帝王切開って?
私は2日間の陣痛促進剤投与もむなしく、緊急帝王切開となりました。
経腟分娩にはこだわりがなかったため、医師に帝王切開で出産するか、あともう一日陣痛促進剤投与を行うか聞かれた時、すぐに「帝王切開で子供を出してください」と懇願しました。医師は「患者さんのおなかを切ることに抵抗がないとは言えない」と言っていましたが、私は一刻も早く、この闘いを終えたいと思ったので、帝王切開で第一子を出産することになりました。
帝王切開手術の簡単な説明を受けましたが、切り方はお臍の下を真横に約30cm、麻酔は下半身のみ。そもそも無痛分娩のための硬膜外麻酔のチューブが既に挿入されていたのですが、そこのチューブから、もう少し強力な麻酔薬を入れて帝王切開手術という運びになりました。
帝王切開後の過ごし方 -出産直後
下半身麻酔とはいえ、帝王切開も立派な手術ですので、帝王切開後は麻酔の影響が体に残っていました。
帝王切開後、下半身は確かにあまり感覚がないのですが、意識はあるので生まれたばかりの赤ちゃんとの写真撮影などは可能です。ですが、手術の影響で熱が上がってくるのがわかるぐらい体がガタガタと震え、寒気がしてきました。看護師が私の体を毛布でぐるぐる巻きにしてくれました。その後のことはあまりよく覚えていません。硬膜外に刺してあるチューブからまだ鎮静剤が入ってきていたので、その晩はガタガタと震えながらも、痛みをあまり感じずに毛布にくるまって眠ることができました。
帝王切開後の過ごし方 -出産翌日からの日々
帝王切開の翌日は体の震えは治まり、熱も高熱を脱したようでした。ですが、脚にはエコノミークラス症候群予防のためのポンプが繋がれていて不便で、背中にはチューブが入ったままで寝返りが打てず、不快でした。そしてチューブから入っていた鎮静剤がなくなり、追加投与もしてもらえず、そこから痛みとの闘いが始まりました。
鎮静剤がなくなるとチューブが抜けるのですが、そのおかげで少しは体を動かせるようになります。ですが、おなかの切り傷なのか、子宮が元に戻ろうとしている後陣痛なのか、どこに原因があるかわからない痛みがずっと続きました。
チューブからの鎮静剤がないため、坐薬か飲み薬での鎮痛剤が処方されました。飲み薬は効いてくるのが遅いということで坐薬を勧められましたが、坐薬には抵抗があり、最初は飲み薬を飲みました。ロキソニンが効いてくるまでに最低30分はかかり、およそ3時間後から効果が薄れ、4時間経ったころにはほとんど効いていない状態でした。ですが、鎮痛剤は6時間おきにしか飲めないので、最後の2時間ぐらいは体をじっとしていてもジンジン、またシクシクとした痛みが続きました。その間、赤ちゃんのお世話もあり、面会者(主に新米パパと実母)が来てくれるので、ずっと寝たきりというわけにはいきません。
ですが、腹筋に力を入れて起き上がることはほぼ不可能で、咳払い、くしゃみはおなかを押さえながらでないとできませんでした。帝王切開後は回復が遅いと読み聞きしていましたが、これだけ痛みで体を動かせなかったら回復が遅いことに納得してしまいました。
結局、半べそをかきながら看護師にまだ前回の飲み薬から6時間経ってないのか?と何度も聞き、次は効きが早い坐薬にしてください!と訴え、この状態が3日ほど続きました。帝王切開後3日間、6時間おきに鎮痛剤を服用していました。
ようやく4日目ぐらいから鎮痛剤を使いながらも、ベッドから起き上がってトイレに行ったり、赤ちゃんのお世話をしたりすることができるようになりました。
帝王切開後の痛みと傷跡
帝王切開後の痛みが完全に消失するまでには4、5日ほどかかりました。これは後陣痛の痛みが治まってきたということで、切り傷の痛みはまだ残っていました。ですが、これは腹筋に力を入れなかったら、それほどの痛みではなく、また帝王切開後4日ほど経てば少し我慢ができるような痛みになってきていました。
傷跡は自分で見ることができなかったのですが、傷口の保護がガーゼからテープに変わっていきました。痛みと痒みの両方が出てくるようになりましたが、やはり傷口を保護剤の上からでも触りたくなかったので痒みもかけずに我慢が続きました。
2人目も帝王切開
第一子の出産から4年後に第二子も帝王切開で出産しました。第一子が帝王切開だったということで第二子も帝王切開となりました。第二子は産院が違いましたが、切り口も第一子の時とほぼ同じところになっていると思います。
第二子の時は第一子の教訓もあり、また看護師からもなるべく早く体を動かすことが大事だと言われていたので、帝王切開後、翌日からおなかを支えながら、ベッドから起き上がり、トイレに行くようにしました。尿の管が気持ち悪かったので早く抜きたかったので、そのためにはトイレに自力で行けなくてはなりません。帝王切開後で大変なのは、やはりトイレだと思います。トイレに座る時、立ち上がる時にも腹筋を使いますし、当然ベッドから起き上がってトイレに行く時、戻ってベッドに座って脚をベッドに戻して横になる時も腹筋を使うので、帝王切開後の試練で一番大変と言っても過言ではないかもしれません。
ですので、このトイレへの行き来が自力でできるようになると、帝王切開後の回復が早いのではと考え、第二子の帝王切開後にはなるべく早く自分で体を動かそうと頑張りました。看護師も驚いていたほどです。
第一子の時と比べ、自分で意識して動いた分、痛みも第一子の時のように悶え苦しむことはなく、連続の鎮痛剤服用も必要ありませんでした。
帝王切開後の過ごし方は人それぞれ
出産は十人いれば十人とも違う、と言いますが、当然、帝王切開と帝王切開後の過ごし方も十通りあると思います。痛みの感受性も違いますし、経産婦は経験がある、というだけで心の余裕もあります。
未知の世界ではない、という強みもあり、第二子以降は痛みへの許容範囲が広がるのかもしれません。
出産もそれぞれ、赤ちゃんもそれぞれですので、一概には言えませんが、帝王切開は手術で体にメスを入れて切っているわけですから、痛みがないはずがなく、それには適切に鎮痛剤で対処することができます。あとは意識して体を動かし、自分の免疫力を信じ、早く回復するように努めるのが帝王切開後の過ごし方で大切なのではないかと今になって思います。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー