葉酸とは?妊婦さんに必要な理由と摂取量の目安量。

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

最近では葉酸配合の商品をたくさん見かけるようになりましたね。
私の友達は、結婚し妊娠するのが早かったので、葉酸について話題になることがあり、私自身の妊娠時はもちろん、結婚を意識するようになった頃から葉酸配合の商品を購入するようにしていました。
しかし、私の母世代(昭和のママさん達)が妊婦さんだった頃は、今ほど葉酸に対して敏感ではなかったと言っていました。
なぜ、現在では妊婦さんだけではなく多くの方が葉酸の必要性を知っているのでしょうか。
葉酸とは?
葉酸とは水溶性ビタミンB群の1つで、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けるビタミンです。
妊娠中には貧血にもなりやすいので予防として必要な栄養素にもなりますね。
また、細胞分裂や遺伝情報にかかわるDNA(遺伝子を保存)やRNA(遺伝子を運ぶ)の合成に必要とされます。
なんだか難しい言葉な気がしますが、赤ちゃんにお父さんとお母さんの情報を伝え、体を作るために「手は5本だよ~」「鼻には穴があるよ~」「心臓動かして~」など、身体的な情報や「運動神経はお父さん似」「優しい性格はお母さん似」といった両親の特徴など沢山の細胞が赤ちゃんの遺伝子データとして作られていくために必要な栄養素なのです。
赤ちゃんを守る大切な栄養素
葉酸が妊娠初期の細胞分裂の際に遺伝情報を伝えるために必要なのだとお話ししましたが、赤ちゃんの臓器が形成される時期は「妊娠3週から妊娠8週頃」です。
前回の生理開始が妊娠0週0日なので、次の生理が始まる妊娠4週0日より前から細胞分裂が始まり、妊娠に気づく頃には、すでに細胞分裂が始まっていることになります。
このことから葉酸の摂取は妊娠前から必要だと言われているわけです。
細胞分裂が活発な妊娠初期に葉酸が不足すると「神経管閉鎖障害(※)」の先天異常が起こる可能性があります。
これは両親の身体的な遺伝子が赤ちゃんの体に伝わらず、体の形成がうまくできない状態です。
もちろん葉酸だけで先天性の異常を回避できるわけではありませんが、1つでも原因は減らしてあげたいと誰もが思うのではないでしょうか。
※神経管閉鎖障害
脳や脊髄などの中枢神経のもとになる神経管をうまく形成することができなかったために、脳が発達できずに無脳症や水頭症になったり、運動神経、反射神経、感覚神経などに障害が起こり、歩行困難や運動障害、膀胱や直腸などの筋肉が麻痺することによって排尿・排便障害が起こる二分脊椎症があります。
神経管閉鎖障害の赤ちゃんは年間500人~600人(10,000人に5.6人)生まれています。
葉酸はどれくらい摂取すれば良いの?
葉酸は妊娠をしていない時にも赤血球を作るために必要となり、通常240μg/日を食事から摂取することが推奨されています。
妊娠活動期~妊娠初期には、通常の240μgに加えて、400μg/日の摂取が必要だと言われています。
中期には通常の240μgに加えて240μg、後期~授乳期には通常の240μgに加えて100μgの摂取が必要と言われています。
食材に含まれる葉酸は熱に弱く、水に溶けやすいので茹でたり、焼いたりすると体への吸収率は50%ほどになってしまいます。
妊娠活動期~中期までは食事だけで摂取することは難しいので、ぜひサプリメントも活用してみてください。
葉酸を多く含む食材と注意すること
葉酸はレバー、ほうれん草、焼きのり、イチゴ、小松菜、アボガドなどに多く含まれています。
・焼きのりは1枚(大判のまま)で57μg
・アボカドは1個で168μg
・イチゴは5個で90μg
・小松菜は2株を生食なら116μg、茹でると86μg
・ほうれん草は2株を茹でると110μg
・レバーは一口サイズ(10g)1個で130μg
焼き海苔は、ご飯と一緒に食べたり、おやつ代わりに食べると摂取しやすいですよね。
イチゴはデザートとして食べやすい果物ですし、アボカドはサラダのトッピングやそのままでも食べやすい食材ですね。
小松菜は生のままでも食べられるので、刻んだ焼き海苔、ごま油、塩、鶏ガラスープ、ごまと一緒に混ぜてチョレギサラダにして食べると美味しいです。
ほうれん草は茹でて、お浸しなどにして食べるならOKですが、生で食べてしまうとシュウ酸が豊富な食材なので尿路結石のリスクがあります。
小松菜に似ていますが、気をつけてください。
レバーは葉酸も鉄分も、とても豊富に含まれていますが、妊娠中には避けなければいけないビタミンAも豊富に含まれています。
過剰に摂取してしまうと胎児への先天性異常が増えると言われていますので、葉酸不足を補うために食べすぎて、ビタミンA過剰症にならないように気をつけてください。
レバーの1日適正摂取量は一口サイズで1、2個です。
葉酸の上限量は1,000μgです。
食材からの摂取では、上限を越えることはありませんが、サプリメントからは手軽に摂取できてしまうので、必ず適正量を守って摂取してくださいね。
さいごに
妊娠に気づいていない頃から細胞分裂は始まってしまいますが、葉酸は普段からバランスの良い食事をしていれば、極端に不足することはないと思います。
悪阻で食事ができない時は、無理に食べようとせず、サプリメントだけでも良いと思いますし、心配でしたら医師に相談してみてくださいね。
コラムを読んでくださっている皆さんは、いろいろ心配や不安もあるんだろうなと思います。でも、いっぱい調べたり見たり聞いてる皆さんは、きっと素敵なママになるんだろうなとこれを書きながら思っています。
良い出産が迎えられることを願っていますね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー