胎動は胎児とのコミュニケーション

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産のその日まで会うことのできない赤ちゃん。

妊娠中のお母さんにとっては『胎動』こそが赤ちゃんの存在を感じられるとても愛しくて大切なものです。

またそれだけでなく胎動が赤ちゃんの元気を確認する要素ともなっています。

妊娠初期はなかなか気付きにくい胎動ですが、一度気づき始めれば臨月になり出産する直前まで毎日感じることができます。

よく出産間近になると胎動が減るというのではという方もいますがそれは間違いで、赤ちゃんが寝ている時以外は胎動が長時間全くないということはありません。

胎児の胎動についてよく知ると親子の絆がさらに深まります。

◯妊娠初期、胎動の気づき

妊娠4ヶ月辺りから胎動を感じるお母さんもいますが多くは妊娠20週くらい、妊娠6ヶ月の辺りまでには感じ始めるようです。

胎児の大きさも小さく、初めのうちの胎動はわずかな力なので初産のお母さんにとっては胎動だと気づくのはなかなか難しいかもしれません。

妊娠4ヶ月終わり頃の胎児でだいたい100gほどの大きさです。

よく腸の中をガスが動くようなポコポコした感じ、うにょうにょ動く感じと言われます。

横になったりお風呂でのんびりリラックスしている時にそのような違和感を感じたりすることが増えたならそれが胎動でしょう。

◯妊娠中期、元気な胎動

胎児も大きくなり子宮の壁に手足がよく当たるようになります。

また聴覚も発達してくるので外の音やお母さんの声に反応して動くこともあるでしょう。

よくお父さんが声をかけたりお母さんのおなかを触ったりすると胎動がぴたりと止まってしまうという話も聞きますが、外からの刺激や触られたことに驚いているのかもしれません。

諦めずに慣れるまで続ければお父さんも胎動を通して赤ちゃんを感じられます。

元気な足が当たる位置はお母さんのおへそよりも少し上のあたりですが、この頃胎児はクルクルとよく動くので逆子になっているときは膀胱のあたりを蹴られる感覚があるかもしれません。

逆子は妊娠35週までに元に戻っていれば良いのであまり気にすることはありませんが、お母さんの声が聞こえているので「頭はこっちだよ」と声をかけながら教えてあげるのもいいですね。

◯妊娠後期、激しい胎動もあと少しの辛抱

妊娠後期になり胎児が大きくなるとお母さんの子宮の中がかなり狭くなり動きづらくなります。

大きな動きは少なくなりますが手足の力が強くなるので、おなかを突き破られそうと感じたり膀胱や肋骨を蹴られて痛みを感じたりするお母さんもいるようです。

また、胎児は夜中お母さんが寝ている時に活発に動くことが多いです。

これはへその緒を通してお母さんから酸素をもらっているため、日中お母さんが活動している時に負担にならないようにしているからです。

このため夜中に胎動が激しくて眠れないというのも妊婦さんあるあると言えます。

◯胎動の種類

妊娠中期、羊水に満たされた子宮の中で胎児は上下左右にグルグルと自由に回転して動くことができます。

妊娠後期になると胎児は大きく成長し子宮の中でなかなか大きく動くことができないので手足の曲げ伸ばしを主に感じられます。

お腹をムニューっと押される感じがこれです。

手足の曲げ伸ばしよりも強く胎動を感じる時は胎児がキックやパンチを繰り出しています。

肋骨を蹴られて痛かったり、時にはおなかに足の形がわかるくらい飛び出たりすることもあります。

お母さんが軽くおなかを叩くとその場所をキックしてくるという遊びもできることがあるのでコミュニケーションをとってみてくださいね。

あまり激しい動きではありませんがピクッピクッと何度も痙攣のように胎動を感じることがあります。

慣れないうちは何か異常があるのではと心配になりますが、じつはこの痙攣のような連続した動きは胎児のしゃっくりなのです。

産まれた後の赤ちゃんも同じようによくしゃっくりをするので『おなかの中でしていたのはこれね』とわかるでしょう。

◯10カウント

初めに述べたように胎動は赤ちゃんが元気だということを示すもので妊娠後期になってもその動きが減ることはありません。

毎日胎児の元気をはかる方法として胎動10カウント法というものがあります。

お母さんがリラックスしている時に胎動を10回感じるまでにどのくらい時間がかかるかを測ります。

だいたい妊娠30週くらいから産婦人科でもおすすめされることが多く、1日の中で赤ちゃんを感じるリラックスした時間を作りやってみましょう。

赤ちゃんが活発に動いている時では15分ほどで終わるときもありますが、遅くても40分ほどで終わります。

胎児は20~30分間隔で寝ています。

ですが、寝てしまっている時は動きが鈍く時間がかかるので1日のうちで少し時間を空けてカウントし直しましょう。

もしも10回感じるまでに1時間以上かかる場合や動きが全く感じられない場合は心配ですので病院に連絡してください。

あまり神経質になって1日に何度も測る必要はありませんが、毎日続けることで赤ちゃんの動きに敏感になり違和感に気づくことができやすくなります。

◯おわりに

妊娠中はマイナートラブルも多く大変なお母さんにとって、毎日感じることのできる胎動は赤ちゃんとお母さんの大切なふれあいのプレゼントです。

出産が終わっておなかの中で動く赤ちゃんを感じられなくなると少し寂しく思うかもしれません。

忙しい日々の中でもちょっとのんびりできる時間をとって赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでください。

皆さまの良いご出産を応援しております。

 

 

参考HP

ムーニー

https://jp.moony.com/ja/tips/pregnancy/pregnancy/fetus/pt0642.html

たまひよ

https://st.benesse.ne.jp/ninshin/content/?id=37807

エナレディースクリニック

https://www.ena-clinic.com/column/778/

 

 

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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