赤ちゃんはとても可愛いのですが、なかなか寝てくれない時、ついイライラしてしまうことはありませんか?
自分も眠いのに、全然寝てくれない。何をしても全然泣き止まない。仕方ないと分かっていても辛いですよね。
そんな子育ての悩み、赤ちゃんの夜泣きの原因や対策、睡眠について、お話ししていきます。
<なぜ寝てくれないの?赤ちゃんの睡眠について>
もともと人間の生体時計は25時間の周期ということをご存知でしょうか?
私たちは、朝の光や食事などの影響を受けて24時間のリズムに毎日リセットしているのだそうです。
新生児の睡眠覚醒リズムは、昼夜関係なく3〜4時間ごとに睡眠と覚醒を繰り返しています。昼でも夜でも睡眠時間に差はほとんどありません。その後、成長に伴い、生体時計が作動するようになって、少しずつ朝起きて夜に寝るというリズムが作られていくのです。
これと同時に、夜の睡眠時間も長くなっていき、昼間の活動が増えていくということです。
そして生後4ヶ月では、昼間の睡眠時間は夜間の睡眠時間の半分になります。
夜泣きが多いとされている生後6ヶ月から1歳半までは、昼は起きて夜は眠るという生活リズムになってきた頃であり、いわば夜泣きは睡眠の成長過程である証なのです。
また、3歳くらいまで夜泣きが続く子もいれば、全く夜泣きをしない子がいるなど、個人差が大きいのも夜泣きの特徴です。
<夜泣きの原因?睡眠リズムについて>
睡眠リズムと夜泣きとの関係は多く指摘されている部分であり、夜泣き対策の最重要課題であるとも言えます。
先にご説明した生後6ヶ月頃の睡眠リズムは、昼間に太陽の光を感じながら活動的に過ごして、夜は暗い状態で静かに過ごしていれば、自然とできてくるものと考えられます。
しかし、赤ちゃんが夜中に起きてしまえば、お母さんは抱っこしてリビングに移動。赤ちゃんに付き合って明るい部屋でT Vを見て過ごす、というようなこともあるかもしれませんよね。そして朝はゆっくりと暗い部屋で眠れるだけ眠って・・・という生活。
これでは、当然このリズムが作られるのは先のことになるでしょう。
まずパパママが、赤ちゃんにもたらす睡眠リズムの影響について知っておく必要があります。
<夜泣き解消法その1。睡眠リズムの調整>
夜泣きの解消法にはいくつかありますが、一番おすすめしたいのは、「睡眠リズムの調整」です。
その方法の一番簡単なものは、「朝決まった時間にしっかり朝日を浴びる」というものです。
最初のうちはリズムが整わず辛いでしょうから、無理は禁物。
まずはカーテンを開けて、部屋が太陽光で明るくなるようにしておけばいいのです。
目を閉じていても、部屋が明るいということは感じることができます。
それだけでも違うのです。
そして、夜はなるべく暗い部屋でゆったり過ごす。夜泣きしたからといって明るい部屋で起きてしまうことは、睡眠リズムの観点から言えばお勧めではありません。
そして慣れてきたら、朝起きる時間を決めていく等、徐々に慣らしていきます。
月齢によって、昼と夜に寝る時間のサイクルが変化していきます。
そのタイミングに合わせて眠れていれば夜泣きは減っていくはずです。
<夜泣き解消法その2。昼間はしっかり遊ばせる>
夜にぐっすり眠ってもらうための王道の方法として、「昼間はしっかり遊ばせる」という方法があります。
日中に体を動かしたり刺激を受けたりすることが、夜の睡眠の質に繋がっていくのです。
ねんねちゃんでもしっかり遊んであげるなど、日中の活動量をしっかりとることが重要です。
とはいえ、昼間はお昼寝もする月齢。なかなか起きないならそれはそれで寝かしておきたい気もしますが、やはり全体の睡眠リズムを考えれば日中の活動も大事です。また、日中に刺激がありすぎると興奮して眠れなくなるケースや、それこそ夜泣きを誘発するようなことも考えられます。適度な量については様子を見ながら判断していく必要があります。見極めが難しいところですね。
<夜泣き解消法その3。そのままにして様子を見る>
赤ちゃんの生活リズムから考えれば、夜中に目を覚ますことやおなかが減ること、排泄があることは当たり前のことです。ミルクもあげてあり、おむつも綺麗な状態なのに泣き出した場合、「ただ単に目が覚めただけ」「寝言泣き」という可能性があります。
そのようなタイミングでパパママが過剰に抱っこしたり揺らしたりすれば、本当は眠いのに起こされて不機嫌な状態になることも考えられます。
そのままにしていたらまた寝てしまうこともありますから、「あまり体を動かさず、様子を見る」というのも1つの方法です。
<夜泣き解消法その4。寝かしつけの体勢を変える>
実は夜泣きが起こる原因の1つとして、赤ちゃんが眠りに落ちた状態と目が覚めた状態に差があることが指摘されています。
例えば、おっぱいを飲ませたまま寝てしまい、起きたらおっぱいは飲んでいない状態であれば、赤ちゃんはその状態を不安に感じて泣き出すということです。
そのため、眠りに落ちる時と目が覚めた時が同じ状態にする必要があります。例えば、寝かしつけの時に抱っこせず、おっぱいもあげず、横にさせて寝かせた場合、夜中に目が覚めても大きな変化はないため、夜泣きにまではならない可能性があります。
しかし、これは正直、私の実体験からするとなかなか難しいものがあります。私自身は寝かしつけにも相当苦労しましたし、おっぱい頼みでした。できそうなら試してみていただきたいことではありますが、夜泣きだけが育児の悩みではありませんから無理のない範囲で試していただけたらと思います。
<注意していただきたいこと>
4つの方法についてご説明してきましたが、なかなか赤ちゃんが泣き止まない時は、病気等で体調が悪いことも多くあります。ただ泣き止ませようと頑張る前に、熱はないか体に変化はないか、観察も忘れないでいただきたいと思います。
そして、赤ちゃんのお世話をしているママが元気なことが、最も重要です。辛い時は決して1人で抱え込まず、パパや周囲に手伝ってもらいましょう。赤ちゃんのためにも、ママは寝られる時に睡眠を確実に確保してください。
<おわりに>
実は夜泣きの原因はまだ解明されていません。
また状況や程度もひとりひとり違うため、その子のタイプに合わせてパパママで試行錯誤していくしかないと言うのが現状です。
いろいろな方法を試しながら悩みながら、気づいたら終わっているというのが、夜泣きです。
例え長い時間泣き続けたとしても必ずいつかは眠りに落ちます。
そして、必ず夜泣きの時期は終わります。
育児はいろいろと悩みがつきませんが、今だけの特別な時間に私たち自身が親になるための試練なのかもしれません。
深刻になりすぎず、「うちの子はこういう子なのだ」と理解してあげて、温かく向き合っていただけたらと思います。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー