2022年1月28日
赤ちゃん・子育て

ヘルパンギーナについて

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

今回は、夏にかかることの多い、ヘルパンギーナについてお伝えしようと思います。
急な高熱や、のどの痛み、幼稚園や保育園に通われている5歳以下の赤ちゃんに、多くみられるのが特徴です。

ヘルパンギーナとは?

主に乳幼児期にみられる(5歳以下がほとんど)、夏風邪の一種といわれていて、5月から夏の間にはやるといわれています。急な発熱、のどの水泡が特徴です。
エンテロウィルス属の、おもに、コクサッキーウイルスA群によって、発症しますが、その型は数種類(2,4,5,6,8,10,16型)あるため、一度かかってもまたかかることがあります。また、コクサッキーB群や、エコーウイルスが原因のこともあります。感染力が強く、保育園や幼稚園などで、5月から9月にかけて大流行することもあります。

ヘルパンギーナの感染経路・潜伏期間は?

ウィルスは、飛沫感染や、経口感染(ウィルスに汚染された水や便に接触した手などから口を経由すること)で感染します。潜伏期間は、2~4日間です。

ヘルパンギーナの症状は?

・突然39度~40度の高熱がでる
・のどの痛み
・扁桃の上のほうに小さな水泡が数個から、十数個できて、その周辺が赤くなる

最初は、1ミリくらいですが、2~3日目で2~3ミリくらいの大きさになり、やがてつぶれて潰瘍(カイヨウ)になります。潰瘍になると、ひどくしみたり、痛みがでたりします。母乳やミルクを飲むのを嫌がったり、唾液を飲み込むこともできなくなったりします。そのため、よだれが多くなる、のどが過敏な赤ちゃんは吐いてしまうこともあります。

ヘルパンギーナの治療は?

特効薬はありませんので、対症療法になります。
高熱を和らげるために、解熱剤や鎮痛剤などを使います。熱は、2日から4日で下がります。
また、のどの水泡はおおよそ5~7日間でなおります。痛みがひどく、水が飲めない場合は脱水症状に注意が必要です。

ヘルパンギーナの水泡の痛みで、お食事がつらい場合は?

脱水症状に注意が必要ですが、具体的にどのような飲み物や、お食事がよいのでしょうか?
飲み物としては、番茶や、白湯、赤ちゃん用イオン飲料が良いようです。
食べ物としては、のどごしのよい、ツルンとした食べ物がお勧めです。
例えば、お豆腐、味噌汁、プリン、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー、などでしょうか。お子さまのお好みの食べ物が見つかると良いです!

また、熱い物や冷たい物、すっぱいもの、刺激物をさけ、薄味のものを選ぶと良いですね。

どうしても食事や水分を取れない場合は?

点滴の必要があるかもしれませんので、医師に相談してください。

ヘルパンギーナの合併症は?

ほとんどないといわれています。
急に熱が出ることで、熱性けいれんを起こすことがあります。

ヘルパンギーナで再受診した方が良い場合は?

・お食事や、水分を取れない場合
・ぐったりしている場合、
・熱が3日以上続く場合

さいごに ~メモと体温計のお話~

・病院に受診する前に、「メモ、場合によって写真も」

お熱などの、急な赤ちゃんの体調の変化には、ママもパパも戸惑う事が多いですよね。
病院に受診する前に、いろいろな身体の変化を感じますが、その都度、状況をメモや写真をとって記録することをお勧めします。
いつから発熱したか、発疹に気が付いた時の様子(発疹は受診前に消えてしまうこともあるため)・・・等、
ママやパパはお忙しいですから、その都度メモしておくと、後々病院で落ち着いて、的確に状況を伝えることができ、医師のスムーズな診断につながるかと思います。もちろん、ヘルパンギーナの症状の時に限らず、かぜ、お熱の時等には症状をメモすることをお勧めします♪

・どころで、みなさんは、どのタイプの体温計を使ってらっしゃいますか?
脇で計測するもの、耳で計測するもの、様々な種類がありますよね。
コロナ禍においては、非接触型と言われる額でピッと即座に温度が分かるタイプの物も多く出回るようになりました。2児を子育て中の筆者が、断然!お勧めするのは、この非接触型の体温計です。
赤ちゃんは、動き回ることも多いですし、じっとしているのも大変なこともあります。非接触型の体温計は、数秒で検温が終了しますので、ママ・パパにとってお手間になることが少ないですし、きっと赤ちゃんにとっても、ストレスを感じない時間になると思います。非接触型の体温計は、強力な育児アイテムだと思います。

スタッフ一同、お子さまの健やかなご成長をお祈りしております。

 

参考文献

北村享俊『すぐに引ける子どもの病気がわかる事典 小児科の専門医が、子どもの症状に応じて診断』成美堂出版、2004年8月10日

細谷亮太『0~6才 赤ちゃん・子ども病気百科』主婦の友社、2008年1月19日

宮下守『症状からすべてわかる 子どもの病気の不安に答える本』講談社、2010年09月01日

横田俊一郎『NHKすくすく子育て 育児ビギナーズブック(2)病気』NHK出版、2010年2月26日

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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