妊婦健診で尿蛋白が出たら?症状や4つの対策を解説

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

妊婦検診でほぼ毎回おこなう尿検査。もし「尿蛋白(にょうたんぱく)が陽性です」と言われたら、体や赤ちゃんにどんな影響があるのでしょうか?
妊娠中は、尿蛋白が出やすい状態です。疲労やストレス、つわりによる栄養低下などで尿蛋白が出ることも。ただし尿蛋白は、腎機能の低下や妊娠高血圧症候群を発症しているケースもあるため注意が必要です。
この記事ではおもに、以下の内容を解説します。
- 尿蛋白とは
- 尿蛋白が出る理由
- 尿蛋白が出たときの対策4点
この記事を読むと、尿蛋白で出た際の対策がわかり、安心して妊娠生活を送れますよ。
尿蛋白とは?
尿蛋白とは「尿に含まれる蛋白」のことです。尿に蛋白質が混じっている状態をさします。蛋白質は体に必要な栄養素なので、通常、尿にはほとんど排泄されません。
しかし妊娠中は、全身の血液量が増えることで腎臓に負担がかかり、尿中に蛋白が出やすくなります。妊娠に伴う生理的な変化といえますが、腎臓機能の低下、腎臓病、妊娠高血圧症候群の可能性もあるため、程度によっては注意が必要です。
とくに高血圧の場合には「妊娠高血圧症候群」が疑われます。
【注意】妊娠高血圧症候群とは?
妊娠高血圧症候群は、血圧の値と尿蛋白量が診断の基準となります。
・収縮期血圧140mmhg以上(重度の場合は160mmhg以上)
・拡張期血圧90mmhg以上(重度の場合は110mmhg以上)
・1日当たりの尿蛋白0.3g以上
妊娠高血圧症候群の自覚症状はほとんどなく、妊婦健診で指摘をされて初めて発覚するケースが多いです。まれに、頭痛・目の前がチカチカする・吐き気や嘔吐・上腹部の痛み・重度のむくみ等の症状が現れることもあります。
万が一このような症状を感じた際には、すぐに病院へ連絡しましょう。
・どのような場合に診断されるか
妊娠高血圧症候群は、血圧の値と尿蛋白量が診断の基準となります。
・収縮期血圧140mmhg以上(重度の場合は160mmhg以上)
・拡張期血圧90mmhg以上(重度の場合は110mmhg以上)
・1日当たりの尿蛋白0.3g以上
・対策
日常生活でできる対策方法をご紹介します。
① 妊婦健診の正しい受診
自覚症状がほとんどなく、妊婦健診で発覚することが多い妊娠高血圧症候群。そのため、医師の指示通りに正しい期間で必ず妊婦健診を受けましょう。早期に発見できれば、治療も症状も軽度で、赤ちゃんへの影響も最小限になります。
② 食事に気を付ける
高血圧の予防のためには、塩分を抑えた食事をこころがけましょう。食塩摂取の目標量は18歳以上の女性の場合、一日6.5g未満とされています。減塩に気を付けることで、むくみの予防にもつながります。
③ 十分な睡眠や休息をとる
忙しくストレスの多い生活は、血圧が上がる原因となってしまいます。特に妊娠後期になると寝つきも悪くなり、夜中に起きてしまうこともあるかと思います。しかし横になるだけでも体は休息がとれるので、あまり気にしすぎず、ゆったりと過ごしましょう。
妊婦健診で尿蛋白が出るのはなぜ?
腎臓は血液をろ過し、不要なものを尿として排出する働きがあります。妊婦さんの腎臓は自分の血液だけでなく、赤ちゃんの血液もろ過しているのです。
ろ過する血液の量が多いと腎臓には大きな負担がかかり、機能が低下します。結果、妊婦さんの尿には蛋白が混じりやすくなってしまうのです。妊娠中の運動不足も腎機能の低下を招きます。
さらに妊娠中には免疫力が低下して、膀胱炎などにかかりやすく、尿蚕白が陽性になることも。
あなたは大丈夫?尿蛋白検査の結果3種
尿蛋白の検査結果は、採尿したカップに試験紙を浸し、色の変化で判定する「試験紙法」と呼ばれる尿検査で判定されます。
(-)陰性 | (±)弱陽性(擬陽性) | (+)陽性 | |
状態 | 尿に蛋白が出ていない状態。 | 陽性まではいかない微量の尿蛋白が検出されている状態。 | 尿に蛋白が出ている状態。 |
詳細 | 尿検査のたびに尿蛋白(±)になってしまう場合は腎機能に何らかのトラブルが発生していることを考慮に入れて精密検査をすることもある。 | (1+)(2+)(3+)(4+)の4段階があり、数字が大きいほど尿により多くの蛋白が出ていることを意味します。数値が大きいほど、腎臓の働きが大きく低下していると考えられる。 |
妊婦健診で行われる尿蛋白の検査は、腎臓の健康状態を把握するだけでなく、妊娠高血圧症候群を早期発見するためにも重要です。尿蛋白は妊娠高血圧症候群が疑われるサインの一つです。腎臓の機能が低下したまま過ごしていると、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなります。
尿蛋白を出さないための対策4点
妊婦健診で一度尿蛋白が陽性になったとしても、かならず病気であるというわけではありません。続けて尿蛋白を出さないために、妊婦さんが気をつけることは以下の4点です。
・食生活
・飲み物
・体重管理
・睡眠と休養
対策1:食生活
塩分や糖分の過剰摂取は腎臓に大きな負担をかけます。食事は薄味を心がけましょう。とくに塩分の摂りすぎは、高血圧のリスクも高めます。塩分の摂取量は7~10g/日に抑えられるとよいでしょう。また蛋白質を摂りすぎると、血液中の蛋白質量が増え、腎臓でろ過しきれずに尿に蛋白が出る場合があります。しかし、蛋白質は赤ちゃんの成長のためには欠かせない大切な栄養素です。妊娠中には蛋白質の摂りすぎにも注意し「肉・魚・卵」などの動物性蛋白質と「豆・大豆製品」などの植物性蛋白質をバランスよく摂りましょう。
対策2:飲み物
水分は過不足なく、バランスよく摂ることが大切。水分摂取量の目安は1日2リットルです。妊娠中はカフェインゼロのものを選んで飲むようにしましょう。
対策3:体重管理
食事は内容だけでなく、量にも気をつけましょう。体重が増えることで腎臓への負担も大きくなるのです。しかし、無理なダイエットは赤ちゃんの成長に影響が出ます。適正体重を理解し、上手に体重管理をすることが大切です。
下記では、妊婦さんもできる運動を紹介しているので参考にしてくださいね。
内部リンク:妊婦体操で汗を流し、心と体をケアしよう!
対策4:十分な睡眠と休養
疲れやストレス、睡眠不足などにより、ホルモンバランスが乱れると尿蛋白が出やすくなります。また、これらは高血圧のリスク因子にもなります。妊娠中は、なるべく無理をせずに睡眠を十分にとり、疲れたときには無理をせず、心身ともにゆっくり休養しましょう。
まとめ
妊娠中は腎臓に負担がかかるため、尿蛋白が出やすい状態です。尿蛋白が出る状態を放置すると妊娠高血圧症候群になるリスクが高まり、母子ともに危険な状態になる可能性もあります。妊娠高血圧症候群を早期発見するためには、妊婦健診を毎回きちんと受けることが大切です。リスクを早期に発見・対応することで、お母さんと赤ちゃんの命を守り、安全な出産を迎えられます。日頃の生活習慣に気をつけながら、楽しい妊娠生活を過ごしてくださいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー