女性が3人集まると

女という生き物は、老若関係なく不思議と3人集まると姦しくなると言われがちですが、この「姦しい(かしましい)」を大人になってから辞書で調べてみました。

すると「やかましい」「うるさい」「3人寄れば」等、記載がありました。

自身を振り返ると、女子グループでお喋りをしていて「うるさい!」と言われたのは中学時代がピークだったような気がしますが、路上で立ち話をしている母親たちも結構「うるさい」類に入るような気もします。

私の場合は学生時代までに「女子が集まる」ことに疲れを感じてしまったこともあり、外出先では誰が聞いているかわからないので小声で話すか自宅に招きます。皆さんはどうしているでしょうか。

 

果たして実態は?

多くの母親たちは子どもが生まれて、幼稚園、小学校、中学校にあがるにつれ、PTA(父母会)に参加する回数も増えます。「全ては人任せ主義」でない限り「我が子がお世話になっている園や学校だし親として出来る限り協力しよう」となる親御さんも多いでしょう。

我が子の通う小学校は、私の勝手な印象ですが「PTA本部は優秀な人が集まっていて、敷居が高いイメージ」でしたので、委員会に手を挙げるようにしていました。長男で2回、長女で2回委員を引き受けました。

各委員会では毎月定例会があります。お祭りの企画、放課後クラブの企画と準備、広報活動と様々でしたが、10時集合で12時前に解散することが多かったので、1学期中に仲良くなった委員同士「定例会後はランチへ」の流れが自然発生していました。

仕事等の予定がないメンバーがいつも3人以上です。

それはそれは盛り上がります。「これが姦しいということか」と俯瞰する私がいます。お店の人がちらちら見始めたころに「そろそろトーンを落としましょう」と互いに言い合います。

 

おおかた出産前後の話に至る

当然、現在の子どもたちの話題が中心になりますが、ある時「産後の肥立ちが悪かったの」とこぼしたママがいて、それに7名中5名が賛同したことがありました。

出産の痛みに耐えて耐えて、切って縫って終えた分娩。赤ちゃんと出会えた喜びはもちろん感動ものだったけれど、退院後の母体の回復が思うようにいかなかったママが身近に多いこと。年齢は30代前半から40代後半までバラバラでした。

「妊婦でいる間、本当に周りの人に優しくしてもらって、出産頑張ろう!って思ってた。そしたら何?あの出産の痛みって!すいかを鼻から出すようなとか、生理の痛みの10倍とかって聞いてきたけれど、例えようのない痛みよね!」

「中学時代の国語の先生が出産エピソードを卒業前に話してくれて、殺してー!って叫んだとも言ってたけれど、私も腰がバラバラになってしまいそうで、立ち会いの夫に向かって変わってーとか、死ぬーとか叫んじゃって。例えようのない痛みだったわ」

「産後、出産の痛みは忘れちゃうよ、と先輩ママから聞いていたけれど、私はあの痛みは一生忘れないわ。でも本当に例えようのない痛みなのよね。例えたところで次の瞬間、そんなもんじゃない!って思うもの」

「私も出産の痛みは忘れるよって言われたことがあるわ。でも今でも覚えてる痛み。だって今でも恥骨がズキっと痛むことがあるし、出産の痛みって産後も続くの?って思ってるところがあるもの」

「私も!絶対に忘れないわ、出産の痛み!もし男性が出産したら痛みで死んじゃうくらい、という例えがあるけれど、それを女性は生きて成し遂げるなんてすごいよね。でも他に例えようがないという痛みよね」

「それほどの出産の痛みに耐えたけれど、終わってからの回復の遅さといったら、ほぼうちの子が1歳になるまでひきこもりだったわ」と続き、ひたすら「出産の痛み」を何かに例えようとする母たちでしたが「次、出産することがあれば、間違いなく無痛分娩を選ぶわ」の意見が集まりました。

 

出産の痛みは例えようがなく、何事にも代え難い

「最近うちの子、言うことを聞かなくて困っちゃう。でも出産の痛みを思い出したら元気でなによりと思えるの。だからむしろ出産の痛みは忘れないで良いと思ってるわ」全員大きく頷きます。

「産後の肥立ちが悪いのは我が子のせいではないし、いまだにあちこち痛むたびに出産の痛みを思い出すけれど、そのイライラを子どもに向けるのは良くないのよね。だからこそこうやって同じような経験をしたママたちとご一緒して色々打ち明け合えるのが嬉しいです。また集まりたいです」全員大きく頷きます。

「委員会とかPTAって、入学当初は面倒くさいなぁって敬遠していたけれど、実際に引き受けてみると、こうやって知らなかったママたちと出会えて、学年を超えたつながりもできたし、時間のやりくりさえできればストレス発散にもなるよね。また来月もランチしましょう」全員小さく拍手。

「何かに例えようとした出産の痛みや産後の肥立ちの悪さが話題の中心だったけれど、それらの痛みを超えて我が子と出会えたわけだし、そのおかげでママたちとも出会えて、ご縁に感謝だね。今後の委員会も楽しみにしています」全員小さく拍手、一部涙ぐむ。

まとめ

冒頭の「姦しい」は、確かに部外者から見れば「やかましい」かもしれませんが、実はその陰では「涙したり支え合う母親たちのやさしさと強さ、逞しさ」を感じたランチの2時間でした。

きっと男性陣からすると「よくそんな2時間も話があるね」と言われそうですが、あるのですよ、母親たちには「尽きない話題」がね。

そしておなかいっぱい胸いっぱいになった母親たちは、それぞれ我が子の下校を前に小走りで帰宅するのでした。

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