妊娠初期に起こる腹痛やお腹の張りの原因とは?対処法も解説

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

妊娠がわかると期待と不安でいっぱいになります。
同時に、からだの変化、気になる症状が出てきた人もいるのではないでしょうか。
特に初めての妊娠だと、「このおなかの痛みは何だろう?」「問題はないのかな?」と、わからないことだらけですよね。
赤ちゃんの成長とともにママのからだも少しずつ変化していきますが、痛みや変化には個人差があり、人それぞれ。
そんな不安が少しでも減るように、
・【症状別】妊娠初期の腹痛の原因
・妊娠初期のお腹の張りの原因
・おなかの張りや腹痛への対処法
についてご紹介します。
【症状別】妊娠初期の腹痛の原因
妊娠初期に腹痛を感じる原因を、以下のような症状別に解説していきます。
・左右どちらかがチクチク痛む
・下痢
・出血を伴う腹痛や激痛
順番に見ていきましょう。
1.左右どちらかがチクチク痛む
妊娠すると、ごく初期に着床痛としてチクチクした痛みを感じる場合があります。
またおなかの赤ちゃんが成長するにつれて、筋肉や靭帯が緩んで子宮が広がろうとします。
その際子宮が左右均等に大きくなるわけでないので、左右どちらかの靭帯がひっぱられてチクチクした痛みが出ている可能性があります。
2.下痢
下痢による腹痛に悩む人もいるでしょう。
妊娠初期はホルモンバランスの変化により下痢が起こりやすくなります。
また子宮が徐々に大きくなり、胃腸が圧迫されることで消化されにくくなり、下痢を引き起こすこともあります。
3.出血を伴う腹痛や激痛
おなかの痛みに加え、出血を伴う場合や、我慢できないほどの強い腹痛の場合は、切迫流産や異所性妊娠などの可能性があるためすぐに受診をしましょう。
たとえ少量の出血であっても、医師の診察を受けた方が安心です。
妊娠初期にお腹が張る3つの原因
妊娠初期のお腹の張りは、妊婦さんに起こる一般的な症状です。
原因としては、おもに以下3つがあげられます。
・子宮の成長
・ホルモンバランスの変化
・胎盤の形成
順番に解説していきます。
原因1:子宮の成長
妊娠前の子宮の大きさは、鶏の卵くらいといわれていますが、妊娠初期の終わり頃には新生児の頭くらいの大きさになるため、お腹の張りを感じやすくなります(※1,2)。
子宮が成長するのは、おもに「プロゲステロン」「エストロゲン」と呼ばれる2種類のホルモンの影響です。
また子宮の成長によって周囲の臓器が圧迫されることにより、頻尿や便秘といった症状が現れることもあり、これらもお腹に張りを覚える要因になります。
(※1)出典:独立行政法人国立病院機構霞ヶ浦医療センター「子宮腺筋症Q&A Ver.4」
(※2)出典:かすみがうら市公式ホームページ「妊娠期間」
原因2:ホルモンバランスの変化
前述したように妊娠初期は「プロゲステロン」「エストロゲン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。
これらのホルモンが、
・消化器系の動きを鈍らせ、ガスの滞留や便秘を引き起こす
・胃酸の分泌を抑制し、消化のスピードを遅くする
・体内の水分保持を増加させ、むくみやすくなる
といった症状を引き起こし、お腹の張りを感じやすくなるのです。
原因3:胎盤の形成
胎盤は妊娠初期から形成されはじめ、妊娠12〜15週頃に完成します(※3)。
この胎盤形成の過程で、
・子宮内に新しい血管が形成される
・子宮の血流が増加する
・子宮壁が変化し、厚みが増す
といった変化によって、お腹の張りを感じるケースがあるのです。
とくに血流は子宮の重量を増加させ、下腹部に圧迫感を感じさせる原因となります。
(※3)出典:一般財団法人 女性労働協会内(厚生労働省委託事業)「職場における母性健康管理パンフレット 働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために」
妊娠初期に起こるお腹の張りで注意したい症状
お腹の張り以外で以下のような症状がある場合「子宮筋腫」の可能性があります。
・出血
・腰痛
・頻尿
子宮筋腫とは、子宮筋から生じた良性の腫瘍で、30歳以上の女性の「20〜30%」にみられやすい病気です(※4)。
⼦宮筋腫によって⼦宮の内腔がでこぼこになると、不妊や流産、早産の原因になる場合があります。
上記のような症状がみられたときは、早急に医療機関で受診しましょう。
(※4)出典:公益社団法人 日本産科婦人科学会「子宮筋腫」
妊娠初期の腹痛やお腹の張りへの対処法
腹痛やお腹の張りに対する表現は、千差万別なので一概にはいえませんが、
「チクチクしたような痛み」
「おなか全体が引っ張られるような痛み」
「下腹部の違和感」
「生理痛のような痛み」
このような例が挙げられます。
今まで経験したような、してないような、耐えられるような、耐えられないような…おなかの赤ちゃんは大丈夫かな?と不安な気持ちになってしまいますよね。
そこで、妊娠初期の腹痛やお腹の張りについて、一般的な対処方法をご紹介します。
1.安静にする
まずは、ゆっくり過ごしてみてください。
楽な服装や姿勢で安静にしてみて、痛みが弱くなったり、改善した場合は様子を見て、大丈夫といえる可能性が高いです。
2.体を温める
体の冷えが原因の可能性もありますので、生姜など温まる食材を摂取したり、ブランケットや湯タンポなど、冷え対策のアイテムを使って対処しましょう。
安静にしてみても、引き続き、強い痛み・出血を伴う場合は産婦人科を受診しましょう。
3.市販薬の自己判断での使用はNG
痛みを抑えるために市販薬の使用を考えることもあるかもしれませんが、自己判断で薬を服用するのは危険です。
心配な場合は早めに受診しましょう。
4.下痢を伴う場合は、水分補給
下痢が続くと心配になりますが、症状が下痢だけであれば、赤ちゃんに影響があることはほとんどありません。
休息を十分に取り、脱水を防ぐためにも水分補給を積極的に行いましょう。
ただし、発熱や吐き気などの症状がある場合は、受診をしましょう。
5.出血や激痛を伴う場合はすぐに受診を
出血を伴う腹痛やおなかの張りの場合は、切迫流産のリスクや、受精卵が子宮内以外の場所に着床してしまう異所性妊娠の可能性もあります。
出血を伴う場合は、すぐに病院へ連絡を取り、受診しましょう。
【体験談】妊娠初期に腹痛と出血が…早めの受診が大切と実感
私は妊娠初期に、生理痛のような痛みや出血があり、切迫流産といわれました。
出血があった時点で病院に相談し、受診を勧められたため病院に行きました。
安静に過ごすことで、この時期を乗り切ることができましたが、変だなと思ったら迷わず相談することが大切だなと思いました。
まとめ
妊娠初期の腹痛やおなかの張りは、赤ちゃんに何らかの影響がないかと、本当に心配になるものです。
原因には、下記のようなものが考えられます。
・子宮の成長
・ホルモンバランスによる消化器系の不調
・切迫流産や異所性妊娠
妊娠初期に腹痛やお腹の張りを感じたら、まずは無理をせずに安静にしながら、お腹を温めたり、下痢がある場合は水分補給につとめましょう。
このとき、自己判断で市販薬を使うのはやめましょう。
また強い痛みや出血を伴う場合は、迷わず病院に相談することが大切です。
妊娠初期は何かと不安の多い時期ですが、妊娠により「からだが変化している」という状態を受け止めながら、大切な赤ちゃんと自分の体を守っていきましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
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さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー