日本では、まだまだあまり知られていない「さい帯(へその緒)」と、その中を流れる「さい帯血」の凍結保管。
さい帯・さい帯血を凍結保管しておくと、産まれてくる赤ちゃんの万が一の病気などに備えられるというメリットがあります。
しかし凍結保管ができるチャンスは、出産後のわずかな時間だけ。
そのため、出産前からの準備が必要です。
そこでこの記事では、
・さい帯・さい帯血とは?
・さい帯・さい帯血を凍結保管する必要性とメリット
・さい帯血の凍結保管方法
・さい帯血の凍結保管費用
についてご紹介します。
この記事を読むと、さい帯・さい帯血への理解が深まり、凍結保管について後悔のない選択ができますよ。
凍結保管する・しないにかかわらず、これから出産を迎える方には、知っておいていただきたい内容です。
ぜひ最後までお読みください。
さい帯・さい帯血とは?
「さい帯」とはおなかの赤ちゃんとお母さんを繋ぐへその緒のことをいいます。
そして、このへその緒と胎盤を流れる血液が「さい帯血」です。
妊娠中はお母さんから赤ちゃんに必要な酸素や栄養を運ぶとても大切な役割を担っていますが、無事に赤ちゃんが生まれると、その役目を終えます。
これまで出産後に切ったさい帯と、その中にあるさい帯血は、捨てられてしまうことがほとんどでした。
さい帯・さい帯血を保管する必要性とメリット
さい帯やさい帯血の中には、人間の体をつくる元となる「幹細胞」が豊富に含まれています。
そのため、多くの病気に対する治療手段として活用が期待されています。
たとえば赤ちゃんに何らかの病気が見つかったとき、さい帯やさい帯血を凍結保管しておけば、効果的な治療手段として活用できる可能性があるのです。
さい帯血は、白血球などの治療に用いられる
さい帯血には、幹細胞の中でもとくに、白血球や赤血球の素となる「造血幹細胞」が多く含まれています。
そのためさい帯血は、おもに白血病などの血液疾患や、遺伝疾患の一部の治療に用いられています。
上記以外にも、十分な治療法が確立されていないさまざまな病気の新たな治療法として、さい帯血を活用する開発(研究)が進んでいます。
現在、国内外において、さい帯血を使った臨床研究が行われている主な疾患をまとめてみました。
症状・疾患 |
詳細 |
脳性まひ | 出産時2~3/1,000人の確率で発症 |
低酸素性虚血性脳症 | 出産時に仮死状態が長時間続くことなど、脳への血流量低下に伴う脳障害。脳性麻痺に移行する場合がある。 |
自閉症 | 日本では1~2/100人の確率で発症 |
さい帯(へその緒)は、再生医療の分野で注目
さらに最近の研究では、さい帯血だけでなく、さい帯そのものにも、神経・筋肉・骨などさまざまな細胞に分化する「間葉系幹細胞(MSC)」という、別の幹細胞が豊富に含まれることがわかってきました。
間葉系幹細胞(MSC)は、炎症が起きている場所に駆けつけて炎症を鎮めたり、傷ついた臓器を修復する力を持っています。
そのため、再生医療の分野での活用に注目が集まっているのです。
さい帯・さい帯血の幹細胞を守りながら保管するには?
幹細胞は大人の血液の中にはほとんどないため、幹細胞が豊富に含まれているさい帯・さい帯血はとても貴重なものです。
しかし、出産後に役目を終えたさい帯・さい帯血と、その中に含まれる幹細胞は、そのままではすぐに死滅してしまいます。
そこで、出産後に切ったさい帯・さい帯血をすぐに凍結保存することで、貴重な幹細胞を生きたまま長期間保存することができます。
なお、さい帯血だけでなく、さい帯も凍結凍結できるのは、国内ではステムセル研究所のみです。(2024年11月現在)
▼ステムセル研究所について詳しくはこちら
さい帯血を使った治療の実例
実際に、さい帯血を使った病気の治療実例をご紹介します。
非営利団体「Cerebral Palsy Alliance」と民間さい帯血バンク「Cell Care」の提携によって実現した「脳性麻痺」の治療実例(妊産婦向け世界最大のさい帯血情報サイト「Parent’s Guide to Cord Blood」で紹介)
・対象のお子さま:生後18か月(診断時)の男の子
・症状:左半身(足や手など)をうまく使えない
・診断結果:胎内で脳卒中を起こしていたことが判明。左片脳性麻痺と診断される
・さい帯血治療に至った経緯:母親が2人目の子どもを身ごもっている際に、さい帯血を活用した臨床試験のパンフレットを見つける
・治療:2人目の子どもを出産する際に、さい帯血を採取。男の子へさい帯血を投与
・投与後:左腕の力が入るようになり、動きが目に見えてよくなった。知的能力が高まった。積極的になった
・両親の声:さい帯血療法により、かつて息子にはできないのではないかと心配していたすべてのことが できるようになったと考えている
出典:ブローディの脳性麻痺へのきょうだい臍帯血療法|Parent’s Guide to Cord Blood Foundation
さい帯血保管をする3つのデメリット
さい帯血保管には「大切な家族を守れる」という大きなメリットがありますが、デメリットも存在します。
・費用がかかる
・採取できない可能性がある
それぞれ順番に見ていきましょう。
デメリット1:費用がかかる
さい帯血を家族のために使用できる「民間バンク」へ保管するためには、費用負担が必要です。
後述しますが、民間バンクの場合、10年間の保存をすると「約36万円(ステムセルで保管する場合)」の費用がかかります。
ただし、分割払いにも対応しているため「一括で資金を準備できない」といった人も利用しやすいでしょう。
費用面は慎重に検討する必要がありますが、分割払いなどの支払い方法を活用することで、より計画的に準備できます。
費用感を知りたい人は、下記から料金のシミュレーションをしてみてくださいね。
→ステムセル研究所の料金シミュレーションはこちらから
デメリット2:採取できない可能性がある
さい帯血の採取は、出産時の状況により影響を受ける場合があります。
通常の経膣分娩であれば問題なく採取できるケースがほとんどですが、
・緊急帝王切開
・早産
・出血多量
などの場合は採取がむずかしくなることも。これは母体と赤ちゃんの安全を最優先するためであり、医療機関の適切な判断によるものです。
また、さい帯血の採取はできても、細菌の混入や検体量の不足などの理由により、「約10人に1人」の割合で保管に至らないケースがあるのです。
ステムセル研究所の場合、さい帯・さい帯血の両方とも採取できなかった場合は、費用は発生しません。
さい帯血保管をする人の割合
「どのくらいの人がさい帯血保管をしているのだろうか」と気になるところですよね。
実際にヒューマンライフコード株式会社が、妊婦さんを対象に「出産後のへその緒の使い道」について調査を行っています。
調査結果として「さい帯・さい帯血保管を医療品原料材などに使用できるよう保管・寄付する」と回答した人は「5/23(約22%)」でした(※1)。
調査結果から「ほかの人の役に立ちたい」「家族を守りたい」と考える人が広がっているといえるでしょう。
(※1)出典:PR TIMES|ヒューマンライフコード株式会社「臍帯(へその緒)の医療資源活用に関する妊婦の意識調査。「出産後のへその緒、医療資源として提供してもいい」が半数以上。」
さい帯血の凍結保管方法について
さい帯血の凍結保管には2つの方法があります。
・公的バンク
・民間バンク
公的バンク、民間バンクの違いについてご紹介します。
公的バンク
公的バンクは、さい帯血を無償で提供し、白血病などの血液疾患の治療に広く役立ててもらうことを目的としています。
保管というよりも寄付という言葉の方がしっくりくるかもしれません。
公的バンクに凍結保管するさい帯血は、白血病などの病気で移植を必要としている患者さん(第三者)の治療に役立ててもらうことができます。
民間バンク
一方、民間のさい帯血バンクは、これから生まれてくる赤ちゃんとその家族のために凍結保管をしておくというものです。
万が一さい帯血が必要になった時に、いつでも取り出して利用することができます。
民間バンクは、赤ちゃん自身のさい帯血を使えるため、治療の際に拒絶反応などが起きにくいことがメリットです。
また、遺伝子の近い兄弟・家族の治療にも効果が期待できます。
さい帯血の凍結保管費用について
さい帯血の凍結保管方法には、公的バンクと民間バンクの2つがあることがお分かりいただけたかと思いますが、それぞれ保管費用はどの程度かかるのでしょうか。
公的バンクの費用
まず公的バンクの場合には、第三者の治療のために採取・保管を行うため、費用を支払う必要はありません。
民間バンクの費用
