高齢出産で帝王切開になる確率は?原因やリスクも解説
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「高齢出産だと帝王切開になる確率が高いって本当?」
「どのくらいリスクが上がるのか知りたい」
「なぜ高齢出産だと帝王切開になりやすいの?」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
じつは高齢出産では帝王切開の確率が上昇することが明らかになっており、原因もあります。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
・高齢出産で帝王切開になる確率
・高齢出産で帝王切開の確率が上がる理由
・高齢出産の帝王切開に関するQ&A
この記事を読むと、高齢出産における帝王切開のリスクを正しく理解でき、安心して出産に臨めるようになりますよ。
高齢出産で帝王切開になる確率

高齢出産をする場合、帝王切開になる確率が上がることがわかっています。
実際に国立成育医療研究センターが、日本産科婦人科学会のデータベースを使って分析したところ、母体年齢が高いほど帝王切開分娩の頻度が上昇していることが判明しているのです。
とくに45歳以上の妊婦では、30〜34歳の妊婦と比べて、妊娠高血圧腎症・前置胎盤などの合併症や帝王切開のリスクが「約2倍」に上昇するという結果が出ています(※1)。
また京都第二赤十字病院が公表している研究論文では、初産婦全体の帝王切開率は25.2%でしたが、35歳以上の初産婦では39.1%と高い数値になっていました(※2)。
さらに緊急帝王切開の確率も、35歳以上では16.4%で、34歳以下の妊婦の「約2倍」にまで増えることが明らかになっています(※2)。
(※1)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「高齢出産は高リスク? 35歳以上での妊娠・出産の注意点を解説」
高齢出産で帝王切開の確率が上がる理由

高齢出産で帝王切開の確率が上がる理由として、身体的な変化があげられます。
年齢を重ねると、身体の組織が伸びにくくなり、「軟産道強靭症」という産道が硬くなる状態や陣痛微弱が起きやすくなります。
なお軟産道とは、
・膣や子宮
・骨盤底筋
・靭帯
・会陰
などで構成される産道組織のことで、分娩時期になると硬度が低下して伸びやすくなります。
しかし年齢の上昇とともに、
・子宮の収縮力
・全身の筋力
・産道の柔軟性
といった出産に必要な要素が低下してしまうのです。
さらに高齢出産では、子宮筋腫などの婦人科疾患や妊娠高血圧症候群、前置胎盤といった産科合併症の頻度が増加します。
「妊娠高血圧症候群」は、高齢化に伴う血管性病変をもとにした高血圧症の増加が関係しており、「前置胎盤」は胎盤の位置異常で出血リスクを高める疾患です。
これらの合併症が帝王切開の適応となることが多いため、結果として手術の頻度が上昇していくのです(※3)。
▼帝王切開が適応となるケースは?手術の方法やリスクについて詳しくはこちら
(※3)出典:日本赤十字社 芳賀赤十字病院「高年齢の妊娠・出産について」HEART CROSS 芳賀赤十字病院だより vol.2 2016
高齢出産の帝王切開に関するQ&A
ここでは高齢出産の帝王切開について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
そのため、帝王切開の割合も増える傾向があります。
ただし、医療技術の進歩によって、帝王切開はとても安全に行われるようになっています。
手術や麻酔の管理がしっかりしているため、死亡リスクが大きく高まることはほとんどありません。
術後の回復にも個人差はありますが、医師や看護師が丁寧にサポートしてくれるので安心してください。
経膣分娩が安全にできる状態であれば、自然分娩を目指すことが多いです。
ただし、子宮筋腫や既往帝王切開、逆子などの理由がある場合は、医師が安全を考えて予定帝王切開をすすめることもあります。
出産方法は妊婦さんと赤ちゃんの状態を見ながら決めていくので、早めに医師と相談しておくと安心です。
帝王切開はお腹を切開する手術なので、傷の痛みや回復に時間がかかることがありますが、出産時のトラブルを防げるというメリットがあります。
一方で経膣分娩は自然な流れで出産できる分、分娩中の体力消耗が大きくなることもあります。
どちらが「危険」というより、母体や赤ちゃんの状態に合わせて「安全な方法を選ぶ」ことが大切です。
まとめ
高齢出産では以下のように、帝王切開率が高まることがわかっています。
| 項目 | 34歳以下 | 35歳以上 |
| 帝王切開率 | 25.2%未満 | 39.1% |
| 緊急帝王切開率 | 約8% | 16.4% |
おもな原因としては、年齢に伴う身体的変化があげられます。
産道の柔軟性低下や子宮収縮力の減弱により分娩が進みにくくなるほか、妊娠高血圧症候群や前置胎盤などの合併症頻度が増加するため、帝王切開の適応となるケースが多くなるのです。
ただし適切な妊娠管理と医療介入により、高齢出産のリスクは減らせます。
心配し過ぎず、普段の生活に気をつけて母子ともに健康的な出産を目指しましょう。
妊娠初期の過ごし方については以下の記事を参考にしてみてくださいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
