2021年10月26日
赤ちゃん・子育て

季節の変わり目に気をつけたい赤ちゃんの体調管理

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

季節の変わり目は日によって暑かったり寒かったりと気温が安定せず、大人でさえ体調管理が難しいですよね。
まだお話しすることのできない赤ちゃんの体調管理はなおさら難しく、お母さんを悩ませてしまいます。
今回は赤ちゃんに風邪をひかせず快適に過ごしてもらうためのアドバイスをまとめます。

赤ちゃんの体

産まれたての赤ちゃんはお母さんからの免疫をもらっているので、生後3カ月くらいまでは熱はほとんど出さないといわれています。しかし、生後約半年を過ぎるとお母さんにもらった免疫はなくなってしまい、風邪などをひきやすくなってきます。ですから、ちょうど生後半年あたりから1歳になる頃までは特に体調管理に注意してあげましょう。

また、赤ちゃんは体温調節の機能が大人に比べると未熟です。そのため、赤ちゃんの体温は周りの気温に左右されてしまうのです。
特にどちらかというと赤ちゃんは暑がりなので、いつの時期も赤ちゃんが暑がっていないかを気にしてあげます。
たまに赤ちゃんの手や足の裏を触ると少し冷たいので心配する方もいると思います。
眠い時や体調が良くない時などに温かくなることもありますが、基本的に赤ちゃんの手足はすこし冷たいことが多く自然なことなので、背中やおなかなど体の中心が温かければ問題なし、心配しなくても良いでしょう。

そして赤ちゃんの鼻の穴を見てみてください、とっても小さいですよね。
生後3カ月頃までの赤ちゃんは特にこの小さい鼻の穴の奥も大変狭く、なおかつ粘膜からの分泌物が多いので鼻詰まりを起こしがちです。ちょっとした気温や湿度の変化で、すぐに鼻が詰まってしまいます。
赤ちゃんの呼吸は鼻呼吸が基本で、口で呼吸するのが苦手なので、少しでも鼻が詰まるとうまく母乳が飲めなかったり、寝付けなかったりしてしまいます。

気温と湿度

・暑さ対策
赤ちゃんの体調管理をする上で、まず気をつけたいのが気温です。
近年の夏の暑さは大人でも耐え難いものがありますので、暑がりの赤ちゃんはなおさらですね。さらには夏へと変わる前の梅雨の時期から湿気でムシムシして室内が不快になりがちです。
眠い時や体調不良ではない時に赤ちゃんの手足に触れてあたたかい、背中やおなか、脇の下が汗ばんでいる時は赤ちゃんの暑いというサインです。また、ふっくらしてきた赤ちゃんでは首のしわを広げて赤くなっている時も同じように暑いときのサインになります。

梅雨から夏にかけての暑い時期は室内では冷房を使って25〜28度に保ちましょう。暑い日は昼間だけでなく、夜も連続して冷房を使うことを強くお勧めします。寝ている間も赤ちゃんはたくさん汗をかくので、暑さを我慢させないようにしてください。

・寒さ対策
秋から冬になるときは、朝や陽が落ちた後に急に気温が下がることもあります。室温は22〜23度が最適です。部屋の暖めすぎに気をつけて暖房を使いましょう。肌着とウェアをきちんと着せ、さらに寒くなってきたら、出かける時には抱っこ紐やベビーカーに被せる毛布やカバーで調整します。

夜寝る時には掛け布団をうまく掛けてくれない赤ちゃんも多いでしょうからスリーパーを着せてあげると良いですね。ただ、寒い時期だからといって、外出や寝る時など、あまりモコモコと着せてしまうと赤ちゃんの体内に熱がこもってしまうこともあります。
暑さ対策の時と同様に暑すぎのサインをチェックしながら調整してあげましょう。

・乾燥対策
赤ちゃんの体調管理に乾燥は大敵です。エアコンの風が直接赤ちゃんに当たらないように注意し、室内の湿度は60%を目安にして加湿器などで調節しましょう。
加湿器がない時は洗濯物の部屋干し、または濡らしたバスタオルを干すだけでも湿度をある程度保つことができます。加湿が大切とはいえ、カビやダニの発生を抑えるために1日に数回、2〜3分ずつでも換気をするようにすれば、赤ちゃんの体調管理もばっちりですね。

風邪をひいてしまったら

気温や湿度と赤ちゃんに最適な環境を整えて体調管理をしていても風邪をひいてしまうことはあります。
では、そのような時の対処法や病院を受診すべき目安をご紹介します。

・鼻詰まり
前述のように赤ちゃんの鼻はとても詰まりやすく、風邪でなくてもしょっちゅう詰まってご機嫌ななめの赤ちゃんもいます。熱がなければお風呂で体を温めてあげたり、蒸しタオルで顔を温める、クッションなどを使い、上体を起こして少し頭を高くします。
赤ちゃん自身で鼻をかむことはできないので、詰まりがひどい時は鼻水吸引機を使っても良いです。
ただし、口で吸うタイプの鼻水吸引機はお母さんにも風邪がうつる場合もあるので注意してください。

・発熱
赤ちゃんの平熱は大人より高く、37℃以上出てしまうことはよくありますが、以下の症状がある場合は病院の受診が必要になります。
・熱が38℃以上出ている
・咳や鼻水が出ている
・耳を触ると嫌がる(中耳炎の可能性があります)
・ミルク、母乳を飲まない
・嘔吐や下痢がある
・発疹が出ている(風疹、麻疹、水疱瘡などの可能性があります)
・ぐったりしている
・けいれんが起こった
・泣き止まない、全然眠れていない
基本的にミルクや母乳をよく飲み、ご機嫌でよく眠れていれば焦って受診する必要はないので様子を見ても良いでしょう。少し熱がこもっているかもしれないので、布団のかけ過ぎに注意したり、少し薄着にしてみたりしながら十分に水分補給をしてあげてください。

さいごに

赤ちゃんの体調管理はもちろんのこと、お母さんの体調管理も大事です。
赤ちゃんは家族から病気をもらってしまうことが多いので、お母さんが風邪をひくと赤ちゃんも体調を崩してしまうし、逆に赤ちゃんが体調を崩した時も、ずっとお世話をしているお母さんはもれなく病気をもらいがちです。
ご自分が絶不調の時の赤ちゃんのお世話はとても大変ですから、とても難しいことかもしれませんが、赤ちゃんが風邪をひいてしまった時は、なんとかうつらないよう気をつけてください。
育児を続けていくなかで、お母さんの体調管理こそがとても大切なことといえるかもしれません。
普段からできる限り睡眠や栄養をとるなどして、お母さん自身の体も大切にしてくださいね。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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