出産の痛みが怖い!感覚を4つの例えや体験談で紹介

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠中で出産を控えているが、出産の痛みが怖い」「どんな痛みなのだろうか」と不安になっていませんか。

実際に、あなたと同じような不安を抱えている人は多いのです。

株式会社NEXERが運営している日本トレンドリサーチが、40代以下の女性を対象に行った調査によると「約86%」の人が、出産に対する恐怖心があったと回答しています(※1)。

また男性であれば、パートナーの痛みも理解しておきたいですよね。

出産の痛みは「気絶するほど痛い」ともいわれているのです。

出産の痛みをくわしく知るために、本記事では以下の内容を解説していきます。

・【状況別】出産の痛みを体験談も交えて紹介
・出産の痛みを男性が想像できる例え4選

この記事を読むと出産の痛みがわかり、分娩の際も落ち着いて対応できるようになりますよ。

またパートナーである男性も、出産の痛みを知れば奥さんに寄り添うことができるでしょう。

(※1)出典:PR TIMES|株式会社NEXER「【出産に対する恐怖心】出産したことがある49.6%が、恐怖心が「とてもあった」」

【状況別】出産の痛みを体験談も交えて紹介

出産を体験したことのない人は、痛みがどれほどなのか不安になるでしょう。

ここからは筆者が実際に体験した出産の痛みを、下記のような状況別に例えもあげて紹介します。

・ 出産の兆候段階
・ 出産時
・ 分娩時

※痛みの例えはあくまで個人の主観で、痛みの感じ方には個人差があります

状況1:【出産の兆候】段階での痛み

出産の兆候とは「前駆陣痛」「おしるし」「破水」などをさします。

なかでも痛みを感じるのは「前駆陣痛」が起きたときです。

前駆陣痛は、分娩開始の約一週間前から前日頃にかけて子宮が収縮し、軽い陣痛のような痛みが現れます。

痛む間隔や持続時間が不規則で、多くは陣痛に繋がらずに治まります。

前駆陣痛の痛みは「耐えられるくらいの生理痛」のように感じました。

状況2:【出産】段階での痛み

出産は分娩の進行過程によって、分娩第1期~3期の3つに区分けされています。

それぞれの過程で、痛みの種類も違ってくるでしょう。

私の経験では「分娩第1期」で最も激しい痛みを感じました。

分娩の第1期は一般的に最も長くなり、子宮口が開いてくる段階です。

そのため「気絶するほどの痛み」「激しい生理痛」のような痛みを感じました。

初産のとき、私はこの陣痛に疲れてしまい、微弱陣痛となってしまったため、数時間の記憶がありません。

最終的には休憩をとったあと、誘発剤を使い、もう一度陣痛を起こし出産を再開しました。

状況3:【分娩】段階での痛み

助産師さんの導きにより、呼吸やいきみをコントロールして、いよいよ赤ちゃんに対面するときがやってきます。

初産の前までは「いきむ」痛みが出産の痛みだと思っていました。

しかし実際「いきむ」ことには、分娩1期で感じた「激しい生理痛のような痛み」は感じませんでした。

なぜなら、とにかく「呼吸」「いきみのコントロール」に意識がいくからです。

私は、助産師さんの声を信じて、アドバイスを受け入れるのに必死でした。

そのため分娩段階の痛みは「赤ちゃんに対面するまで、もう少しの痛み」と割り切れ、痛みはそれほど感じませんでした。

出産の進行に伴い痛む場所は広がっていく

出産の進行に伴って、痛みを感じる場所は徐々に広がっていきます。

最初は一箇所から始まった痛みが、徐々に広範囲に広がっていくのです。

出産の痛みが広がっていく流れのイメージは、下記のとおりです。

1.下腹部の痛み
2.腰部の痛み
3.骨盤周りの痛み
4.会陰部の痛み

ただし痛みの広がり方・強さには個人差があります。

上記を理解したうえで、順番に見ていきましょう。

1.下腹部の痛み

陣痛が始まると、まずは下腹部(おへそより下の部分)が痛み始める場合が多いです。

子宮の周期的な収縮によって、おへその下から恥骨にかけて強い痛みを感じます。

お腹全体が石のように硬くなり、内側から強く締め付けられるような感覚です。

2.腰部の痛み

つぎに、腰の下部から仙骨(尾てい骨の少し上にある)にかけて強い痛みを感じ始めます。

子宮収縮に伴う痛みで、締め付けられるような、押しつぶされるような感覚です。

背中全体に痛みが広がる場合もあり、なかには腰の痛みのほうが下腹部よりも強く感じる人も。

3.骨盤周りの痛み

さらに分娩が進むと、骨盤全体に痛みが広がります。

とくに恥骨部分で、骨盤の広がりによる鋭い痛みを感じる場合も。

また太ももの付け根から内側にかけても、痛みや重苦しさを感じます。

4.会陰部の痛み

胎児が産道を下りてくる段階では、会陰部(膣の出口付近)に強い圧迫感と裂けるような痛みを感じるでしょう。

「焼かれるような痛み」と表現されることもあり、とくに赤ちゃんの頭が出てくる際にもっとも強くなります。

同時に肛門にも強い圧迫感があり、便意に似た感覚を伴うケースも。

出産の痛みを男性が想像できる例え4選

陣痛の痛みは男性にはなかなか伝わりにくいものですが、「妻の痛みを理解したい」と思っている人もいるのではないでしょうか。

そこで、男性にも想像できる例えを4つ、経産婦さんに教えてもらいました。

・鼻の穴からスイカが出てくるような痛み
・ハンマーで腰を殴られて砕けるような感覚
・ひどい下痢を何時間も我慢する感覚
・手の指を切断されるような痛み(※1)

上記のように、かなり壮絶な痛みであることが分かります。

出産の痛みを知っていると、立ち合い分娩時のサポートにも役立てられ、産後に妻の体をいたわる気持ちが自然と湧いてきますね。

(※1)出典:無痛分娩|昭和大学医学部麻酔科学講座

出産時の痛みには呼吸法が効果的

呼吸法は陣痛の痛みをコントロールして、心身をリラックスさせるための手法です。

東京都庁が示している手順は、以下のとおり(※2)。

1.お腹が膨らむように、鼻からゆっくりと息を吸う
2.口をすぼめて「約3秒」かけてゆっくりと長く息を吐く
3.上記1&2の吸う・吐くの一連の動作を繰り返す

下記でもくわしく呼吸法が説明されているため、動画で見たいという人は参考にしてみてくださいね。

(※2)出典:東京都庁公式ホームページ「お母さんと赤ちゃんのための動画5 陣痛を乗り切るための呼吸法」

出産の痛みがどうしても不安なとき

出産に対し、激しい痛みが伴うイメージが先行してしまい、痛みへの不安が拭えない場合は、無痛分娩という選択肢もあります。

無痛分娩は、麻酔を用いて出産に伴う陣痛を最小限に抑える出産方法です。

ただし、「無痛」とありますが、完全に無痛や無感覚というわけではありません。

無痛分娩について、さらに詳しく知りたい人は下記も参考にしてください。

きっと出産の選択肢が増えますよ。

【無痛分娩レポ】出産への恐怖を和らげてくれた無痛分娩という選択

出産の痛みに関するQ&A

ここでは出産の痛みについて、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

土肥 聡
2004年北里大学医学部医学科卒業。 同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。 昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。 2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。 同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
質問
出産の痛みでショック死した例があるって本当?
回答者
土肥先生
出産の痛みによって失神することはごく稀にありますが、ショック死することはありません。

痛みに対する不安が大きい方は、無痛分娩を考えられてもよいかもしれません。

質問
出産で痛みを感じない場合もある?
回答者
土肥先生
痛みの感じ方は人それぞれです。

あまり痛みを感じることなく出産される方もいらっしゃいます。

質問
出産で一番痛いタイミングは?
回答者
土肥先生
一般的には子宮口全開大となり、いよいよ赤ちゃんが生まれる時が一番痛いと言われることが多いです。

しかし痛みの感じ方には個人差があるため、「子宮口8~9cmで、まだいきんではいけない時間が一番痛かった」「会陰切開を縫合する時が痛かった」というお声もあります。

まとめ

出産の痛みは、「気絶するほど痛い」とばかり思ってしまうと、不安ばかりが先行してしまうかもしれません。

しかし、ご紹介したように、痛みは出産の段階によっても様々で、「耐えられるくらいの生理痛」のようだったり、不規則な痛みの時もあります。

予めどの段階の痛みかが分かっていれば、妊婦さんもパートナーも、落ち着いて対応できることもあるでしょう。

赤ちゃんに会える瞬間は、もうすぐそこです。

どうぞ良い出産の時をお迎えください。

チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは

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■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)

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この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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