帝王切開での出産を予定しているが、入院前から手術後の流れがわからず、不安になっていませんか。
帝王切開の流れは、出産前に入院するなど自然分娩とは異なる点があるのです。
この記事では、おもに「帝王切開の手術前日から退院までの流れ」を解説していきます。
この記事を読むと、帝王切開前の不安がやわらぎますよ。
【これで安心】帝王切開の手術前から退院までの流れ
帝王切開は自然分娩と異なり、出産前日に入院するケースが多いです。
手術前日から退院までの流れを以下4ステップで解説していきます。
1. 手術前日
2. 手術当日
3. 手術後
4. 退院
医療機関によって違いがあるため、具体的な流れを知りたい場合は出産予定の医療機関へ確認しましょう。
手術前日
・同意書の確認
・入院生活、手術の流れの詳しい説明
・母体のバイタルサインのチェック
・胎児の健康チェック(NSTモニターなど)
NSTモニターとは、ノン・ストレス・テストの略で、胎児心拍数モニタリングともいいます。
胎児の心拍数を調べ、赤ちゃんが元気かどうかを確認することができます。
・手術部位の剃毛とシャワー
例)手術部位を清潔に保つ、感染リスクを抑える など
手術に備えて、手術部位を清潔に保ち、また感染リスクを抑える目的で行われます。
・夕食後は絶食
絶食する時間は病院ごとに異なる
前日の夜から、飲食の制限が始まります。
絶食する時間は病院ごとにことなります。
また、胃腸に負担のかからない術前食が用意される場合もあります。
入院前に身の回りの整理を済ませておきましょう。
手術直後は思うように動けず、数日間は痛みで行動が制限されてしまうからです。
あとは翌日の手術に備えて、ゆっくり休息をとりましょう。
手術当日
手術当日の流れは以下のとおりです。
1. 手術前の準備
2. 手術
3. 帰室
順番に見ていきましょう。
手術前の準備
・お母さんのバイタルサインのチェック
・赤ちゃんの健康チェック(NSTモニターなど)
・手術着へ更衣
・弾性ストッキングを履く
・血管確保、手術前の点滴開始
・手術室へ移動
・麻酔をかける
・尿管カテーテルを入れる
手術
局所麻酔の場合は意識があり、自身の体調や麻酔の効き具合を医師と話したり、赤ちゃんの産声を聞いたり、赤ちゃんの体調によっては顔を見たりできます。
実際に切開を開始してから「5~10分程度」で赤ちゃんが産まれてくるでしょう。
赤ちゃんが誕生したあとは、胎盤を取り出し、出血の状態や残留物の有無などを確認します。
その後、おなかを縫合していきます。
意識があるままだと、つらい場合には、軽い睡眠薬などを投与してもらい、縫合の最中は眠って過ごすことも。
状況によって手術時間は変化しますが、手術開始から終了まで「40~60分」麻酔の時間も入れて「2時間以内」に終わることが多いです。
帰室
自身の体調が戻れば、ベッドやストレッチャーで入院している部屋へ戻ります。
手術の麻酔が切れたら、注射や座薬など鎮痛剤を投与したり、予め持続的硬膜外麻酔でコントロールしたりします。
方法は医療機関によって異なるため、気になる人は事前に確認しておきましょう。
手術後
痛みはありますが、自身の体調がよければ、体をどんどん動かしましょう。
余裕があれば、赤ちゃんのお世話もできます。
手術後の生活について、くわしく見ていきましょう。
歩行の開始
血栓予防のために、早めに体を動かすことがすすめられています。
そのため、通常は手術の翌日から歩行を始めるケースが多いです。
最初は助産師、看護師のサポートを受けながらゆっくりと体を起こし、少しずつ歩いてみます。
歩くのは大変ですが、動いたほうがその後の回復も早く、楽になれるため、頑張って動くようにしましょう。
食事
食事は麻酔の種類によって多少変わる場合もありますが、腸の動きが確認できれば、流動食が始まります。
体を動かして腸を刺激し、聴診器などで腸が動いているのを確認できれば徐々に固形食へ移行されるでしょう。
育児・授乳
入院日数や自身の回復具合によりますが、術後2~3日目から赤ちゃんのお世話が始まります。
おなかの傷が痛くて授乳が大変なときは、助産師や看護師の手を借りて無理のない範囲で進めていきましょう。
体が思うように動かず痛みもあるため、赤ちゃんの抱き上げやおむつ替えも大変だと感じるかもしれません。
しかし日に日に痛みは落ち着き、できることも増えていくため、焦らなくて大丈夫ですよ。
シャワー
母体の体調や傷の回復具合を見て、2~4日目くらいから許可が出ます。
それまでは温かいタオルで体を拭いて過ごします。
気分の変化
産後1週間前後に、ホルモンの関係で気持ちが落ち込むことがあります。
帝王切開分娩の場合、身体が思いどおりに動かず、赤ちゃんのお世話が十分できなかったり、母乳の出が悪かったりと落ち込むことがあるかもしれません。
しかし、まだ子育ては始まったばかりです。
体が回復すればできるようになると前向きに考え、気になることや不安なことはどんどん助産師や看護師に相談するようにしましょう。
退院
身体を動かすことや、赤ちゃんのお世話にも慣れてくるころ、手術後「5~8日目」に退院となります。
傷口にはかさぶたができており、医師から指示がない限り、傷口を何かで覆ったりする必要はありません。
帝王切開の流れFAQ
Q.妊娠何週で帝王切開になりますか?
A.陣痛はいつ始まるかわからないため、出産予定日の2週間くらい前の妊娠38週ごろに行うことが多いです。
これより早い時期では、赤ちゃんの呼吸が産まれた後に不安定になることがあります。
Q.麻酔はどれくらいで切れますか?
A.腰椎麻酔の場合は、手術後2時間程度で切れます。
硬膜外麻酔は手術後に麻酔薬を注入することができ、麻酔が切れたあとの痛みを緩和できます。
まとめ
帝王切開にかかる時間や、手術の流れのイメージなどお伝えさせていただきました。
前日から手術の準備が必要であったり、当日、術後の回復についてもご不安を感じることもあったかと思います。
しかしながら、おなかのなかの赤ちゃんに会えるのももうすぐです。
出産は、不安と隣り合わせですが、赤ちゃんとの対面という人生の中でも、もっとも素晴らしい瞬間が待っています。
どうぞ、良いご出産の時をお迎えください。
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この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー