新生児の体と健康状態 赤ちゃんの体について知っておきましょう

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

新生児の体の特徴
新生児とは、生後4週未満の赤ちゃんのことです。新生児の体の特徴を見てみましょう。
・身長
約50cmで、生後1年頃には約1.5倍となります。
・体重
出生時においては約3,000gです。出生後2~3日は一時的に減少(生理的体重減少)しますが、10日程経てば元に戻ります。3カ月後には出生時の約2倍、1年後で約3倍に達します。
・頭囲
出生時の頭囲は平均33cm、長さは約12.5cmで身長の約4分の1にあたります。まだ骨がついていないため、前頭部と頭頂部の間の大泉門、頭頂部と後頭部の間の小泉門が開いており、ペコペコしています。
・胸囲
出生時の胸囲は頭より少し小さいです。1歳で、胸囲と頭囲がほぼ同じになり、それ以降は胸囲が大きくなっていきます。まだ胸の筋肉が発達していないため、しばらくは横隔膜を使って腹式呼吸をしています。
・首
新生児期はグラグラしています。3~4カ月頃には首がすわります。
・目
新生児の視力は0.01くらいで近くのものしか見えず、立体感もありません。光の区別はつきます。2~3カ月くらいでかなり見えるようになります。
・耳
聴覚はよく発達していて、お母さんのおなかの中にいる時から聞く能力を持っています。胎内で聞いた声や音などはしっかり記憶しているといわれています。
・鼻
匂いに敏感で、お母さんの匂いを嗅ぎ分けられます。
・口
おっぱいをくわえた赤ちゃんは唇と舌を使って上手に飲むことができます。新生児期の舌の感覚としては、すでに甘味と他の味とを区別できるといわれています。母乳とミルクの味の違いも2~3カ月になるとわかるようになってきます。
・肌
生後すぐは胎脂という白い脂肪分がついています。感覚はきちんとあり、痛みやかゆみも感じています。
・おへそ
へその緒(さい帯)の残りは生後1週間くらいでとれます。とれたばかりはジクジクしていることがあります。
・手、足
起きているときは手足をよく動かし、手は握っています。新生児には手のひらや足の裏に指などを当てると握り返してくる把握反射があります。また、足を床につけると歩くような動作をする原始歩行という反射が見られます。生まれてしばらくは手足を曲げる筋肉の力がとても強くなっています。
・股関節
股関節が柔らかく、M字形に開いています。太ももの骨と骨盤が重なる部分が浅いためにはずれやすいので、足を伸ばしたままの姿勢で長時間の抱っこや窮屈な服を着せることは避けましょう。
新生児の健康状態の把握
新生児の健康状態を把握するためには全身をくまなく観察することが大切です。
・呼吸
新生児の呼吸は、30~60回/分が正常範囲です。1分間で20回以下または60回以上の場合は呼吸障害があることが疑われます。新生児は肺機能が確立していないので浅く不整な呼吸になります。
・体温
新生児の体温は平熱が36.5~37.5度くらいで体温調節機能が未熟です。体温が外気温の影響を受けやすく、簡単に上がったり下がったりするので、室温には注意が必要です。赤ちゃんの状態をよく見て触り、汗ばんでいないか、手足が冷たくなっていないかをこまめに確認しましょう。
・脈拍
新生児の脈拍数は1分間で120~160回が正常範囲といわれています。
・尿、便
生後24時間以内に初回排尿があります。尿の色は無色または淡黄色の透明が基本ですが、一時的に黄色が強く混濁することがあります。便は生後24時間以内に初回の胎便を排泄します。胎便とよばれる粘り気の強い暗緑色の便が生後2~3日排泄され、その後移行便となり、泥状の黄色便になります。
生後24時間たっても排便がない場合は、鎖肛や先天性消化管閉鎖症が疑われます。また、便の色が異常な場合(黒・赤・白)は病気が疑われます。尿は1日6~20回、便は1日数回~10回くらい出ます。授乳の度におむつ替えになると考えて良いでしょう。
・皮膚
血液の中にビリルビンという胆汁色素がたまって、これが皮膚や白目にできて黄色く見えることを黄疸といいます。新生児は肝臓の働きが未熟なため、ビリルビンを処理できないため、黄疸が起こります。新生児黄疸は生後2~3日ごろから出現し、5~6日頃から薄くなって約3週間で消えます。黄疸が強い場合には特殊な光を皮膚に当てる光線療法をすることがあります。
また、生後2~3日ごろから皮膚がポロポロと剥がれ落ちる新生児落屑(しんせいじらくせつ)が表れます。
新生児落屑があり、皮膚の乾燥が強いと出血することがあるので、スキンケアをしましょう。さらに浮腫、皮下出血、チアノーゼ、紅斑の有無などからも新生児の健康状態を把握することができます。
・その他
大泉門の有無、産瘤(赤ちゃんが産道を通るときにできたこぶ)や頭血種(頭の骨と骨膜の間のこぶ)の有無、血腫の有無、顔面の奇形の有無、四肢の状態、外陰部の異常の有無などから健康状態を把握します。
1カ月健診で健康状態を診てもらいましょう
1カ月健診は、母乳やミルクをしっかり飲んでいるか、体重が順調に増えているかを確かめるのが大きなポイントです。診察では手足の動き、姿勢や筋肉の状態、音や光に反応があるかなどを確認します。また、原始反射の様子も見ます。
この時期は赤ちゃんとの暮らしが始まったばかりで、お母さんの不安が広がりやすい時期でもあります。授乳による睡眠不足で疲れもたまっています。
健診はお母さんの健康をサポートする場にもなっていますので、気になることがあれば、どんな些細なことでも相談しておきましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー