2021年11月30日
赤ちゃん・子育て

新生児の体と健康状態  赤ちゃんの体について知っておきましょう

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

新生児の体の特徴

新生児とは、生後4週未満の赤ちゃんのことです。新生児の体の特徴を見てみましょう。

・身長

約50cmで、生後1年頃には約1.5倍となります。

・体重

出生時においては約3,000gです。出生後2~3日は一時的に減少(生理的体重減少)しますが、10日程経てば元に戻ります。3カ月後には出生時の約2倍、1年後で約3倍に達します。

・頭囲

出生時の頭囲は平均33cm、長さは約12.5cmで身長の約4分の1にあたります。まだ骨がついていないため、前頭部と頭頂部の間の大泉門、頭頂部と後頭部の間の小泉門が開いており、ペコペコしています。

・胸囲

出生時の胸囲は頭より少し小さいです。1歳で、胸囲と頭囲がほぼ同じになり、それ以降は胸囲が大きくなっていきます。まだ胸の筋肉が発達していないため、しばらくは横隔膜を使って腹式呼吸をしています。

・首

新生児期はグラグラしています。3~4カ月頃には首がすわります。

・目

新生児の視力は0.01くらいで近くのものしか見えず、立体感もありません。光の区別はつきます。2~3カ月くらいでかなり見えるようになります。

・耳

聴覚はよく発達していて、お母さんのおなかの中にいる時から聞く能力を持っています。胎内で聞いた声や音などはしっかり記憶しているといわれています。

・鼻

匂いに敏感で、お母さんの匂いを嗅ぎ分けられます。

・口

おっぱいをくわえた赤ちゃんは唇と舌を使って上手に飲むことができます。新生児期の舌の感覚としては、すでに甘味と他の味とを区別できるといわれています。母乳とミルクの味の違いも2~3カ月になるとわかるようになってきます。

・肌

生後すぐは胎脂という白い脂肪分がついています。感覚はきちんとあり、痛みやかゆみも感じています。

・おへそ

へその緒(さい帯)の残りは生後1週間くらいでとれます。とれたばかりはジクジクしていることがあります。

・手、足

起きているときは手足をよく動かし、手は握っています。新生児には手のひらや足の裏に指などを当てると握り返してくる把握反射があります。また、足を床につけると歩くような動作をする原始歩行という反射が見られます。生まれてしばらくは手足を曲げる筋肉の力がとても強くなっています。

・股関節

股関節が柔らかく、M字形に開いています。太ももの骨と骨盤が重なる部分が浅いためにはずれやすいので、足を伸ばしたままの姿勢で長時間の抱っこや窮屈な服を着せることは避けましょう。

新生児の健康状態の把握

新生児の健康状態を把握するためには全身をくまなく観察することが大切です。

・呼吸

新生児の呼吸は、30~60回/分が正常範囲です。1分間で20回以下または60回以上の場合は呼吸障害があることが疑われます。新生児は肺機能が確立していないので浅く不整な呼吸になります。

・体温

新生児の体温は平熱が36.5~37.5度くらいで体温調節機能が未熟です。体温が外気温の影響を受けやすく、簡単に上がったり下がったりするので、室温には注意が必要です。赤ちゃんの状態をよく見て触り、汗ばんでいないか、手足が冷たくなっていないかをこまめに確認しましょう。

・脈拍

新生児の脈拍数は1分間で120~160回が正常範囲といわれています。

・尿、便

生後24時間以内に初回排尿があります。尿の色は無色または淡黄色の透明が基本ですが、一時的に黄色が強く混濁することがあります。便は生後24時間以内に初回の胎便を排泄します。胎便とよばれる粘り気の強い暗緑色の便が生後2~3日排泄され、その後移行便となり、泥状の黄色便になります。

生後24時間たっても排便がない場合は、鎖肛や先天性消化管閉鎖症が疑われます。また、便の色が異常な場合(黒・赤・白)は病気が疑われます。尿は1日6~20回、便は1日数回~10回くらい出ます。授乳の度におむつ替えになると考えて良いでしょう。

・皮膚

血液の中にビリルビンという胆汁色素がたまって、これが皮膚や白目にできて黄色く見えることを黄疸といいます。新生児は肝臓の働きが未熟なため、ビリルビンを処理できないため、黄疸が起こります。新生児黄疸は生後2~3日ごろから出現し、5~6日頃から薄くなって約3週間で消えます。黄疸が強い場合には特殊な光を皮膚に当てる光線療法をすることがあります。
また、生後2~3日ごろから皮膚がポロポロと剥がれ落ちる新生児落屑(しんせいじらくせつ)が表れます。

新生児落屑があり、皮膚の乾燥が強いと出血することがあるので、スキンケアをしましょう。さらに浮腫、皮下出血、チアノーゼ、紅斑の有無などからも新生児の健康状態を把握することができます。

・その他

大泉門の有無、産瘤(赤ちゃんが産道を通るときにできたこぶ)や頭血種(頭の骨と骨膜の間のこぶ)の有無、血腫の有無、顔面の奇形の有無、四肢の状態、外陰部の異常の有無などから健康状態を把握します。

1カ月健診で健康状態を診てもらいましょう

1カ月健診は、母乳やミルクをしっかり飲んでいるか、体重が順調に増えているかを確かめるのが大きなポイントです。診察では手足の動き、姿勢や筋肉の状態、音や光に反応があるかなどを確認します。また、原始反射の様子も見ます。
この時期は赤ちゃんとの暮らしが始まったばかりで、お母さんの不安が広がりやすい時期でもあります。授乳による睡眠不足で疲れもたまっています。

健診はお母さんの健康をサポートする場にもなっていますので、気になることがあれば、どんな些細なことでも相談しておきましょう。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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