臨月の出血は陣痛のサイン?出血が多い・続くときの対応や陣痛前の症状を解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「臨月の出血は陣痛のサインと聞いたことがあるが、本当なのだろうか」 と思っていませんか。
たしかに陣痛が起きるサインの1つに「出血」があります。
しかし出血せずに、陣痛が起こるケースもあるのです。
また出血以外にも、陣痛のサインはあります。
この記事では、主に以下のような内容を解説していきます。
- 陣痛前の出血
- 陣痛前の出血量が多い、出血が続くときの対応
- 出血以外で陣痛前に起こるサイン
この記事を読むと、臨月に出血したときの対応や陣痛前の症状が分かるため、安心して出産を迎えられるようになりますよ。
臨月の出血は陣痛前に起こるサインの1つ
臨月に入り出産が近づくと、子宮口が開き始めます。
人によっては予定日まで日数があっても健診で「子宮口が開いている」といわれることも。
このように子宮口が開き始めると「おしるし」といって、出血混じりのおりものが出ることがあります。
子宮頸管が徐々に開き始めることで、赤ちゃんを包む卵膜と子宮壁の間にズレが生じて引き起こされるのです。
しかし、おしるしがあったからといって、すぐにお産が始まるわけではありません。
「もうすぐ赤ちゃんに会える合図だな」と捉えるくらいにしておきましょう。
正常な「おしるし」の特徴と見分け方
おしるしの出血量は少なく、生理のピーク時程度かそれ以下であれば正常な範囲といえるでしょう(※1)。
色は赤みがかったピンク色から茶褐色まで様々で、粘液が混ざったおりものの状態になっていることも特徴です。
おしるしと陣痛の関係には個人差があり、おしるしの後すぐに陣痛が始まる人もいれば、数日かかる場合も。
中には2〜3日連続でおしるしが続くケースもあります(※1)。
また、すべての人におしるしが現れるわけではなく、おしるしを経験せずに陣痛が始まることもあります。
(※1)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「おしるし、破水、陣痛について」
臨月の出血で医療機関に連絡すべき3つのケース
臨月は出産が近づく大切な時期です。
この時期に起こる出血には「おしるし」という正常なものもありますが、危険なサインとして注意が必要なケースもあります。
- 生理のような量や大きな塊を伴う出血
- 激しい痛みを伴う出血
- 前置胎盤と診断されている人の出血
安全に出産を迎えるため、どのような出血状況で医療機関に連絡すべきか確認しておきましょう。
ケース1:生理のような量や大きな塊を伴う出血
生理時のような多量の出血や大きな血液の塊がある場合は、すぐに医療機関へ連絡しましょう。
胎盤の早期剥離や前置胎盤といった、緊急を要する状態を引き起こしている可能性があるためです。
普通のおしるしは粘性がありますが、水のような出血の場合も要注意です。
とくに出血量が増えていくようであれば、母体と赤ちゃん双方にとって危険な状態となるため、迷わず医療機関への連絡が必要です。
ケース2:激しい痛みを伴う出血
出血とともに動けないほどの激痛がある場合は、注意が必要です。
とくに妊娠後期に痛みが止まらない場合は「常位胎盤早期剥離」という、子宮内で胎盤が剥がれてしまう危険な状態を引き起こしている可能性も(※2)。
この状態では、
- 性器出血
- 急な腹痛
- 持続的なお腹の張り
- 胎動減少
- 腰痛
- めまい
などが同時に起こることが特徴です。
自分で判断できない場合は家族に助けてもらい、かかりつけ医に電話して指示を仰ぎましょう。
状況によっては、救急車の手配が必要になる場合もあります。
正常なおしるしであれば痛みを伴わないことが多いため、強い痛みと出血が一緒に起こる場合は早急に医療機関を受診する必要があるのです。
(※2)出典:独立行政法人 地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター「妊娠中に起こりやすい病気と生活の注意点について」
ケース3:前置胎盤と診断されている場合の出血
前置胎盤とは、胎盤が子宮の出口付近に位置する状態です。
この状態で妊娠28週頃を過ぎると、痛みがなくても急に出血する「警告出血」が起こることがあります(※3)。
最初は少量の出血でも、1〜2週間おきに繰り返すようになり、量が増えていく傾向があるため要注意です(※3)。
前置胎盤と診断されている人は、どんなに少量の出血でもすぐに診察を受けましょう。
警告出血が大出血に変わると、母体の血圧が下がり、胎盤への血液や酸素の供給が低下して母子ともに危険な状態になってしまいます。
前置胎盤の人は通常、出血リスクに備えて、妊娠32週までの早産の時期でも、帝王切開や新生児管理が可能な施設での管理が行われる場合が多いのです(※3)。
(※3)出典:公益社団法人 日本産科婦人科学会「前置胎盤」
破水は陣痛前に起こることも
胎児は子宮の中で卵膜に包まれていますが、この卵膜が破れて中の羊水が流れ出ることを「破水」といいます。
破水は本来お産が始まってから起こりますが、陣痛が始まる前に羊水が出てしまう「前期破水」を起こすケースもあるのです。
破水が起こると胎児が細菌感染しやすくなります。
また、破水が続き羊水量が減ってしまうと、子宮の収縮が直接的に胎児に加わるため、胎児から苦しいサインがでることもあります。
「破水かな」と思ったら入浴やシャワーは控え、なるべく動き回らずに安静にしましょう。
臨月には尿漏れを頻繁にしてしまう人もいるため、区別が難しいですが「自分の意思で止められない」「アンモニア臭のしない液体が出てきた」ときには、医療機関を受診しましょう。
出血以外で陣痛が起きる前のサインとは?
陣痛前は母体に次のような兆候が見られます。
- 前駆陣痛(不規則なおなかの張りや痛み)
- 腰痛・足の付け根の痛み
- おりものの量が増える
- 腹の位置が下がる
- トイレが近くなる
- 便秘や下痢
陣痛の兆候について、さらに詳しく知りたい人は下記も参考にしてくださいね。
陣痛の始まり方は人それぞれ
おしるしや前駆陣痛がある人ない人、陣痛の前に破水が起こる人など、お産の始まり方はそれぞれです。
経産婦でも「前回はおしるしや前駆陣痛があったのに、今回はいきなり破水した」といった事例もあります。
どのパターンでも焦らず対応できるように、心の準備をしておきましょう。
妊娠中は生理も止まっているためナプキンを使うことはありませんが、出産が近づいてきたときには、事前にナプキンをあてておくと安心です。
また破水に備えて大容量のナプキンを用意しておくことをおすすめします。
産後の出血量はかなり多く、気軽に買い物へ行ける状態ではないため、あらかじめ購入しておきましょう。
産後にも出血が起きる
妊娠中は生理がなく楽だと感じた人も多いと思いますが、お産を終えると、長い生理のような出血が待っています。
これを「悪露」といい、子宮の中の分泌物などが出たり、子宮の中の傷から出血があります。
破水前に用意したナプキンはここでも役に立つのです。
産後5~6週間までに少しずつ悪露の赤みが落ち着き、健診でOKが出ると、ようやく湯船に入れるようになります(※4)。
(※4)出典:公益財団法人ひろしまこども夢財団「出産された方へ」
臨月の出血に関するQ&A
ここでは臨月の出血について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

その日のうちに陣痛が始まることもあれば、数週間後になる場合もあります。


一方尿漏れは、黄色~無色透明でアンモニア臭があり、くしゃみをしたときなど、腹圧がかかった時に出るのが特徴です。
まとめ
臨月に入り出産が近づき子宮口が開き始めると、「おしるし」といって出血混じりのおりものが出ることがあります。
おしるしはもうすぐ赤ちゃんに会えるサインです。
ただし、
- 生理のような量や大きな塊を伴う出血
- 激しい痛みを伴う出血
- 前置胎盤と診断されている人の出血
がある場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。
また、陣痛前に「破水」が起こることもあります。
破水が起きた場合には、医療機関へ連絡を入れます。
入浴やシャワーは控え、清潔な大きめのナプキンを当てておきましょう。
その他、陣痛前には不規則なお腹の張りや痛み(前駆陣痛)、腰痛、足の付け根の痛み、便秘や下痢などの兆候が見られることがあります。
おしるしや前駆陣痛がある人ない人、陣痛の前に破水が起こる人など、お産の始まり方はそれぞれ。
正しい知識を身に付けて、いざという時に落ち着いて行動できるよう準備しておきましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
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赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー