2024年12月12日
妊娠初期

妊娠初期の微熱が起きても大丈夫?2つの原因や胎児に与える影響も解説

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「微熱があるが、妊娠したことと関係あるのだろうか」
「胎児への影響が心配…」

と悩んでいませんか。

妊娠初期の微熱は、めずらしい症状ではありません。

実際、株式会社ゼネラルリンクが妊娠経験者を対象に行った調査によると「約32%」の人が、妊娠初期で微熱を感じたと回答しているからです(※1)。

また微熱程度では、胎児への悪影響はない場合がほとんどです。

この記事では、

・妊娠初期の微熱はいつまでつづくのか
・妊娠初期に微熱が起こる2つの原因
・妊娠初期に起こる微熱で胎児に与える影響

について解説していきます。

この記事を読むと、安心して妊娠初期を過ごせるようになりますよ。

(※1)出典:PR TIMES|株式会社ゼネラルリンク「妊娠初期症状・つわりに関する調査!76.8%は「日常生活に支障がある」【赤ちゃんの部屋】」

妊娠初期は平均37.25度の微熱がつづく

妊娠初期にみられる微熱は「平均37.25℃」であり、杏林大学医学部が発表した研究論文によると「妊娠15〜17週」までつづくといわれています(※2)。

ただし、あくまでも目安であり、個人差がある点はを理解しておきましょう。

妊娠中期まで微熱がつづく人もいれば、早く平熱に戻る人もいます。

(※2)出典:J-STAGE|杏林大学医学部産科婦人科学教室(本多 啓、阿部 穰ほか)「妊娠と基礎体温 (1) : 妊娠成立から分娩終了までの正常基礎体温の観察」杏林医学会雑誌 1972 年 3 巻 3 号 p. 149-156

妊娠初期に微熱が起こる2つの原因

妊娠初期に微熱が起こると、不安になる人もいるでしょう。

しかし微熱が起こる現象には、きちんとした理由があるのです。

理由はさまざまありますが、ここではおもな理由を2つに分けて解説していきます。

・ホルモンバランスの変化
・基礎代謝の上昇

順番に見ていきましょう。

原因1:ホルモンバランスの変化

妊娠初期は「プロゲステロン」を中心としたホルモンバランスが大きく変化する時期です。

プロゲステロンは妊娠を維持し、子宮内膜を整えるために必須のホルモンで、体温調節にも影響を与えます。

プロゲステロンは妊娠が確認された直後から増加し始め、基礎体温を上昇させます。

また、エストロゲンやhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)なども増加し、これらのホルモンが複雑に作用し合うことで、微熱が引き起こされるのです。

原因2:基礎代謝の上昇

妊娠すると、胎盤の形成や子宮の血流が増加して、通常よりもエネルギー消費が多くなります。

エネルギー消費が多くなると、体内では代謝が活発になって熱が発生します。

つまり基礎代謝が上がれば上がるほど、より多くの熱が発生することになり、体温上昇につながるのです。

妊娠初期に起こる微熱で胎児に悪影響はない

妊娠による体温上昇由来の微熱であれば、胎児への悪影響はないと考えてよいでしょう。

しかし高熱に伴い、

・悪寒
・頭痛
・倦怠感
・咳や鼻水
・腹痛や出血

などの症状がみられる場合は、医療機関で相談してください。

上記以外の症状でも、体に異変を感じたときは医療機関で受診しましょう。

もし、風邪をひいてしまったとしても、自己判断での薬の服用は厳禁です。

そのほかにも、注意したいことや対処法を知りたい人は下記も参考にしてみてくださいね。

妊娠中に風邪をひいてしまったら?赤ちゃんへの影響や対処方法を解説

妊娠初期の微熱に関するQ&A

ここでは妊娠初期の微熱について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

土肥 聡
2004年北里大学医学部医学科卒業。 同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。 昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。 2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。 同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
質問
妊娠初期特有の微熱とそれ以外の熱の見分け方は?
回答者
土肥先生
妊娠初期は、妊娠を維持しようとするホルモンの影響を受けて、体温が37度近い微熱を感じる方が多いです。

しかし、38℃以上の高熱、関節痛、のどの痛みや咳が出る、などの症状の場合は、風邪やその他の病気の可能性がありますので、内科やかかりつけ医を受診するようにしましょう。

質問
妊娠初期の前半に微熱がおさまり逆に不安です…
回答者
土肥先生
通常、妊娠初期の微熱は妊娠14週くらいに収まります。

妊娠14週までに下がってしまっても、一時的なことがほとんどです。

また悪阻などが原因で十分な睡眠できないと体温が下がることもあります。

質問
妊娠初期に微熱があっても仕事して大丈夫?
回答者
土肥先生
妊娠初期はホルモンバランスの急激な変化によって、微熱以外にもつわりや頭痛などの症状が出ることがあります。

そのような症状がある場合には、無理をせず過度な疲労やストレスを避けることが大切です。

 

まとめ

妊娠初期にみられる微熱は、妊婦さんに起こる自然な現象だといえます。

平均37.25度程度の微熱が妊娠15〜17週頃まで続くことが一般的で、約32%の妊婦さんが経験する症状です。

熱程度であれば胎児への悪影響はありませんが、あきらかな高熱や悪寒、頭痛などの症状が伴う場合は、必ず医療機関で受診しましょう。

また、風邪をひいた場合でも、自己判断での服薬は控え、必ず医師に相談してください。

妊娠中は体調の変化に不安を感じやすいものですが、微熱は赤ちゃんの成長を支えるための大切な過程です。

心配はし過ぎず、体調の変化を感じたら無理をせずに休息を取り、必要に応じて医療機関で相談してくださいね。

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この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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