陣痛が持続する時間とは?間隔や測り方、体験談も紹介
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産が近づくにつれ、陣痛はどれくらい続くのだろう、どのタイミングで病院へ行けばよいのだろうかと不安になっていませんか。
陣痛の持続時間は、子宮口の開き具合によって変わります。
また病院へ連絡するタイミングは、痛みに規則性が現れたときです。
この記事では主に、以下のような内容を解説していきます。
・陣痛が持続する時間と間隔の目安
・陣痛と前駆陣痛の違い
・病院へ連絡するタイミング
この記事を読むと、陣痛の持続時間や病院へ連絡するタイミングがわかるため、安心して出産を迎えられるようになりますよ。
出産の進行と陣痛の時間間隔の変化

陣痛から出産まで、出産は3つの段階に分かれて進行していきます。
各段階にはそれぞれ特徴があり、時間経過とともに陣痛の強さや間隔も変化していくため、事前に知っておくと安心してお産に臨めるでしょう。
| 段階 | 子宮口の開き具合など | おもな出来事 | 分娩所要時間 | 陣痛間隔・持続時間 |
| 分娩第1期 | 陣痛開始~子宮口10 cm | 胎児が骨盤内を下降 | ・初産婦:約10~12時間 ・経産婦:約4~6時間 |
・間隔:始めは約10分で段々短くなる ・持続:初めは約30秒で段々長くなる |
| 分娩第2期 | 子宮口全開~赤ちゃん誕生 | 陣痛に合わせていきみ、頭→肩→体の順に娩出 | ・初産婦:2~3時間 ・経産婦:30分~1時間 |
・間隔:1~3分 ・持続:60~90秒 |
| 分娩第3期 | 赤ちゃん誕生~胎盤娩出 | 胎盤・卵膜・臍帯が自然に剥がれる | ・初産婦:15~30分 ・経産婦:10~20分 |
弱い収縮が起こる |
出典:西宮市保健所地域保健課「マザークラス」(令和6年3月)
【状況別】陣痛が持続する時間と間隔の目安

陣痛の持続時間は、子宮口の開き具合によって異なります。
| 子宮口の開き具合 | |||
| 0〜3cm | 3〜7cm | 7〜10cm | |
| 持続時間 | 約30~45秒/回 | 約45~60秒/回 | 約60~90秒/回 |
| 陣痛の間隔 | 約5~10分 | 約3~5分 | 約2~3分 |
出典:西宮市保健所地域保健課「マザークラス」(令和6年3月)
子宮口が開き出産が近づくにつれ、陣痛の持続時間は長く、間隔は短くなります。
陣痛が強くなってくると、収縮している間は動けなくなるくらいの痛みになり、おなかだけでなく、腰が痛くなる人も。
どんなに痛みが強くなっても、陣痛には間隔があります。
痛みが落ち着いたタイミングでリラックスする意識をもつと、自身の身体を休められ、赤ちゃんに栄養や酸素を送れます。
自分が苦しいと赤ちゃんも苦しいのです。
産婦人科によっては、好きな音楽を流せたり、アロマで好きな香りを焚くなど、さまざまなリラックス方法を取り入れられる場合もあります。
陣痛が落ち着いたタイミングで、束の間ですが眠るのもおすすめです。
「陣痛=痛みとの長い闘い」というイメージをもつ人も多いでしょう。
上手にリラックスしながら、陣痛は赤ちゃんを押し出すための手助けをしてくれている痛みなのだ、というイメージをもちましょう。
【見分けが難しい】陣痛と前駆陣痛の違いを表で比較

出産予定日が近づくと「この痛みは陣痛なのだろうか」と不安に感じる妊婦さんも多いのではないでしょうか。
前駆陣痛と本陣痛にはいくつかの違いがあるため、以下の表で確認しておきましょう。
| 項目 | 前駆陣痛 | 本陣痛 |
| 痛みの間隔 | 不規則(15分→10分→15分など) | 規則的(10分→9分→8分など) |
| 痛みの強さ | 一定または軽度(生理痛くらい) | 徐々に強くなる(我慢できないほど) |
| 継続期間 | 数時間で自然に治まる | 出産まで継続(治まらない) |
| 発生時間 | 夕方から夜に見られやすい | 時間に関係なく起こる |
| 姿勢による変化 | 横になる・入浴で和らぎやすい | 姿勢を変えても和らがない |
| 休息の効果 | 休むと楽になることが多い | 休んでも痛みは続く |
| 出産への進行 | 分娩には至らない | 出産に直結する |
| 身体の変化 | 子宮口を柔らかくする準備 | 子宮口を開く実際の作業 |
| 病院連絡の目安 | 様子見で問題なし | 10分間隔になったら連絡 |
陣痛は、本陣痛ともいわれ、出産につながる陣痛で、規則的な痛みがありどんどん痛みが強くなります。
また前駆陣痛とは、出産に向けて子宮が収縮する準備運動ともいえ、不規則的な痛みで、安静にしていると弱くなったりします。
▼前駆陣痛と本陣痛の違いについてさらに詳しい記事はこちら
陣痛が起きたときに病院へ連絡するタイミング

「陣痛かな」と思ったとき、規則的な痛みが、初産婦さんなら陣痛が10分間隔、経産婦さんなら陣痛が10分~15分間隔になったら病院へ連絡するタイミングです(※1)。
その際は、「陣痛の始まった時間」「痛みの間隔や規則性」「痛みが続いた時間」などをメモしておくか、アプリで管理しましょう。
電話の際に、スムーズに現在の状態を伝えることができます。
また陣痛かどうか判断に迷ったとき、他の心配事などがあったときなどは、迷わず電話で連絡をしましょう。
(※1)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「入院について」
陣痛の時間間隔を計る手順5ステップ

陣痛の時間間隔は、以下の5ステップで計りましょう。
1.痛みの始まりと終わりの時間を記録する
2.痛みがどのくらい続いたかを確認する
3.再び痛みが始まった時間を記録する
4.2つの時間の差を計算して間隔を求める
順番に解説していきます。
ステップ1:痛みが始まった時間を記録する
まずは痛みが始まった時間を把握しましょう。
子宮が収縮した痛みを感じ始めた瞬間が、計測のスタート地点となります。
最初は「これが陣痛かな?」という軽い感覚でも構いませんので、迷ったら記録を始めることが大切です。
痛みが治まった時間も記録しておきましょう。
ステップ2:痛みがどのくらい続いたかを確認する
痛みが始まった時刻と治まった時刻の差を計算して、陣痛の継続時間を確認しましょう。
一回の陣痛がどのくらい続くかを確認すると、分娩の進行状況を把握でき、助産師・医師の立場からしても判断材料になるためです。
ステップ3:再び痛みが始まった時間を確認する
一度目の痛みが治まったあと、再び痛みを感じ始めたタイミングで二度目の時間を記録します。
常に「痛みの始まり」から「次の痛みの始まり」までを測ることが正しい方法です。
ステップ4:2つの時間の差を計算して間隔を求める
記録した「痛みの始まり」から「次の痛みの始まり」の2つの時間の差を計算しましょう。
たとえば、1回目が12時00分、2回目が12時15分であれば、陣痛の間隔は15分となります。
「だいたい15分くらいかな」という感覚で問題ありません。
最初は30分程度だった間隔が、20分、10分と少しずつ短くなると出産が近い証拠だといえるでしょう。
計算が面倒な場合は、スマホの電卓機能を活用すると便利でしょう。
また陣痛時間測定用のアプリも公開されていて、スマホの画面をタップするだけで自動的に間隔を計算してくれるため、これらのツールも活用もおすすめです。
パートナーと一緒に事前にアプリの使い方を確認しておくと、いざというときにスムーズに記録を取れるでしょう。
【体験談】3回の陣痛を振り返る

出産の過程は一人ひとり異なります。
さまざまなパターンの出産があると知っておくと、少しでも心の準備ができるでしょう。
私も3人出産しましたが、一人ひとり異なる出産を経験しました。
1人目の出産
予定日から1週間過ぎた頃の話です。
予定日を過ぎて8日目の朝、生理痛の強い日のような痛みで目が覚めました。
すでに痛む間隔が10分くらいだったため、急いで病院に連絡し、母に連れて行ってもらうことに。
家を出たときは歩くのも平気でしたが、15分後病院に着いた際には痛みで歩けないほどの状態でした。
それでも子宮口1cm程と聞いて、泣きそうでした。
妊娠後期になって便秘が続いており、陣痛の合間に便意があったため、助産師さんに伝えるも「我慢して」と言われてしまいます。
どうしてもきつくて先生にも伝えると下剤を渡され、難を逃れました。
トイレを済ませたあと、陣痛の痛みは増し、一気に子宮口の開きが進みます。
最初は「夜中になるかも」と言われていましたが、無事にお昼過ぎには赤ちゃんに会えました。
便意があったとき、先生に相談して下剤を使ってもらえてよかったと心から思いました。
もちろん状況に応じた判断になりますが、気掛かりがあっては出産に集中して臨めません。
何でも気になることは先生や助産師さんに相談することが大切です。
2人目の出産
予定日2日前に陣痛促進剤を使う予定で入院していました。
陣痛促進剤の点滴を開始して3時間後、テレビを観ながら過ごしていると、ボコっとおなかの赤ちゃんがひと蹴り。
その瞬間プチっと聞こえて破水しました。
破水後すぐに陣痛がきて、あまり痛みを感じる暇もなく、3時間で赤ちゃんが出てきてくれました。
いま思えば入院していたので、いつどうなっても大丈夫という安心感が大きかったように思います。
自宅で急に破水すると不安が大きくなります。
出産が近づいてきたら、早めに荷物の準備をしておくと、慌てず落ち着いて、お産に臨めるでしょう。
▼入院準備ってどうしたらいいの?陣痛バッグと入院バッグの中身をご紹介
3人目の出産
出産の前夜から朝まで前駆陣痛に振り回され、ゆっくり休めないまま出産を迎えました。
3人目の出産が一番落ち着かなったことを覚えています。
いま振り返ると、前駆陣痛だと割り切って、ゆっくり寝ておけばよかったと反省しています。
出産は体力勝負であるため、食べられるときに食べて、休めるときに休むことは大事だと思います。
病院に着いても、なかなか陣痛が進まず「このままじゃ、いままでで一番遅い出産時間になってしまう」と焦っていました。
痛みで体勢を変えるのはしんどいですが、体勢を変えてみると、じわじわと痛みが強くなり、そこからあっという間に子宮口が全開大まで進んでいきました。
陣痛の時間に関するQ&A
ここでは陣痛の時間について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
特に経産婦さん(2人目以降の出産)は進みが早いことがあるので注意が必要です。
いつもより強い痛みや急な変化を感じたときは、迷わず病院に連絡してください。
夜は体がリラックスしやすく、ホルモンの影響で子宮の収縮が起こりやすくなるためと考えられています。
ただし、人によって昼間に始まることももちろんあります。
数分から数時間でおさまることもあれば、数日にわたって続くこともあります。
特徴は「間隔や強さが一定しない」という点で、休むと和らぐことが多いです。
本陣痛かどうか迷うときは、時間や間隔をメモして、気になる場合は病院に相談してください。
まとめ
陣痛と前駆陣痛の違いなど、とくに初産婦さんにとっては、イメージがしにくいでしょう。
陣痛は、「痛み」のことに心配が膨らんでしまうかと思いますが、いよいよかわいい赤ちゃんに会える瞬間が近づいているのです。
「陣痛は赤ちゃんを押し出すための手助けをしてくれている痛み」とポジティブな気持ちをもって、出産を迎えてくださいね。
▼出産の流れや陣痛についてもっと知りたいときは、こちらの記事もおすすめ!
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
