「何歳から高齢出産になるのだろう」
「高齢出産だと、どんなリスクがあるのか不安…」
と疑問や不安に思っていませんか。
高齢出産は35歳以上での初産をさします。
高齢出産にはさまざまなリスクが伴いますが、メリットも存在するのです。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
● 高齢出産の定義
● 高齢出産のリスク
● 高齢出産のメリット
この記事を読むと、高齢出産について正しい知識が得られ、きっと不安が軽減されますよ。
高齢出産の定義は35歳以上
高齢出産は35歳以上で初めて出産する場合をさします(※1)。
最近では晩婚化が進み、35歳で高齢出産といわれても、ピンとこないかもしれません。
しかし35歳という年齢には根拠があり、この年齢くらいからさまざまなリスクの頻度が急激に上がっていくのです。
出典
(※1) 高齢妊娠における不安と選択─出生前検査という問題|J-STAGE
高齢出産で考えておくべき5つのリスク
高齢出産によって生じるリスクについてあらかじめ考えておくことが必要です。
以下の5つについてご紹介します。
・染色体異常
・流産・早産
・妊娠高血圧症候群
・妊娠糖尿病
・難産
リスク1:染色体異常
高齢出産のリスクとして心配する人が多いリスクが、ダウン症などに代表される染色体異常のリスクです。
高齢になるほど、ダウン症の発生が高まるといわれています。
また染色体異常症にはさまざまな種類があり、ダウン症はその1つに過ぎません。
胎児がダウン症の可能性を検査できる「出生前診断」は妊娠10週から受けられます(※2)。
母体の血液を採取するだけで検査が受けられる安全性の高いものである一方、確定的な診断が下りる検査ではありません。
つまり、リスクが高いか低いかを診断するものです。
また、保険適用外の検査であるため、検査費用は高額になります。
ほかにも染色体異常の確定的な検査として「羊水検査」がありますが、腹部に針を刺し羊水を採取するため、流産や早産、出血や感染症等のリスクもあります。
そのため、まずは新型出生前診断を受けて、可能性が高い場合に羊水検査を受けるというケースも多いです。
羊水検査は妊娠15週以降に受けられます(※3)。
(※2) NIPT | 国立成育医療研究センター
(※3) 出生前に行われる遺伝学的検査に関する見解|こども家庭庁
リスク2:流産・早産のリスク
高齢出産では流産や早産のリスクが高くなります。
流産とは、妊娠22週までに起こるものをさします(※4)。
流産は妊娠全体の約15%で起こるとされていますが、35歳~39歳では約25〜30%まで上がります(※5)。
その原因の多くは胎児側の染色体異常です。
母体の加齢によって、卵子も老化するため、染色体異常を引き起こしていると考えられています。
出典
(※4) 母性健康管理に関する用語辞典|働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
(※5) 妊娠企図の延期と子ども数―意図せざる結果としての出生力低下―|国立社会保障・人口問題研究所
リスク3:妊娠高血圧症候群
妊娠中のリスクとして一番大きいのは、妊娠高血圧症候群です。
妊娠高血圧症候群のリスクは20~34歳の妊婦さんと比較して約2倍以上のリスクがあります(※6)。
高血圧症になると脳出血や痙攣のリスク、胎児の発育不全になる可能性があるのです。
根本的に妊娠高血圧症候群を治す方法はなく、母体や胎児にとって、妊娠の継続が悪影響をおよぼすと考えられたときには、妊娠を終わらせること、即ち出産が一番の治療になります。
状態によっては管理入院が必要になる場合もあり、その期間は長期になることも。
予防法としては、塩分を控えめにした食生活にすることや体重管理に気をつけることが挙げられます。
すでに妊娠高血圧症候群である場合、運動は控え、安静にすることが必要です。
出典
(※6) 第3回「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」年齢と妊娠・出産に伴う合併症のリスク評価について|厚生労働省
リスク4:妊娠糖尿病
妊娠してから初めて発見された糖代謝異常をさします。
妊娠前から糖尿病があった場合は含まれません。
母体が高血糖になると、胎児も高血糖になり、さまざまな合併症のリスクも高まるのです。
妊娠糖尿病の管理は、食事療法を中心に行われますが、改善されない場合は胎児に影響の少ないインスリン注射によってコントロールする場合もあります。
高齢出産の場合、妊娠糖尿病になる可能性が高くなるため、日頃から食生活に対して気をつける必要があります。
また肥満傾向がある方や家族に糖尿病歴のある人はとくに注意が必要です。
リスク5:難産
高齢出産の場合、難産になりやすいといわれています。
年齢と共に、産道や子宮口が硬くなるためです。
その影響でお産に時間がかかってしまい、母体や胎児への負担が大きくなります。
危険な状態になれば、緊急帝王切開になる可能性もあります。
また産後の回復も遅いため、予め準備や心構えが必要です。
高齢出産にもメリットはある
身体的にリスクの多い高齢出産にもメリットはあります。
・経済的余裕
早い年齢で出産育児に入り産休や育休、時短勤務で働く人に比べると、夫婦ともにフルタイムで働く期間が長いため経済的余裕が生まれます。
育児には大きな出費が生じるタイミングが多いため、その度にお金の心配をしないで良いのはメリットと言えます。
・心理的余裕
ある程度社会で経験をしているため、若いころに比べて想定外の事態にも動じずに受け止められるようになっている可能性が高いでしょう。
また、会社の中でもある程度キャリアアップできていることで育休明けに職場に戻りやすいというメリットもあります。
まとめ
女性のキャリアアップが進んだり、不妊治療が普及したりと子供を持つ年齢が高くなり、高齢出産は珍しくなくなりました。
確かに高齢出産によって染色体異常や妊娠糖尿病などのリスクが多いデメリットはありますが、人生経験が豊富である高齢出産には経済的余裕や心理的余裕があるというメリットがあるのも事実です。
年齢を気にして赤ちゃんを諦めることなく、正しい情報を調べ母子ともに健康な出産に臨めると良いですね。
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※ほかの保管者のから声はこちら
さい帯血保管は、赤ちゃんへの「愛」のプレゼント。
赤ちゃんに会えるまでのもう少しの期間、ぜひ少しでも快適に、幸せな気持ちで過ごしてくださいね。
▼さい帯血保管について、もっと詳しく
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー