうこと)、胎児機能不全(赤ちゃんの元気がなくなってくる状態)などでは、子宮内で赤ちゃんが成長できない、また、生きることができない状態になります。そのような際、命を守るために人為的に出産させる方法を「人工早産」といいます。

〇早産は赤ちゃんに危険性が

早産の赤ちゃんは、体が未熟であるため、しっかりとしたケアが必要になることが多いです。そのような場合、生まれた直後は、体温管理などができ集中的に治療を行える新生児集中治療室(NICU)などでケアをします。

妊娠後期の早産(妊娠34~36週台)で生まれた赤ちゃんでも、正期産に近いとはいえ、呼吸障害・哺乳不良・低体温症・低血糖などが起こる可能性があります。

また、より早い段階での早産(妊娠34週未満)で生まれた赤ちゃんは、これらのリスクに加え、重症呼吸障害や重症感染症などの危険性も高くなります。早く生まれた赤ちゃんほど、後で重篤な障害が出現するリスクが高くなります。

〇早産の兆候は?

切迫早産は、早産になる危険性の高い状態、つまり早産の一歩手前の状態のことをいいます。早産になってしまわないよう、切迫早産であるかどうかを見逃さないことも重要です。

切迫早産の代表的な症状は、以下のようなものです。

①下腹部の張り感(子宮が硬くなる感覚)
②下腹部痛(特に数分おきで周期的なもの)

このような症状を感じたら、まずは安静にし、症状がどう変化するかを確認しましょう。
安静にすることで、下腹部の張り感や痛みが消えてくるようなら、病院を受診せずに様子をみていても多くの場合は問題ありません。

一方で、すぐに受診したほうがいいケースもあります。

①安静にしていても歩くのが辛いほどの下腹部痛が消えない
②赤い出血が少量でも続いている
③破水したように透明な水分が流れ出てきた

このような場合は、急いで受診しましょう。

それ以外にも、これまでの妊娠で早産になったことのある方は、より早産になりやすいとされています。
また、子宮頚部の病気のために円錐切除術という子宮頚部を切り取る手術を受けた方、多胎や細菌性膣症の方も早産になりやすいと言われているため注意が必要です。

〇早産の予防~ならないようにするにはどうしたらいいの?

早産にならないように、できることならば予防したいですよね。
リスクが上がる要因としては、次のことが考えられます。

1.喫煙の習慣がある

母子ともに良いことはありません。妊娠が分かった時点で禁煙しましょう。

2.ストレスや心身の過労

長時間の労働や、心身に負担がかかることはできる限りさけましょう。

3.妊娠高血圧症候群

規則正しい生活と十分な休養、また太り過ぎないことを心がけましょう。

4.感染

むやみに人ごみに出てウイルスに感染しないようにしましょう。

5.口腔ケア

歯周病菌があると切迫早産になりやすいという報告もあります。妊娠中は唾液の分泌が減り、口腔環境が悪くなりやすいので、妊娠前より丁寧なケアを心がけてください。

これらのことを実行するには、生活環境などによって難しいこともあるでしょう。
しかし、リスクは1つでも減らして、早産の予防ができたらいいですね。周囲の協力も得ながら、できることから始めてください。
そして日頃から、かかりつけの先生の妊婦検診をきちんと受診し、その指導は必ず従うようにすることも重要です。妊娠中は早産の予防に努めることが大切ですが、気負い過ぎないように、ご自身をいたわることもお忘れなく!

無理のないよう、ゆったりとした気持ちで出産までの日々を過ごしてくださいね。

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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