2022年3月31日
赤ちゃん・子育て

乳児期のお子さんの体調管理 ~お食事・心の健康編~

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

毎日をいかに元気に過ごすか、老若男女にとって永遠の課題ですね!今回は、特に乳児期のお子さん(1才~3才位)が元気に日々を過ごせるための「体調管理」について考えていきたいと思います。

はじめに

 

ママ・パパは、普段ご自分の体調を維持されるためにどんなことを実践されていますか?バランスのよいお食事を心掛けたり、ウォーキングなどの運動をされたり、良い睡眠、また心の状態を良くするように気を付けていらっしゃる方・・・意識的にも無意識的にも、いろいろな方法で「体調管理」されているかと思います。

乳児期の赤ちゃんにとっても、健やかな成長のために、様々な方法を取り入れて「体調管里」ができたら、赤ちゃんにとっても、ママ・パパにとってもより健康的な生活を送れる事は間違いありません。今回は、「お食事、心の健康」という2つの視点から考えていきます

 

乳児の体調管理~お食事は?~

 

①年齢・月齢に合った適切な食事の内容、栄養を考えます。

②自分で食べたいという心の発達に沿った食べ方、奥歯やあごといった身体的発達にも考慮することが必要になります。

 

①について

適切な食事の内容・栄養は、年齢・月齢に沿った必要なカロリー量を3回のお食事と

おやつで摂取していくのが理想的です。例えば、乳児1才から2才の一日の推定エネルギーは、必要量は、男児は950キロカロリー、女児900キロカロリーと(厚生労働省ホームページ参照)いわれています。ご自分のお子さんの年齢に合ったカロリーや栄養を上記ホームページなどでご確認ください。とはいえ、一日単位で、栄養バランスを細かに計算するのはとても大変なことです。一週間単位など、時間軸に幅をもって考え、足りない栄養などを考慮して、次の日のメニューにいかすと良いかもしれません。

例えば「お食事日記」をつけるのも一つの案です。その日のメニュー、食品の種類、量などを書き込み、忙しくても時間のある時にゆっくり見返すことができます♪困ったときには、栄養士さんにその日記をチェックしてもらいアドバイスをいただくこともできます。また、一度に沢山食べる事がまだまだ難しいですので、おやつでカロリーを補えると良いですね。小さなおにぎり、おいも、パン、果物、牛乳など第三の食事のような感覚があるとイメージしやすいですね。

 

②について

乳児期の赤ちゃんは、自分で食べたい、やりたい、欲求も高まってくる頃です。手づかみ食べも始まるので、手づかみ可能なメニューにして、更に床にシートをひいたり、予め対策をしたりしながらお食事を進めると、お片付けもササッと終わらせることができます。

 

さて、乳児1才6か月以降の幼児食になると、味覚も発達する頃ですので、いろいろな食材を取り入れてみましょう。例えその時食べる事が難しくても、大人がおいしそうに食べる様子をみて、いつか「食べてみようかな」という気持ちが芽生えるかもしれません。

 

乳児の体調管理~心の健康編~

 

・体が栄養で満たされていて、なんだか落ち着かない、笑顔がない・・となると不安になってしまいますよね。体も、そして心も和やかに・穏やかな状態でしたら、理想的な体調と言えると思います。乳児の赤ちゃんにとっても、ニコニコとご機嫌で、穏やかに過ごす時間は、幸せですよね♪では、どのようにすれば、赤ちゃんの心の安定を保ち、ひいては体調管理に資することにつながるのでしょうか。

 

・このような実験がありました。

 

『生後間もないラットを数週間にわたり毎日3時間母ラットから離すだけで、子ラットたちの多くに不安や不快を示す行動が見られ、しまいには体調を崩すラットも出てきました。さらに調べると脳の中で情報伝達をつかさどるニューロンが(神経細胞)の数が減り、遺伝子の数にも差が生じました(参考文献※1・P118より)』

 

この実験からは、いっしょに過ごす時間だけではなく、愛情の深さや、かかわり方、環境のすべてが大切ということを学ぶことができます。

しかし、「かかわり方・環境」といっても、初めての子育てでいきなりむずかしい!・・・とお感じになってしまうかもしれません。そこで、一つご紹介したいのは、「絵本の読み聞かせ」です。絵本の読み聞かせの効果について、東京都生涯学習情報の絵本の読み聞かせに関するページより一部抜粋しますと・・・

 

『うれしい、楽しい、こわい、悲しいを感じる「心の脳」が働くだけでなく、ママ・パパの脳も活動しますし、ママ・パパのニコニコつられて子供が笑ったり、ビックリすると、起動哀楽をつかさどる「大脳辺縁系」が働きます。読み聞かせは、こどもの心の脳に直接働きかけることがわかっています』

 

 

ママ・パパとのかかわり方は、もちろん「絵本」だけに限りません。親子の会話、スキンシップ・・・いろいろな事が心の安定や和やかさにつながってくるかと思います。この時期の「愛情の深さや環境」というものが大変重要であることを認識すると、より心の健康を大切にしたい気がいたします。そして、その心掛けが積み重なった先が、「心の体調管理」につながってくるかもしれません。

 

さいごに

 

乳児期の体調管理は、お食事、心の健康の他にも、運動や、睡眠等も必要になってくるかと思います。ママ・パパは、沢山の事をしないと赤ちゃんの体調を管理できない?!と悩ましい気持ちになってしまったかもしれませんが・・・あまり神経質になってしまうと、せっかくの子育てを楽しむことができなくなってしまいます。

例えば、お食事面では、毎日の栄養を細かく考えるのはとても苦労がいりますので、一週間単位・・などあまり負担にならない方法を見つけつつ、進めるのはいかがでしょうか?

また、心の健康についても、一つのご提案として「絵本の読み聞かせ」をさせていただきましたが、もしも敷居が高いとお感じになりましたら・・・大丈夫です♪大人にとっても絵本は、何とも気分がほっこりするものですよ。私も、子育てで絵本から沢山の楽しさをもらった経験があります(現在も!)どうか楽しんでください。

 

お子さんの健やかなご成長をお祈り申し上げます。

 

 

 

 

参考文献 「最新、育児大百科」ベネッセコーポレーション

「はじめての育児」 細谷亮太先生監修 ガッケン(※1)

 

参考ホームページ

「厚生労働省ホームページ」

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042642.pdf

※掲載したほうがよさそう(伊藤)

 

「東京都生涯学習情報」ホームページ

https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/advice/list/oshiete010.html

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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