一方、民間バンクの場合は赤ちゃんの将来のために赤ちゃん自身のさい帯血を保管するため、費用がかかります。
国内最大手の民間バンクであるステムセル研究所の保管費用は、10年間でおよそ36万円です。
→ステムセル研究所の料金について詳しくはこちら
さい帯血の凍結保管についてのFAQ
ここではさい帯血保管について、よくある7つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
ステムセル
採取されたさい帯血は、ご出産後48時間以内に細胞処理センター(CPC)に届けられ、幹細胞などを分離する作業を行い、凍結保管されます。
ステムセル
また出産後のさい帯から採取するため、赤ちゃんにも負担や影響はありません。
ステムセル
採取をしてもらえる病院でも、赤ちゃんやお母さんの容態や出産の状況によっては採取できないこともあります。
さい帯血の凍結保管をしたい場合は「分娩を予定している病院がさい帯血バンク(公的バンクや民間バンク)と提携しているか」「さい帯の採取をしてもらえるか」事前に確認しておく必要があります。
一度、かかりつけの産婦人科で確認しておきましょう。
ステムセル
さい帯は、出産後に切ったあと、一部が赤ちゃんのおへそに残ります。
数日~数週間で自然にとれるため、とれたさい帯を桐箱などに入れ、記念に手元に保管できます。
▼さい帯(へその緒)を記念に保管する方法について詳しくはこちら
ステムセル
ステムセル
文献的には液体窒素で29年間保管したさい帯血幹細胞の有効性を示すデータが報告されています。
ステムセル
ステムセル研究所では、神奈川県横浜市にある国内最大級規模の細胞保管センターにて、さい帯血を長期保管しています。
まとめ
さい帯・さい帯血は、幹細胞が豊富に含まれる貴重なものです。
現在十分に治療法のない病気も、さい帯やさい帯血の利用で、新しい治療法が生み出される可能性があります。
さい帯血は、「公的バンク」「民間バンク」のいずれかに凍結保管できますが、赤ちゃん自身や家族のために凍結保管したいなら、民間バンクがおすすめです。
また、さい帯血だけでなく、さい帯も凍結保管できるのは、国内では民間バンクの「ステムセル研究所」のみです。(2024年11月現在)
さい帯・さい帯血が採取できるチャンスは、出産後のわずかな時間。
さい帯血の凍結保管が気になっている方は、
・保管するかどうか
・保管目的と保管場所
・保管費用
などについて出産前から入念に調べ、準備しておくことで、後悔のない選択をしましょう。
チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは
うまれてくる赤ちゃんやその家族のために、おなかに赤ちゃんがいる時しか準備できないことがあるのをご存知ですか?
それが「さい帯血保管」です。
さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。
この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。
このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。
保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。
しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。
採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。
民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる
さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。
一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。
現在治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所は、国内シェア約99%を誇る国内最大の民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所が選ばれる理由
・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり
・民間バンクのパイオニアで累計保管者数は7万名以上
・全国各地の産科施設とのネットワークがある
・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有
・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得
・2021年6月東京証券取引所に株式を上場
詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。
さい帯血を保管した人の声
■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)
■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)
※ほかの保管者の声はこちらから
▼さい帯血保管について、もっと詳しく
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー