新生児のへその緒はいつ取れる?取れたあとの対応法や注意したい症状も解説

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

赤ちゃんとお母さんを約10か月間もつないでいたへその緒。

赤ちゃんは、このたった1本のへその緒から栄養や酸素をもらい、おなかの中ですくすくと育ってきました。

そんな大切な赤ちゃんとママとの絆、出産後は思い出として大切にとっておきたいですよね。

生まれたばかりの新生児のおへそには、まだへその緒が残っていますが、今回は

・へその緒が取れる時期
・へその緒の消毒方法
・へその緒が取れた後の保管方法

などについて解説していきます。

新生児のおへそを安全に守りたい人は、必見の内容です。

へその緒は生後1週間前後で取れる

へその緒が取れるまでの期間には個人差があり、千葉県市川市の公式ホームページに掲載されている資料によると、だいたい生後1週間以内に取れることが多いとされています(※1)。

へその緒は、基本的には退院してから毎日消毒をするように産院から指導がありますが、取れてからもしばらくは消毒を続けるのがおすすめです。

とくに、へその緒が取れた直後はじゅくじゅくしていることもあるので、へそが乾くまでは消毒を続けましょう。

いつまで続けたら良いのか判断に困る場合には、1か月健診の時などに医師に相談してみると良いでしょう。

(※1)出典:千葉県市川市公式ホームページ|保健センター ・ 南行徳保健センター「こんにちは あかちゃん♪」

【状況別】へその緒の正しい消毒方法

産院でへそのケアセットをもらえることもあるようですが、ない場合や使いきってしまった場合には、市販の消毒薬と綿棒を使用して問題ありません。

タイミングとしては沐浴のあとがおすすめです。

へその緒がしっかりついている時の消毒方法

へその緒がまだしっかりとついている場合には、へその緒をやさしく持ち上げたり根本のへその皮膚を指で広げたりしながら、消毒薬を含ませた綿棒をへその緒の根本まで入れて消毒します。

へその表面だけでなく根元部分をぐるりと一周するように行います。

へその緒が取れかかっている時の消毒方法

へその緒が取れかかっているときには根元から茶色い液が出たり血がにじんだりする場合もありますが、細菌感染を防ぐためにもしっかりと消毒してあげてください。

このときに気を付けていきたいのは、怖がらないこと。

「引っ張ったら痛いのでは…」と躊躇してしまい、表面をなでるだけの消毒になってしまっては意味がありません。

多少持ち上げる分には痛くないので、しっかりと根元まで消毒をしてあげてください。

ただし、へその緒が取れかかっているからといって無理に引っ張ったりしてはいけません。

根元から徐々に取れていきますので、焦らずにケアを続けましょう。

へその緒が取れた後の消毒方法

へその緒が取れたあとも同様、へそがしっかり乾燥するまで消毒を続けましょう。

へその緒が取れてからも、

・しばらくじゅくじゅくが治らない
・へその臭いが強くなる
・血や膿が出る
・へその周囲が赤く腫れてくる

などの異変があれば、早めに産院や小児科にかかるようにしてください。

へその緒が取れる前後で注意したい症状

へその緒が取れる前後には、出血や分泌物など注意したい症状があります。

へその緒が取れる前後に分けて、順番に解説していきます。

へその緒が取れる前に注意したい3つの症状

へその緒が取れる前に注意すべき症状は、以下の3点です。

・出血
・においと分泌物
・へその緒や周辺皮膚の異常

順番に見ていきましょう。

症状1:出血

少量の出血でにじむ程度であれば、心配はいりません。

しかし出血が続く場合やオムツが血で濡れるほどの出血、鮮血が出るような状態であれば、すぐに医療機関で受診しましょう。

出血の原因としては、

・へその緒の付け根部分の乾燥不足
・触り過ぎ、引っ張りすぎなど

が考えられます。

凝固異常が原因となるケースも。

症状2:においと分泌物

正常な状態であれば、へその緒から目立ったにおいはしません。

しかし強い悪臭や腐敗臭、甘酸っぱい臭いなどがある場合は医師に相談しましょう。

分泌物については、少量の透明または黄色がかった分泌物は正常ですが、

・膿のような濃い黄色や緑色の分泌物
・大量の分泌物
・血液の混じった分泌物

には要注意です。

症状が続く場合は病院での受診が必要です。

これらの症状のおもな原因としては、細菌感染やへその緒の乾燥不足が考えられます。

症状3:へその緒や周辺皮膚の異常

へその緒やその周辺の皮膚に以下のような症状がみられる場合は、注意が必要です。

・赤み
・腫れ
・熱をもっている
・水ぶくれ

これらの症状が見られた場合は、清潔に保ち乾燥させることが大切です。

症状が改善しない場合は病院で相談しましょう。

細菌感染やアレルギー反応、過度の摩擦などが原因として考えられます。

へその緒が取れたあとに注意したい3つの症状

へその緒が取れたあとに注意すべき症状は、以下の3点です。

・出血
・へその出っ張り
・痛み

順番に解説していきます。

症状1:出血

へその緒が取れたあと、数日少量の出血が続くことがありますが「2〜3日」かけて消毒を続けると自然に止まります(※2)。

しかし、

・持続的な出血や大量の出血
・数日経っても出血がおさまらない

場合は、医療機関で受診するようにしましょう。

(※2)飯能産婦人科 医学情報「新生児:お臍の消毒、臍出血、臍肉芽腫、臍炎」

症状2:へその出っ張り

へその緒が取れたあとは、通常ややへこんだ形、もしくは周囲の皮膚と同じ高さになります。

しかし、へそが大きく前方に出っ張ってしまう「臍ヘルニア」になる可能性も。

福岡大学医学部呼吸器外科が公表している情報によると、臍ヘルニアは新生児の5〜10人に1人の割合(1〜2%)にみられるといわれています(※3)。

おへその出っ張りがあった場合も、病院でみてもらうようにしましょう。

(※3)出典:福岡大学医学部呼吸器外科「でべそ(臍ヘルニア)」

症状3:痛み

へそに触れると痛がったり、泣き声や表情の変化が見られたりする場合は細菌感染を起こしているケースがあります。

過度の刺激を避け、痛みが続く場合は医療機関での受診が必要です。

出血やにおい、分泌物、赤みなどがみられた場合も、医療機関で相談しましょう。

へその緒が取れた後の正しい保管方法

産後から丁寧にケアを続けてきたへその緒が取れる瞬間は、とても感慨深いものです。

ここからは、へその緒の保管方法についてご紹介します。

乾燥させる

取れたばかりのへその緒はまだ水分を含んでいる状態なので、よく乾燥させましょう。

湿気を含んだまま箱などにしまうと、カビが生えてしまう恐れがあるので注意が必要です。

ガーゼなどの上にへその緒を置き、湿気の少ない場所で保管して干からびるまで乾燥させましょう。

湿気を避ける箱に入れる

乾燥させたへその緒は、桐箱などに保管するのがおすすめです。

理由は、桐の箱は湿度を一定に保とうとする性質があるため、反りや歪みが生じにくくカビが生えにくいからです。

また虫もつきにくいことから、昔から大切なものや貴重なものは桐の箱にしまう習慣がありました。

産院でもらえなかったという場合は、ネット通販で購入もできます。

エコー写真と一緒にまとめているという例も。

妊娠の頃からの思い出がひとつに保管できるので、おすすめです。

へその緒に関するQ&A

ここではへその緒について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

土肥 聡
2004年北里大学医学部医学科卒業。 同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。 昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。 2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。 同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
質問
生後1週間経っても、へその緒が取れません…
回答者
土肥先生
赤ちゃんのへその緒は、生後1~2週間で自然に取れることが多いですが、個人差があります。

遅くとも1ヶ月健診までには取れることが多いでしょう。

質問
へその緒を切断するときは痛い?
回答者
土肥先生
へその緒には神経が通っていないため、へその緒を切断するとき、赤ちゃんもお母さんも痛みは感じません。
質問
双子の場合、へその緒はどうなっていますか?
回答者
土肥先生
双子の場合、へその緒は赤ちゃんの人数と同じ数あります。

栄養を赤ちゃんに送り、老廃物を集める胎盤は、1つまたは2つある場合があります。

まとめ

母体にいる時には酸素や栄養をもらうための大切な役割を果たしているへその緒。

じつは、赤ちゃんが産まれ、産声を上げ呼吸を始めた瞬間にその役目を終えるわけではありません。

へその緒の中を流れる血液は「さい帯血」と呼ばれ、さまざまな病気治療の可能性を秘めているんです。

さい帯血は、いま病気で苦しんでいる誰かのためだけではなく、目の前の赤ちゃんや家族の、将来の万が一にも役立つかもしれません。

ママと赤ちゃんとを繋いでくれていたへその緒、どうぞ大切に保管してあげてくださいね。

チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは

うまれてくる赤ちゃんやその家族のために、おなかに赤ちゃんがいる時しか準備できないことがあるのをご存知ですか?

それが「さい帯血保管」です。

さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。

この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。

このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。

保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。

しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。

採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。

民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる

さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。

一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。

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・2021年6月東京証券取引所に株式を上場

詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。

さい帯血を保管した人の声

■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)

■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)

※ほかの保管者の声はこちらから

▼さい帯血保管について、もっと詳しく

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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