2021年9月3日
出産準備

両親学級で学ぶことのできる内容とは?魅力ある内容と注意点

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

みなさん、両親学級にはもう行かれましたか?

このコラムを書くにあたって、参加した両親学級のことを思い出してみました。今思えば、なんだか微笑ましく、懐かしく、特別な時間でした。まだ子供が居なくて、何もかも初めてだったパパママ初心者の私たち。周りにも同じような夫婦が集まって、少しだけ緊張しながら、一緒に恥ずかしがりながら、自然と笑顔になっていました。

そして両親学級をきっかけに仲良くなれたお友達もいました。両親学級は、そこで学べる内容以上に得られることがたくさんあります。そんな特別な時間をみなさんにも共有したく、両親学級の様子や内容、注意事項などをまとめてお伝えしたいと思います。

 

私の経験した両親学級

私が出産したのは今から7年前。両親学級に参加したのは、妊娠7〜8カ月の頃でした。

当時住んでいた市は子育て支援がしっかりしていて、市が主催するウェルカムベビークラスという名の講座は、ママだけが参加するものと、パパと参加する両親学級がありました。

初めての妊娠、出産にドキドキだった私は、こういう講座に積極的に参加したいと思っていました。そしてパパも、わりと何でも参加してくれるタイプ。参加自体に不安はありませんでした。

当日、会場に入ってみると、市内から集まったたくさんのパパとママ。いろいろな雰囲気の方々がいます。普段は産婦人科で妊婦さんばかり見ていたので、たくさんのパパたちが集まっているのになんとなく圧倒されました。

そして始まった両親学級。一番記憶に残っているのは、なんと言ってもパパの妊婦体験です!

妊婦のおなかに見立てた7〜8kgあるベストをパパに着てもらい、いろいろな動きをしてもらうという内容。寝転がってから起き上がってもらったり、階段を登ってもらったり、靴を履いてもらったり。おそらく妊婦さんが感じている重さや動きにくさを体験して、共感や思いやりを持ってもらう意図があるのではないかと思います。

実際に体験した後は、多くの旦那さんが「想像以上だった」との声。おなかが大きくなってくれば、大変さはなんとなくわかってくれると思っていたのですが、実際に体験してみると全然違うようでした。

妊娠後期の動きにくい時期は、家事などもしんどいのですが、無理してやってしまうとやれるんだと思われてしまい、生活の負荷がどんどん大きくなっていくんですよね。そういう意味では、この両親学級の妊婦体験は、かなり効果的な内容だったように思います。

次に良かったのは、沐浴指導です。実際に、人形を赤ちゃんに見立てて沐浴させるという内容。ベビーバスにお湯を張って、赤ちゃんの支え方から、洗い方、ガーゼの使い方などを学ぶ内容でした。

いくつかのグループにわかれ、順番に夫婦で行っていきます。これが意外と難しい。首を支えながら、ガーゼをかけて・・・なんてうまく出来ないですし、生まれてくるまで覚えていられるかも心配になりました。しかし、この沐浴指導。のちに効果を発揮することとなります。

この他にも、座学で妊婦さんの変化についてお話があったり、出産や育児の準備についての説明があったり、歯科検診を夫婦で受けたりもしました。妊娠中は体の変化があるママが中心になりがちですが、両親学級に行くことでパパが参加してくれる安心感と一緒にこれから子育てするというほんのりとした実感を得られて、とても良かったです。

 

行って良かった、両親学級。その効果とは?

両親学級に参加して間もなく、おなかはみるみる大きくなっていきました。すると些細なことで、「大丈夫?」「やろうか?」など、パパが声をかけてくれるようになったのです。すごい効果だなと、こっそり思いました。両親学級で妊婦体験したことで私の状況や大変さが想像できたのだと思います。

自分だけが大変、という気持ちもありましたし、出産が近づくと不安で不安定にもなりましたが、こういうちょっとした心遣いが嬉しく感じました。そして、両親学級から数カ月後、無事に男の子を出産した私は、またしても両親学級に感謝することになります。それは、パパの心強い沐浴サポート。赤ちゃんのお世話やおっぱいなど、基本はママが中心。パパはいつ何をしたら良いか、よくわからないですし、やろうとしてもうまくいかずに戦力外になってしまうことがよくあります。

そんな中、沐浴は唯一パパが自信を持ってやれることだったのです。夜も寝られずに24時間育児をする中、パパが率先してやってくれる沐浴の心強かったこと!そして沐浴で助かるのが、パパの大きな手です!まだフニャフニャで不安定な赤ちゃんを支えるのに、ママの手より断然安心でした。

両親学級に行って沐浴指導を受けていたことで、パパも自信を持って育児に参加できる機会を持てたのです。そして育児に参加してくれるパパの姿は、産後の不安定な心にホッとできるような光をくれました。

 

でもパパはデリケート!ご注意ください!!

これまで、私の体験談を含めて両親学級の内容や効果についてお話ししてきました。私にとっては良いことがたくさんあったのですが、人によっては違うのかもしれません。

例えば、人付き合いが苦手な方。両親学級では多少の交流があります。基本は夫婦で話していますが、一緒にやることもあるので、なんとなく無言でいるのは気まずい場面も。

また、母親学級にしろ、両親学級にしろ、ちょっとした自己紹介をしてから始めていくケースが多くあります。そんな内容を見ると、初めて会う人に緊張してしまうタイプの方は憂鬱になってしまいますよね。

そして多いのが、人前で妊婦体験なんて絶対嫌だ!という、恥ずかしがり屋な方。しかし、妊婦体験は希望者だけにしているところもあるようですので、ご安心ください。またそうでなくても、適宜ご相談されれば絶対やらないといけないわけではないはずです。

このように不安材料はいろいろあるのですが、そのことを口にせず、パパが両親学級に行くことを嫌がるケースもあるかもしれません。妊娠期間中におなかが大きくなったり、胎動を感じたりするママと違って、パパの方が消極的になりやすい可能性もあります。

無理強いはせず、でも参加するメリットも大きいと思いますので、パパのタイプに合わせて誘ってみてください。嫌がっても、きっと育児に非協力的というわけではないと思いますよ。

そして、妊婦体験も沐浴指導も受けていないとダメ、というものでもありません。実際に沐浴指導は助かったのですが、少し丁寧すぎると思う内容でもあるので、いずれ自分たちのやりやすいスタイルに変わっていくと思います。

そして、もし両親学級に行けない場合でも、最近はたくさんの動画があります。例えば、おうちで一緒に視聴してみることで解消することもあるかもしれません。両親学級で学ぶ内容も魅力はありますが、何かを一緒に調べたり、考えたり、準備するということで、パパママの結束を高めていただけたらと思います。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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