【基礎体温とは?】
みなさんは基礎体温を記録していますか?
私は学生の頃、生理不順だったので何度か基礎体温を記録しましたが、いつも「低温期」と「高温期」のない無排卵や黄体機能不全と診断されていました。
まだ若いから生理不順でも仕方がないのかなと思っていましたが、社会人になっても改善されず、たまたま風邪で受診した内科で甲状腺機能低下症(橋本病)を指摘されました。
軽度の甲状腺機能低下症だったため、ヨウ素の多い海藻類を控えるだけで生理不順も改善し体温も「低温期」と「高温期」にわかれるようになりました。
社会人になってからは生理周期によって体調が変わるので、予定を立てる目安としていつも測るようになり、今でも表を冷蔵庫に貼って、ほぼ毎日記入しています。(たまに忘れちゃう日もありますが・・・)
基礎体温とは、生きていくために必要な最小限のエネルギーしか消費していない時の体温のことです。
測り方は朝起きてすぐ、ほとんど動かずに、舌の下で、毎日同じ時間に測るのが一般的ですが、最近では生活スタイルも多様化していますから、朝という時間にこだわらず、4時間ほど安静(睡眠)した後、同じように測り記録すれば、基礎体温を把握することができると思います。また、基礎体温専用の体温計がない場合は、脇の下で10分測れば舌の下で測った体温と誤差はないそうです。(数十秒で測れてしまう体温計は予測体温なので、必ずしも正確ではありません。体調の変化の目安として考えて測ると良いと思います。)
【妊娠初期の体温は高い】
正常に排卵が起こり、生理周期の整っている人の場合、生理開始から排卵までの2週間が「低温期」となり36.3℃前後、排卵日から生理開始までが「高温期」となり36.7℃前後になります。
生理開始日を妊娠0週0日と数えるので、次の生理予定日までに妊娠していれば妊娠4週と数え、妊娠2カ月目になります。
この頃に「あれ?生理こないなぁ~」「体ダルいなぁ」と感じて、検査薬を使う方が多いと思います。
私自身、2人の子供がいますが、一番初めに気付いた体の変化は体のダルさと風邪の引き始めのような火照り感でした。
風邪ではなさそうなのに体が熱く、37℃の微熱が2日続き、生理前の高温期ともなんだか違う感じだったので、なんとなく「あ、妊娠したかも」と気付けました。
もちろん個人差がありますので、わかりやすく変化が現れる人といつもと変わらない人と様々だと思いますが、体温上昇は妊娠初期のサインの1つになると思います。
ほとんどの人が妊娠初期に36.7℃以上の高温期が続くようです。そして14週頃から徐々に下がり始め、平熱に戻ります。
【何故体温が高くなるの?】
毎月生理が起こるのは、排卵日までは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が作用し、排卵日以降は「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が作用しているからです。
通常は「エストロゲン」により子宮内膜が厚くなり、赤ちゃん(受精卵)のベッドの用意を始めます。そして「プロゲステロン」により、厚くなった子宮内膜をより妊娠に適した状態を維持し、ベッドをフカフカにして赤ちゃん(受精卵)を待ちます。
妊娠しなければ、プロゲステロンの分泌が減り、子宮内膜をリセットします。
無事赤ちゃん(受精卵)を授かり着床できたら、子宮内膜をリセットしないためにプロゲステロンが分泌され続けます。このため「高温期」が継続し、体温が高くなっているのです。
ホルモンの分泌は通常卵巣からされていますが、妊娠14週頃には胎盤が完成し、ホルモン分泌が胎盤からされるようになります。
そのため、妊娠初期に起こる体温上昇や悪阻などが落ち着き、気分もスッキリしてきます。
【体温は健康のバロメーター】
妊娠初期に体温が高くなることは知っている人も多いかもしれませんが、14週までに下がってしまっても、一時的なことがほとんどですので心配しないでくださいね。
悪阻などでゆっくり睡眠できなかったりするだけで、体温が下がることもありますし、うまく測れなかった日もあるかもしれません。
一時的に下がってもまた数日で高温層に戻れば大丈夫です。
また14週以降もしばらく高温が続く人もいます。風邪や他の病気を患っていなければ、こちらも問題視されることはないでしょう。(妊娠に気付いたことで以前より体を冷やさないように気遣う妊婦さんも多いと思いますので、平熱自体が妊娠前より上がるのだと思います。)
しかし、妊娠初期の体温低下は良くない結果を招くこともあります。
体温低下とともに腹痛や出血があった場合は、すぐに病院を受診してください。
【最後に】
体温を測ることは体の変化が顕著に表れるので、とてもわかりやすく異変に気付きやすいものです。
妊娠を心待ちにしている方も、現在妊娠中の方も体調の変化に敏感になっていることと思います。
体温を測ることで安心もできますが、反対に不安になってしまうこともありますので、体温の変化だけで一喜一憂せず、リラックスして日々を過ごしてみてくださいね。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー