これって下痢なの!?新生児の受診の目安やケア

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

下痢のように軟らかい新生児の便
新生児の便はどのような状態か知っていますか?
母乳やミルクしか飲んでいない新生児の便は水分を含んだ軟便であるのが普通です。形のない液状になっていることも多いため、下痢をしているのではないかと心配になることもあるかと思います。
新生児の場合、多少便がゆるくても、いつも通り母乳やミルクが飲めていて、体重も順調に増加していて機嫌が良ければ心配ないことがほとんどです。母乳の赤ちゃんは一般的にミルクの赤ちゃんよりも便が軟らかい傾向にあります。
新生児の便の色やにおいは正常でも様々です。色は黄色、黄土色、薄緑色、濃い緑色などです。母子手帳についている便色カードを参考に健康状態を確認することができます。
新生児が出生後1~2日の間に初めて排泄する暗緑色無臭の便を胎便といいます。胎内および出生時に飲みこんだ羊水や腸管の分泌物、胆汁色素、脂肪、コレステロールなどからなります。3日目以後には黄色の移行便と呼ばれるものに変わり、その後次第に黄色から茶色の普通便に変わっていきます。
なかなか普通便にならない場合は腸奇形やその他の異常が疑われます。また、新生児期に白い便しかしない場合、先天性胆道閉鎖症が疑われます。黒い便、赤い便、白い便の時には病気の可能性がありますので、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
新生児の便はゆるいので、おむつから漏れることがあります。背中や足回りから漏れやすいのでぴったりつけましょう。
新生児の下痢とは
新生児の下痢とはどのような状態のことを指すのでしょうか。
新生児の下痢とは、便の回数が普段より多くなり、明らかに水っぽい便が何度も出て、においもいつもと違うものです。赤ちゃんが下痢をしたときにいつもの便との違いに気づくことができるように、日頃から赤ちゃんの便の回数と状態をチェックしておきましょう。
新生児の場合、お母さんからもらった免疫が働くため、ウイルスや細菌に感染して下痢になる可能性は低く、かかったとしても軽く済むことが多いです。
新生児の下痢3つの原因
①ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルス感染によるウイルス性の胃腸炎(おなかの風邪)
②サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクターなどの細菌感染による胃腸炎(いわゆる食中毒)
③一時的な飲みすぎ、おなかの冷え
新生児が胃腸炎などの感染症にかかるのは、家族の誰かから感染することがほとんどです。家族の中に感染者が出た場合は赤ちゃんにうつさないよう、十分に注意しましょう。
新生児の下痢の受診の目安
嘔吐を伴い、水分が摂れない場合や脱水症状がみられる場合、黒い便、赤い便、白い便が出た場合には速やかに病院を受診しましょう。
また、下痢が1週間以上続く場合、下痢が続いて体重が増えない、または減ってしまった場合、おむつからはみ出すほどの大量の下痢を繰り返す場合には、かかりつけ医に相談しましょう。
下痢の症状で病院を受診する際には、医師に便の状態を正確に伝えることが大切です。下痢の便の状態を写真に撮っておくようにしましょう。また、便の付着したおむつを持参できるように準備しておきましょう。病院によっては、感染を防ぐためにおむつは持参せずに写真を撮ってくるよう指示される場合があります。
新生児の下痢のケア
①脱水症の防止
下痢をすると大量の水分が奪われます。早期からしっかり水分補給して、脱水症を防ぐことが何よりも大切です。
特に新生児は短時間で脱水症になりやすいので注意が必要です。脱水症は尿の量が減るのがサインです。脱水が進むと涙が出ない、唇や口が渇き皮膚の弾力がなくなるなどの症状が出てきます。
脱水症の対処には経口補水液を投与するイメージがありますが、新生児期はまだ母乳やミルクしか飲んでいませんので、下痢が疑われるときはまず普段飲んでいる母乳やミルクを与えて、いつも通り飲むかどうかを確認しましょう。機嫌が良く、尿がいつもと同じように出ていれば脱水の心配はないでしょう。
新生児の場合、母乳やミルク以外の水分補給や経口補水液の使用については、必ずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
②かぶれのケア
下痢をすると便が飛び散る刺激とそれを何度も拭き取ることで、おしりがかぶれやすくなります。おしりは座浴やシャワーで洗い流してあげましょう。
おしりの皮膚が弱くなっているので、拭くときはタオルで包むように水分を取り、ゴシゴシこすらないようにします。
かぶれがひどいときには、かかりつけの小児科、または皮膚科を受診しましょう。自己判断で塗り薬を使うと悪化することもあるので注意しましょう。
下痢を伴うロタウイルス感染症のワクチン接種
ロタウイルス感染症のワクチンは経口接種による任意のワクチンです。
ロタウイルスによる感染症を予防します。ロタウイルス感染症は発熱、嘔吐、激しい下痢が続く急性の胃腸炎で毎年冬から春にかけて流行し、乳幼児の多くがかかります。
低月齢の赤ちゃんほど重症化しやすく、脳炎などの合併症を引き起こすこともあります。ロタウイルス感染症で下痢が起こるとクリーム状から米のとぎ汁状の白い便が出ます。便の中にはウイルスが排出されるので、おむつの処理には十分な注意が必要です。
ロタウイルス感染症のワクチンには、もっとも流行する1種類のロタウイルスをワクチンにしたロタリックス(1価)と5種類のロタウイルスをワクチンにしたロタテック(5価)の2種類があり、選択できます。
ロタリックス(1価)の場合は生後2~4カ月半の間に2回、ロタテック(5価)の場合は生後2~6カ月半の間に3回、いずれも4週間以上の間隔で接種します。接種できる期間が短いので注意が必要です。
副反応として下痢、嘔吐、発熱の症状が出ることがあります。

まとめ
新生児の便は水分を含んだ軟便の場合が多く、下痢をしているのではないかと心配になることもあるかと思います。
しかし、赤ちゃんの機嫌が良く、普段通り母乳やミルクを飲むことができていれば心配ないことがほとんどです。
下痢が続く場合、脱水の症状がある場合、黒・赤・白の異常な色の便が出た場合は小児科を受診しましょう。
下痢が起こってしまったら母乳やミルクの飲みをよく見て脱水症にならないように気をつけましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

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国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
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赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー