妊娠中期に入ると、つわりも治まり、胎動も感じて、妊娠生活を楽しむ気持ちも膨らみますよね。
妊娠生活の中でも安定期と呼ばれて一番アクティブに過ごせるのが妊娠中期といわれています。
しかし、腹痛・おなかの張りなどがあるときは、切迫早産が心配される時期でもあります。
切迫早産は、早めの受診がポイントで、安静にすることで、妊娠が継続できることがほとんどといわれていますので、妊娠中期のプレママさんは、ぜひ参考にしてください。
妊娠中期の腹痛|原因と対策
妊娠中期は、おなかの赤ちゃんがぐんっと大きくなる時期。
胎動も感じやすくなり、日々の成長がより一層楽しみになりますが、妊娠中期に感じる特有の腹痛があるのをご存じでしょうか。
痛みの種類別に解説していきます。
ズキズキ・チクチクする
妊娠中期に入ると、赤ちゃんの成長に伴い子宮も大きくなっていきます。
子宮は時間をかけて徐々に大きくなりますが、その過程でチクチクするような痛みを感じることがあります。
片側だけチクチクとした痛みがあったり、おなかの下側がズキズキするように痛むといった症状が現れる人も。
妊娠経過が問題なくても起こる痛みですが、できるだけ安静にして過ごしましょう。
便秘・下痢をともなう
妊娠中はホルモンバランスが変化することで、便秘や下痢の症状が現れる人が多いです。
便秘の場合は、こまめに水分摂取し、可能であれば軽い運動をすると効果的です。
ひどい便秘の場合には、妊娠中でも飲めるお薬もあるので産婦人科で相談してみましょう。
また下痢に伴って嘔吐がある場合には、胃腸炎などの感染症にかかっている可能性もあるので、医師に相談しましょう。
こんな症状は注意!危険な妊娠中期の腹痛
・出血を伴う腹痛
・激痛
・規則的な間隔の腹痛
このような腹痛を感じる場合、妊娠経過に問題が起きている可能性があります。
たとえば切迫早産や常位胎盤早期剥離などです。
それぞれの症状や原因について、くわしく見ていきましょう。
注意1:切迫早産
切迫早産とは、妊娠22週以降に腹痛・おなかの張りや出血、子宮頚管が短くなるなどの症状がみられ、早産しかかっている状態です(※1)。
ただし腹痛やおなかの張り、出血などの自覚症状がないケースがあり、健診時の超音波検査で判明する場合も。
厚生労働省が公表している資料によると、全妊婦さんの約14%(7人に1人ほど)に切迫早産がみられたと報告されています(※2)。
また切迫早産では、胎児が未熟な状態で生まれてくるため、障がいや死亡などのリスクが高まります。
原因としては「絨毛膜羊膜炎」「妊娠高血圧症候群」「胎盤の位置異常」などがあげられます。
切迫早産の兆候としては、以下のような症状があげられます。
・出血
・水っぽいおりもの
・腹痛
・下腹部の痛み
・おなかの張り
上記のような症状がみられた場合、すぐに病院で受診しましょう。
また、受診後に切迫早産と診断されたら、自宅安静が第一です。
適切な治療と安静で、妊娠は継続できることがほとんどであるため、心配しすぎないようにしましょう。
家族や職場など、周りの人の協力を得ながら、安静にできる環境を整えましょう。
出典:
(※2)厚生労働省「第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会2019年3月15日」
注意2:常位胎盤早期剥離
妊娠中に、子宮から胎盤が剥がれ落ちてしまう現象をさします。
胎盤は胎児に酸素や栄養を与える重要な役割をもっているため、常位胎盤早期剥離が起こると、脳性麻痺や最悪の場合死亡するケースもあるのです。
国立研究開発法人国立成育医療研究センターが公表している資料によると「約100~200分娩に1例(0.5〜1.0%)」の頻度で起こるといわれています(※3)。
そのなかで、胎児が死亡に至る割合は「25〜30%」と報告されています(※4)。
また母体に関しては大量出血が引き起こされ、命にかかわるケースも。
実際「産科危機的出血」とよばれる大量出血で母体が死亡した症例のなかで、常位胎盤早期剥離が占める割合は「約8%」といわれています(※5)。
原因はまだ明確になっていませんが、以下が該当します。
・高血圧
・妊娠高血圧症候群
・喫煙
代表的な症状は、以下のとおりです。
・腹痛
・お腹の張り
・性器出血
これらの症状がない場合でも、体調に異変を感じる場合は迷わず病院で受診しましょう。
出典:
(※3、4)国立研究開発法人国立成育医療研究センター「胎盤がはがれる、常位胎盤早期剥離について」
(※5)J-STAGE|順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座 稲田順一「産科危機的出血への対応」日本臨床麻酔学会誌 2018年 38巻 5号 p712-717
【体験談】切迫早産で自宅安静中の過ごし方
自宅で安静にといっても、どうしたらよいのか悩みますよね。
私は、妊娠初期の頃に切迫流産と診断され、やはり自宅安静を余儀なくされた経験があります。
その際に実践したことを「家事」「身も心も穏やかに過ごす」という二つの視点からご紹介します。
家事
【料理】
料理の時間は、ほぼ立ち仕事になってしまいます。
料理が好きな人も、そうでない人も、なるべく台所に立つのを避けるか、極力時間を減らしましょう。
・ご飯を炊飯器で炊く、惣菜を購入する
・弁当を買う
・冷凍食品を活用する
・デリバリーで注文する
【洗濯】
干したり、畳んだり、意外と時間がかかりますよね。
家族に全行程を任せることができたら、お願いしましょう。
なかなか、そうもいかない時は、シャツなどはハンガーに干して、乾いたらそのままクローゼットへ(畳む手間を省く)。
洗濯乾燥機の場合は、乾燥工程まで行う(干す手間を省く)というのもよいかもしれません。
【掃除】
なるべく家族に掃除をお願いしましょう。
どうしても…のときは、掃除機をササッとかけたり、フローリングワイパーを使って部屋を一周くらいで、終わらすのがよいかと思います。
掃除機やワイパーを使用する際は、くれぐれもおなかに負担のかからない姿勢で。
また、雑巾がけやハードな掃除(窓の掃除等)は避けてください。
掃除ロボットや家事代行サービスなどを頼むのもよいでしょう。
【買い物】
移動、重いものを持つなど、買い物は意外と重労働です。
スマホやパソコンから、注文して宅配してもらうのが一番です。
また、その後の育児のことも考え、この機会にネットスーパーなどの宅配サービス利用に慣れておくのもおすすめです。
身も心も穏やかに過ごす
家事の負担を減らした分、休養に最大限のエネルギーを注ぎましょう。
安静・休養とは、睡眠をとることとは限りません。
身も心も穏やかに過ごす…
こんな時間が増えれば、安静・休養に繋がるのではと思います。
思いつく範囲ですが、私の実践していたこと、アイデアをご紹介します。
・ゆっくりノンカフェインのお茶を飲む
・好きな音楽を聴く
・ラジオを聴く
・映画を観る
・読書をする
・縫い物をする
・ぬりえをする
・写真の整理をする
・日記を書く
・猫のように、ぽかぽか窓辺で暖まる
・観葉植物を飾ったり、花を活けたりする
・深呼吸を意識的に行う
心地良く気持ち良いこと、好きなもの、幸せになれることやものは十人十色。
穏やかに過ごせると思う時間を発見し、その時間に身を任せることで、安静・休養の時間が流れていきますよ。
妊娠中期の腹痛のQ&A
妊娠中期の腹痛について、よくある2つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
Q1:お腹の左側、右側だけなど片方だけ痛むのはなぜ?
原因としては、以下のものがあげられます。
・腸の動きが鈍くなりガスが溜まっている
・胃炎や膵炎、腎尿路結石など
・急性虫垂炎
ガスが溜まっている場合は、一回あたりの食事量を減らして複数回に分けてゆっくり食べると消化がよくなり症状が改善します。
胃炎や急性虫垂炎の場合は、病院で受診して判断する必要があります。
妊娠中の急性虫垂炎については「1,000〜2,000妊娠に1人」の割合で起こるといわれており、なかでも妊娠中期での発生割合は「40%」と、ほかの妊娠期よりも高い発生率です(※6)。※注意:臓器などの写真が掲載されている資料へのリンクが開きます
Q2:痛み止めは飲んでも大丈夫?
妊娠中に服用できる鎮痛剤として、カロナールがあげられます。(※7)
しかし自己判断での服用は避け、病院で相談、もしくは処方してもらうのが無難です。
出典:(※7)日本赤十字社医療センター薬剤部「妊娠中から産後の薬について」
まとめ
妊娠中期の切迫早産については、早めの受診・安静が重要です。
腹痛や出血などの違和感があれば、迷わずかかりつけの病院に相談しましょう。
妊娠中期頃の赤ちゃんは、消化器や体の細部が発達して、胎内を出てからの準備を着々と進めています。
また、骨や筋肉がますます成長して、大きな動きができるようになります。
そして、男女の外性器もはっきりしてきます。
おなかの中の赤ちゃんも誕生に向けて、どんどん大きくなっていますよ!
体を大切にして、どうぞ素敵な妊娠生活を送ってくださいね。
チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは
うまれてくる赤ちゃんやその家族のために、おなかに赤ちゃんがいる時しか準備できないことがあるのをご存知ですか?
それが「さい帯血保管」です。
さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。
この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。
このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。
保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。
しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。
採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。
民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる
さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。
一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。
現在治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所は、国内シェア約99%を誇る国内最大の民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所が選ばれる理由
・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり
・民間バンクのパイオニアで累計保管者数は7万名以上
・全国各地の産科施設とのネットワークがある
・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有
・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得
・2021年6月東京証券取引所に株式を上場
詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。
さい帯血を保管した人の声
■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)
■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)
※ほかの保管者の声はこちらから
▼さい帯血保管について、もっと詳しく
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー