自然分娩や無痛分娩の費用は?出産準備は予算計画も大切

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

妊娠が発覚したが、出産の種類によって費用は違うのだろうかと考えていませんか。
種類によって出産過程が異なるため、それぞれの費用は異なります。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
■自然分娩にかかる費用
■無痛分娩にかかる費用
■帝王切開にかかる費用
筆者の経験も踏まえて、出産にどれぐらい費用がかかるのかを解説していきます。
出産に向けて、予算も計画的に準備しておきましょう。
自然分娩にかかる費用の相場【約48万円】
自然分娩の費用は令和5年に厚生労働省が公表したデータによると、平均「48万円」が相場です(※1)。
費用の内訳は以下のとおり。
●入院費
●分娩費
●新生児管理保育料
●検査料
●その他処置費用等
ただし出産費用には地域差があり、物価も地価も高い東京では、自然分娩でも60万円以上かかるケースも(※2)。
自然分娩の場合、保険適用はありませんが、ほとんどの人(健康保険に加入していることと、妊娠4か月(85日)以上の出産であること)は出産育児一時金で50万円がもらえます(※3)。
出典:
(※1、2)出産費用の見える化等について|厚生労働省(令和5年9月7日公表)
(※3)出産育児一時金の支給額・支払方法について|厚生労働省
自然分娩の費用は部屋のタイプで変動する
自然分娩後は入院が必要になりますが、部屋のタイプはさまざまで費用が大きく異なるのです。
おもに下記へ示す条件で、費用が変動します。
●個室or大部屋
●浴室、洗面、トイレが付帯
●家族も泊まれる環境が整っている
なかには100万円超えのプランも。
ひとまず紹介されるのは標準プランであるため、部屋のタイプをグレードアップしたり、お祝い膳など、さまざまなオプションをつけたりしていると、出産費用が高額になります。
無痛分娩にかかる費用の相場【自然分娩費用+約20万円】
無痛分娩の費用相場は自然分娩プラス約20万円です。
実際に「国立研究開発法人国立成育医療センター」では、自然分娩費用に別途18万円がかかると公表しています(※4)
ただし病産院によって体制にも差があるため、費用には大きな差があります。
自然分娩との違いは、麻酔を使う点です。
「硬膜外麻酔」と呼ばれる専門の麻酔科医による処置が行われるため、費用が高くなっているのです。
出典:(※4)分娩について|国立研究開発法人国立成育医療センター
帝王切開にかかる費用の相場【約50万円】
令和3年に公表された厚生労働省の統計データによると、帝王切開を含む異常分娩の費用相場は「約50万円」でした(※5)。
帝王切開の場合、入院日数が自然分娩や無痛分娩に比べて長くなるため、
●ベッド代
●入院中の食費
●赤ちゃんの管理保育料など
が多めにかかるのです。
ただし、手術費用そのものは健康保険の適応となるため、自己負担は3割となります。
そのほか、高額療養費制度や医療保険を用いることで出費を抑えられます。
帝王切開の費用について、さらにくわしく知りたいという人は、下記も参考にしてください。
帝王切開にかかる費用は?助成金や給付金についても紹介
出典:(※5)出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について|厚生労働省
出産にかかるそのほか追加費用
赤ちゃんが産まれてくるタイミングによっては、さらに追加費用がかかる可能性もあります。
時間外加算・深夜加算
赤ちゃんが生まれてくるタイミングによっては、時間外加算、休日・深夜加算が発生することもあります。
参考までに「国立研究開発法人国立成育医療センター」では、時間外(休日含む)加算「約3万円」、深夜加算「約6万円」です。
計画無痛分娩の場合は、あらかじめ入院日を決めて、陣痛促進剤や子宮口を広げる処置などを行います。
通常の無痛分娩よりも費用は高めになりますが、土日や深夜にかかるリスクは減らせるでしょう。
出典:(※6)分娩にかかる入院費用の概算について(ご案内)|国立研究開発法人国立成育医療センター(2022年6月1日時点)
陣痛促進剤の費用
陣痛促進剤を使うケースでは、費用がかかる場合もあります。
計画無痛分娩で入院する場合であれば、あらかじめ費用の中に含まれているケースが多いです。
なかなか陣痛が進まない場合は、さらに追加が必要になる場合も。
鉗子分娩や吸引分娩の費用
胎児がなかなか出てこられず、分娩時間が長くなっている場合、吸引や鉗子で引っ張り出すことがあります。
特別な処置になるため、これまた追加費用となるのです。
じつは無痛分娩では、痛みがない分、うまくいきめずに、分娩時間が長くなる傾向にあります。
そのため、吸引分娩が必要になるリスクは高いのです。
【体験談】無痛分娩から緊急帝王切開になった出産費用の話
私は無痛分娩希望だったのですが、出産時に赤ちゃんがへその緒を圧迫してしまい、緊急帝王切開になりました。
健診結果も問題ないはずでしたが、出てこようとすると酸素がいかなくなる状態だったようです。
帝王切開が決まったときは気が動転していて考える余裕はありませんでしたが「手術って、高そう・・・」と、あとになって怯えました。
その費用は、おおよそ70万円。
入院日数も増え、とても大部屋で過ごせる状態ではないため、個室に変更してもらいました。
しかし、ふたを開けてみると、手術は医療行為なので健康保険適用。
また民間の医療保険に入っていたため、給付金ももらえて、無痛分娩よりずいぶん安く済みました。
まとめ
自然分娩、無痛分娩、帝王切開と出産の種類によって、プロセスが異なるため費用も異なることをご紹介しました。
また、体験談では、思い掛けずに帝王切開によるご出産になった場合をご紹介しましたが、いずれの出産方法になっても、予めの費用を想定しておけば、ご出産の時に慌てずに済むかと思います。
この機会に、ご出産の準備の一つとして、予算計画も盛り込んで頂ければ、安心かと思います。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー