妊娠後期で気になるお腹の張りの原因は?対処法や受診の目安も紹介

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

妊娠後期に入り、お腹の張りが気になってきたと思っていませんか。
妊娠後期でお腹が張る原因は「赤ちゃんの胎動」「妊婦さんの疲労やストレス」などです。
この記事では、おもに以下のような内容を解説します。
・妊娠後期でお腹が張る原因
・対処法
・受診の目安
・妊娠後期のお腹の張りに関する2つの【体験談】
この記事を読むと、妊娠後期におけるお腹の張りで悩むことがなくなり、安心して妊娠生活を送れるようになりますよ。
妊娠後期にお腹が張る原因
お腹が張る原因はさまざまです。
「赤ちゃんの活発な胎動」で引き起こされるものもあれば、妊婦さんがよく動いて「疲労を感じたとき」や「ストレスがかかったとき」に起きるものもあります。
同じ姿勢で立ちっぱなし、座りっぱなしでいることも原因のひとつです。
そのほか、内臓が押されることによって起こる便秘でも、お腹の張りを感じることがあります。
妊娠後期の便秘は、仕方のないことなので、何日も便秘が解消されない場合は、悩まず産婦人科で薬を処方してもらいましょう。
また、妊娠後期のお腹の張りは「前駆陣痛」であることも考えられます。
前駆陣痛とは、子宮の収縮によって起こる、間隔が不規則なお腹の張りや痛みで、出産には至らない弱い陣痛のことをいいます。
前駆陣痛について、くわしく知りたい人は下記を参考にしてください。
妊娠後期のお腹の張りを確認する方法と医療機関受診の目安
お腹の張りを感じたら、まず深呼吸をして落ち着きましょう。
次にお腹に軽く手を当て、硬さや緊り具合を確認します。
正常な張りの場合は、お腹全体が均一に硬くなり、安静にしていると自然に和らぎます。
しかし、
・規則的な張り
・激しい痛みを伴う張り
・張りと同時に出血や破水の兆候がある
・胎動の減少が感じられる
上記のような場合は、すぐに医療機関で相談しましょう。
「常位胎盤早期剥離」「切迫早産」の可能性があるためです。
早期の対応によって、早産のリスクを軽減できる可能性があります。
夕方から夜にかけてお腹の張りが強くなる理由
おもな理由として、日中の疲労や活動が関係しています。
日中は家事や仕事などで体を動かし、無意識のうちに身体に負担が蓄積されています。
結果、疲労が夕方以降になって現れ、お腹の張りとして感じられるのです。
ほかにも、日中は忙しさからお腹の張りに気づきにくい点も一因です。
実際には日中もお腹が張っているのですが、リラックスした状態になる夕方から夜にかけて、身体の変化を自覚しやすくなります。
また妊娠後期は子宮が大きくなり、周囲の臓器や血管を圧迫するため、血流が滞りやすくなります。
とくに夕方以降は、立ちっぱなしや座りっぱなしによる下肢への血流障害が影響し、お腹の張りを引き起こしやすくなるのです。
お腹の張りをおさえるための3つの対処法
妊娠後期のお腹の張りへの対処法を3つ紹介します。
・休息を取る
・水分補給とリラックス
・生活習慣の改善
順番に解説していきます。
対処法1:休息をとる
妊娠後期にお腹の張りを感じたら、まず横になるか座って休息を取ることが大切です。
とくに「シムス位」と呼ばれる姿勢は、子宮への血流を改善し、張りを和らげる効果があります。
シムス位で横になる手順は、以下のとおり。
1. 身体の左側を下にして横になる
2. 右足を前方に出す
3. 右膝を床につける
長時間、同じ姿勢でいることも避けましょう。
マタニティ用の抱き枕やクッションを使用して、体を支える方法も効果的です。
またデスクワークをしている場合は、定期的に立ち上がって軽くストレッチをすると、血行が促進されます。
身体への負担を軽減し、お腹の張りを緩和しましょう。
対処法2:水分補給とリラックス
脱水状態は子宮の収縮を引き起こす可能性があるため、こまめに水分を摂取しましょう。
ただし、一度に大量の水を飲むのは避け、少量ずつ頻繁に飲むのがおすすめです。
また深呼吸や、ゆったりとした音楽鑑賞が体と心の緊張をほぐし、お腹の張りを和らげてくれます。
入浴も効果的で、ぬるめのお湯(38°C〜40℃)に10分程度つかると、体が温まり血行が促進されます(※1)。
(※1)出典:福島県伊達市公式ホームページ「水道水を有効活用!お風呂のすすめ」
対処法3:生活習慣の改善
散歩やマタニティヨガなど軽い運動を行うと、体内の血液循環が促進されて、お腹の張りの軽減が期待できます。
ただし激しい運動は避け、体調に合わせて無理のない範囲で行いましょう。
また規則正しい生活リズムも重要です。
十分な睡眠を取り、バランスを意識した食事を心がけましょう。
便秘もお腹の張りの原因となるため、食物繊維を多く含む食品を摂取し、適度に体を動かすことで腸の動きを活発にできます。
妊娠中の食事の摂り方で悩んでいる人は、下記を参考にしてみてください。
【経験談1】妊娠後期のお腹の張りってどんな感じ?
妊娠後期のお腹の張りの感覚としては「キューっと締めつけられる」「石みたいにカチカチになる」感じなどで、触ってみると固さが感じられます。
しかし感じ方には、個人差があります。
私も2人出産していますが、2回の妊娠でも感じ方に違いがありました。
1人目を妊娠していたときは、歩けなくなるほどお腹がカチコチになってしまうことが何度かありました。
しかし2人目の妊娠中は、お腹の張りが起きていても、あまり気づいていなかったようで、妊婦健診の際に「ちょっとお腹の張りがあるね」と指摘されて、初めて気づくこともありました。
【経験談2】お腹の張りを感じたら仕事を休むことも大切
仕事を続けている妊婦さんにとって、なかなか難しいことだとは思いますが、お腹の中の赤ちゃんと妊婦さん自身の体を思いやって、お腹の張りが起こったら、なるべく休んでくださいね。
私自身、1人目の妊娠中は仕事をたっぷりしていて、妊娠後期でカチコチにお腹が張ってしまっても、休むことができませんでした。
そのためか、なかなか張りが治まらず、病院で受診を行い、出産までに2回張り止めの薬を処方してもらうことに。
この反省を生かして2人目の妊娠時は、体を動かしたタイミングで度々お腹の張りがありましたが、適度に休んでうまく付き合えたと思っています。
妊娠後期のお腹の張りに関するQ&A
ここでは妊娠後期のお腹の張りについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


ただし締めすぎは逆効果になることもあるので、使用方法について産婦人科医に相談しましょう。

すぐに産婦人科を受診しましょう。

これは正常な現象です。
まとめ
妊娠後期になると、前駆陣痛によるお腹の張りを感じる方が多いです。
不規則で痛みが大きくならず、休んでいれば落ち着くようであれば問題はないでしょう。
しかし横になってもなかなか痛みが収まらない、板のようにお腹が硬くなるなどの症状がある場合には受診が必要です。
妊娠中は、日常生活でも無理をせず過ごすよう心がけましょう。
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この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー